哀愁
『おっと……そういう仕組みか。確かにパートナーの場合は時間が掛かりそうだ』
入口前のカメラがアダムを確認すると、壁が少し開き、そこからコードが伸びる。
アダムもそれが分かっている事もあり、人間で言えば、耳となる部分が開き、コードと繋がる。
彼がエヴァのパートナーである事を確認する必要があるからだ。
ロボットの場合、見た目をアダムから02にする事も可能だろう。外側ではなく、内側が重要になる。
記録もそうだが、内部構造もタイプによって違ってくる。そこを調べるわけだ。
「完了しました。どうぞ、中へお入りください。物に触れる事も可能ですが、壊さないように。マスターに対する新たな情報があれば、知らせてください」
「へぇ〜……情報を引き出す事も許すわけね。そんな事を言うと、01がエヴァを殺したとも思えないわね。普通は隠すなりするはずだし」
「俺達には無理だと高を括っている事も考えられるがな。俺の研究に活かす情報があれば、使わせて貰うぞ」
「マスターの研究室にはワタシも踏み入れた事がない部屋があるかもしれません。そこは入らない……解除可能であれば、お願いします。ロックされた情報の解除をワタシに聞く事を禁止します」
アダムが手に入れなかった情報を、博士達に見つけてもらう。
そのためには何事も禁止すれば不可能。
モリーの研究室には謎の部屋があった。エヴァの研究室にも、アダムが知らない隠し部屋がある可能性はある。
「隠し部屋……あるとすれば、地下になるわね」
部屋と同じ広さで、隠し部屋を作るとすれば、地下室になる。モリーの研究室も奥にあったドアの先がそうなっているのか。
『……地下ね。君はそれを見つけられていない。エヴァの研究室でも……彼女の研究室でも』
「そうです」
アダムは研究室の中へ入ると、すぐに立ち止まった。
『どうした? 何かいつもと違っている事に気が付きましたか?』
研究室の変化。擬似的世界が開始されたのは、エヴァが殺害された部屋からであり、研究室で目覚めたわけじゃない。
しかも、エヴァの部屋に向かった時も記録がない状態。次に入った時にはアーメン達が無理に侵入した時だったのか。
いつもの研究室と違和感を感じるとしたら、この時にしか無理かもしれないが……
「……すみません。長い間、見ていなかったので。記録にはあったはずなのですが……」
事件発生後から何年経っているのだろう。感情があるのなら、アダムも懐かしいと感じているのだろうか。
『……そうか。アーメン達に触れされるように指示したのは申し訳ない』
「いえ……問題ありません。違和感の件ですが……記録通りです。これがマスターの研究室です」
『これが……か』
アダムが案内したのだから、エヴァの研究室で間違いはないはず。それなのに『これがマスターの研究室です』という言葉が出るのは何故か。
先にモリーの研究室を見た事によって、比較したのだろうか。それとも似たような研究室を見た事でもあるのか。




