目指すもの
「……アーメンの言葉に何か言い返す事はない?」
「……何をです?」
モリーがアダムに話し掛けてきた。先程のアーメンの言葉に文句の一つでもあるとでも思ったのか。
「そんなわけないだろ。コイツはエヴァの研究室へ案内する事しか考えてないはずだぞ。06だって、何も言い返してこないからな」
彼の言葉はアダムの事もそうだが、ドナテルロを陥れようとしたのもある。反応するなら、06のはずだが、彼は何も反論する事はなし。
『彼女は君の変化に気付き始めているな。だからこそ、探りを入れてきたわけだ。興味があるだけで、エヴァ殺害の犯人とまでは思ってはないだろうが』
アダムの言動を知ってるからこそであり、中央塔にいた四人の博士には分からない事だ。これも状況の変化を呼びそうではある。
「アーメンの言う通りだわ。そこで反応すれば、普通じゃない。人間に近い存在になるわけだから。余計にエヴァ殺害を怪しまないと駄目になるわよ」
「……それをエヴァ博士は目指していましたが」
レオがボソッと言葉にした。
「ロボットを造る人間は最初にそれを目指す。私もそうだったわね」
キャメロンがそれに反応する。過去形なのは今はそうではないのかもしれない。
「人間を目指す事に何になる。俺はそれに気付いたからな。ロボットやAIは進化し、いずれは人間以上の存在になる」
アーメンもキャメロン同様、人間を目指しての研究を止めたのか。
ただし、それは嘘の可能性は十分ある。目指す場所が違うのなら、エヴァの研究室を調べる必要はないはず。
博士達はエヴァの死の真相よりも、彼女の研究に興味がある。彼女が彼等よりも一枚上手なのは本人達が言っていたからだ。
「人間以上の存在なら、僕達が彼等を操るのも難しくなるわけです。であれば、僕達も……なんてね。そろそろ、エヴァ博士の部屋に着きますよ」
レオもアーメンのように人間を超えた存在を造る事を目指しているのか。
そのために必要な物。彼は何を言おうとしたのか。
僕達が彼等を操るのも難しくなる、僕達も……、という発言に繋がるのは……
『神……ではないな。僕達もとなれば、自身の体をロボットにするつもりだったのか?』
ロボットが進化し、人間を越えるのであれば、制御するためには自身を機械化、ロボットにする。
それはレオの……アインズの想像に過ぎず、それが起きる前に博士達は殺される事になる。




