起動
「ふんぬ〜……や、やっぱり無理だ。どうしよう……アインズ様も見えていると思うんだけど……」
カイトはロボットに見て、触れて、調べてみる。
見た目的には壊れた箇所はない。手足は体と繋がっている。首が離れているという事もない。
ここに来れた時点で壊れた状態ではなく、真っ当な姿になっているはずなのだ。
ピッ……ピッ……ピピピピピピ……
「な、何!! ロボットから聴こえてくる? 声じゃないよね」
ロボットから発信される謎の音にカイトは気付いた。
狭間の世界は無音であり、魂が移る音も全くしない。
何かの音が聴こえるとすれば、主のような死神が何かをしている音。例外があるとすれば、こういう時ぐらいだろう。
「目の部分かな……赤く光ってる。という事は……けど、何でだろう?」
カイト自身、何故ロボットが起動したのかは分からない。だが、動く兆しなのは分かる。
「再起動実行中……システム……データ……」
ロボットの顔部分が赤く点灯する。それは二つあり、位置的にも目にあたるのだろう。
それと同時に謎の音が聴こえた状態ながらも、人の声? 音声がカイトの耳に入ってきた。
別世界の声でもカイトは聞き取れるのは、死神に仕えているからだろう。死神であり、カイトの主であるアインズはどの世界の言葉も認知している。
「完了確認。起動します」
ロボットの目が赤から緑へ。両腕が動き、両足で立ち上がった。
身長は百八十センチぐらいか。カイトよりも二、三十センチ高い。彼は少年期の姿のままで、身長が伸びる事はない。
「ここは何処なのでしょうか? 該当するデータはありません。情報を拾得……不可能。生命反応も見当たりません」
ロボットは周囲を確認。人間とは違い、首を一回転しても問題なし。
該当するデータがないのは当然だろう。情報拾得するにしても、死神が管理している以上は不可能なのは間違いない。
「あ、あの!! 目覚めてくれて良かったです。僕の名前はカイトと言います。貴方を連れてくるように主に言われていまして……主なら貴方の知りたい事を教えてくれると思います」
カイトの声にロボットは反応して、視線を下に向けた。
「カイトと名乗る人間の姿をした者を発見。情報の登録なし。生命の反応なし。これはエラー発生なのでしょうか? 回答を求めます」
『人間の姿をした者』。つまり、ロボットがいた世界でも人間は存在しており、カイトと同じ様な姿をしていた。
ロボットがカイトを『人間の姿をした者』と判断したのは、生命反応という言葉に関係があるのだろう。
魂を生命と見ていない。あながち間違ってはいない。生者ではなく、カイトは死者ではあるのだから。
「僕に……ですよね? 元人間……が正解なんでしょうか? 魂……死んだ身なので。貴方もそうですよね?」
「死? その言葉は知っていますが……貴方は動いてます。死というのは、動かなくなるという事ではないのでしょうか?」
「うっ!! ……それは間違ってないのですが……どう説明していいのか……それも主が説明してくれるので」
カイト自身、ロボットの質問に上手く答えられずにいた。この世界の説明も必要になってくるのもある。




