死亡推定時刻
「もう一つあります。適合多数により、判別不可能」
「そうなるわよね。それは私達なら誰でも入手可能なものだし」
『毒はアイザック液だけじゃなかった? ……いや、違うな。モリーはアイザック液は即効性の毒にもなると。何かと混ざる事で毒になるわけだ』
アイザック液単独では毒にはならず、何かと混ざる事で毒に変化する。それが含まれている物は、モリー達全員が所持していてもおかしくないのだろう。
「はい。アイザック液が毒になるのは栄養剤と混ぜる事です。ここでモリーから聞く事はありませんでした」
『栄養剤か。確かにイメージ的には全員が所持していそうだな。アレもそうなんだろ?』
アダムの目から見て、モリーが座っている側に瓶が置かれている。あれは栄養ドリンクだろう。食事を無視したり、徹夜で仕事をする際に必要とする。一日中仕事をする人間には重宝する物だろう。
「はい。あの栄養ドリンクにも含まれています。マスターも違う種類の栄養剤を所持していました。全員がどの栄養剤を使っているかまでは分かりませんが」
『なるほど……一番手にしやすいのはアーメンだが、犯人が確定したわけじゃないな。アイザック液と栄養剤を混ぜると毒になるのを、ここで聞かなかったのなら、どのタイミングで……博士の誰かが同じ毒で殺されたのか?』
「モリー博士も毒で殺されました」
『彼女が!? 』
エヴァの次に殺されたのはアーメンだと、アダムは言っている。
アーメンは毒殺ではない。毒殺であれば、彼の名前もアダムの口から出てくるだろう。
間を挟んでのは毒殺。モリーもエヴァが毒殺された事で警戒していたはず。それがアーメンが殺された事で気が抜けたのか。
モリー殺害後、毒の在処を探すのためにアーメンの研究室を調べ、そこで毒の調合を教えられたのかもしれない。
「死亡時刻は?」
エヴァの死亡時刻。無理に飲ませたわけではなく、本人が知らずに飲んだ可能性が高い。でなければ、争った形跡があるはずだ。
重要度は高くないが、知っておくべき事ではある。
中央塔の監視カメラにより、博士達の行動と照らし合わせる。
その時間にアリバイがあったとしても、殺害方法が毒である以上、その場にいる必要がない。
そわついている人物がいたとしても、エヴァの体で毒に変化するのは彼女次第。
犯人がエヴァの死ぬ時間を特定するのは難しいはず。
「本日、深夜零時から二時付近です。マスターはその時間、ワタシと共に研究室にいました」




