行方
『カイト。君が中央塔の映像を確認して欲しい。頷いてくれたら、誰になっているのか分かる』
アダムの擬似的世界にはアインズが見ているだけでなく、カイトが介入している。
この五人の中で誰がカイトと入れ替わっているのか。
『……返しはなし。頭の中での会話も無理か。距離的には問題ないはずだが……初の試みなのもあるのか。後から調整する必要があるな』
カイトが擬似的世界に入った事をアインズは確認している。
会話が成り立たない、返事がない理由は幾つかある。
アダムの近くにカイトがいない。擬似的世界内全域に声が届くわけではない。
アインズはアダムの中にいる状態であり、範囲的に彼から数メートル程ぐらいだろう。
博士はその範囲に入っている。聞こえていないわけがないはずだが、アインズも別の世界、他者を送り出すのは初めてになる。ミスが起きてもおかしくはない。
『それとも記憶が混濁、入れていないのか? アダムが入ってから少しの間があったのは確かだが……』
アインズがカイトに説明する時間があった。その誤差によって、カイトがまだ介入出来てない可能性も……
『君から見て、博士達に違和感はあるか?』
「今のところはありません」
アダムから見て、五人の博士に違和感はなし。
アインズの返事もなし。博士達の違和感もなければ……
『新規の相手が登場は……ないか』
新しい登場人物がいるとすれば、五人の博士と一緒にこの場に来そうではあるが、そんな人物はいない。
後から来るとしても、定期船は一カ月後。アーメンがそう言っていた。エヴァ博士の代わりが来るとしても、その時には事件が終わっているだろう。
「私は先に行かせて貰うわよ。中央塔まで距離があるし、歩いて行かないと駄目だからね」
「僕達も一緒に行きますよ。その方が邪魔にならないはずです」
「俺は02に運んで貰おう」
「アーメンは運動した方がいいぞ。研究も体力を使うからな。島に車等の移動手段がないのは、そういう事だからな」
「五月蝿いな!! 代わりにロボットがいるだろ」
ドナテルロの意見にアーメンは反論。この島の移動手段は徒歩。車等の移動手段はなし。
定期船の荷物があれば、パートナーのロボットが運ぶ事になっているようだ。
『アダムはこの島の地図は全てを把握しているのか?』
「地図の情報はあります」
『それなら問題なしだ。私も見る事が出来るからな』
アダムの地図の記録があれば、アインズも見る事が出来る。その情報がなければ、彼女が逐一更新していに、見返す事を可能に。
カイトの擬似的世界、未解決事件の時にそれを利用していたからだ。
『今回はモリーのパートナーのロボット、MR04が案内してくれそうだが……ロボットか。人間じゃない事もありえるな』
「それは……ワタシとアインズのような事ですか?」
『少し違うんだが……04以外のロボットにカイトがいるかもしれない』




