適任者
「私は中央塔に行くのは遠慮するわ。研究の続きのためじゃなく、エヴァの毒を調べるためよ。放置しておくわけにもいかないわよね? 私の研究室には冷凍カプセルもあるから」
「それも重要ですね。彼女の遺体を放置するわけにもいかないですし。モリー博士がエヴァ博士の遺体を調べた後、冷凍カプセルへ。定期船が来たら、本国へ移送する……それでいいですか?」
「次の定期船は一カ月後か。冷凍カプセルに彼女の遺体を入れた方がいいのは間違いないな。だが、モリーが遺体を調べて、嘘の情報を俺達に教える事はないか? 信用してないわけじゃないが……」
モリー博士が遺体を調べ、毒の分析をするのは必要な事。レオはそれに賛成のようだが、アーメンはモリーに単独行動を許していいのか、疑問に感じているようだ。
「確かにそうだな。こういう状況だ。モリーが毒を調べるのが一番だが、一人にさせるのは難しい。研究室に入れたくないかもしれないが……」
ドナテルロもアーメンの意見に同意する。中央塔へ全員ではなく、二手に分かれる。そうすれば、怪しい行動を見張れる事になる。
「そうね。だけど、私は中央塔へ行く事を選ばせて貰うわ。研究室に見る事によって、逆を要求されてもおかしくないでしょ」
キャメロンは賛成しながらも、自身は中央塔へ行く事を選ぶようだ。その理由は、互いに研究室を見せ合う結果になりかねないからのようだ。
「誰が来てもいいけど、私にはデメリットしか無くなるから。それを要求するのは間違いではないでしょ」
モリーもそれを拒否しないが、代わりに付いて来る者の研究室へ行く事を求めるのは当然だろう。
『これは……そういう展開になるのか』
アインズはこの後のどういう風になるかが予想出来た。記録と同じ展開になると言ったほうが正しいのか。
彼女と一緒に行くのは誰か。誰もが研究室に入れたくない場合、それを避ける事が可能な存在がいる。
「言い出したのはアーメンよね? 貴方が行くべきじゃない? それとも研究室を見られるのは嫌なのかしら?」
キャメロンの言い分は最もだろう。モリーを怪しむなら、アーメン本人が行けばいい。
「…………」
『アーメンは何も言えないだろうな。エヴァをライバル視していたのなら、研究を誰にも奪われたくないはずだ。だとすれば……アダムがモリーと一緒に行ったわけだ』
「そうよね。だとすれば、一番無難なのはEV01になるわ。人間じゃなくても構わないわよね? 私を庇うわけもないし、嘘も吐かない。エヴァの遺体を運ぶのも適任でしょ」
モリーは連れていく相手にアダムを選んだ。
アダムが彼女を庇うような嘘を吐くわけでもなく、マスターであるエヴァから離れる事はなく、ついて来ると踏んだからだろう。




