失敗
「おーい、制服取りに行くぞー」
「…むにゃ…後、5時間…」
「そんなに待ってられるか!起きろ!」
「…あのね?制服ってね?別に本人が取りに行かなくてもいいと思うの…僕の事は気にせず先に行けー…」
「…いいんだな?今俺が行ったらお前は1人で行くんだぞ?」
「…行く…行くから待って…」
「よしよし。」
「着替えるから出てってよ。…まぁ、見たいなら見てもいいけど?」
「出る。」
「なんだよ翔太〜!つれないなぁ!見なよ!僕でハァハァしなよ!同人誌みたいに!同人誌みたいに!」
「…離せ…」
「やーん翔太君怖い〜♪」
「……母さんに…」
「早く出てってよね!このスケベ!」
「ほいほい。」
まったく…なんでもかんでも言いつけおって…翔太は小学生かなんかか…
そういえば僕、幼稚園くらいの頃からよく…
うう…思い出すのはやめよう…あの大包囲合唱網はトラウマだ…
まさに四面楚歌だった…
男の頃はやんちゃだったからね仕方ないね。
「まだか?」
「まだだよ!」
「先行くぞ?」
「ま、待ってよ!」
ガチャ!
「お待たせ!」
……あれ?なんでそんな微妙な…っていうか、呆れた目で見るんですか?
「…僕の美貌に見惚れちゃった?」
「雪、服の前後が逆だ。」
「…………がーんだな。」
まぁ、このくらいなら…ね。こうやって服を回転させれば…はいOK!
「よし、取りに行こうか」
「そうだな」
「そういえばさ、あそこの近くに美味しいクレープ屋が…」
「はいはい…金は自分で出せよ?」
「ういっす」
さて、行くか…暑いなぁ…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……ねぇ翔太。制服重い…」
「確かにな」
「もってー」
「嫌だ。俺も持ってるんだからな。」
ケチ…
「クレープはあっちだよ!」
「はいはい。」
「僕ね、チョコアイスがいい。」
「分かったよ…買ってくるよ…」
「ふぃー!」
あー!づーがーれーだー!
もうやだ。もう絶対家から出ない!
……ここ人居ないなぁ。あそこに座ってる男女2人くらいか…カップルかな?リア充かな?なら、爆ぜろ。
「ねー、あーんしてよ!あーん」
「恥ずかしいからここでやらせるな…」
「うぅ〜真司照れ屋…」
「悪いな…家でなら…な?」
「…うん」
…あ・そ・こ・の・バ・カ・ッ・プ・ル・は!
何をやってんだこの公共の場でえぇぇ!
くそっ!あれがリア充か!アホか!愛で盲目すぎるわ!そのやりとりも帰ってからやれよもう!もう!本当に…もうっ!妬ましいっ!
僕もあーんとかやりたい!青春を謳歌したいぞ!相手いないけど!
「おーい、買ってきたぞ〜」
「翔太っ!僕にあーんしろ!」
・・・・・・・・・
「……はい?」
うおわあぁぁぁ!?しまったぁぁ!バカな事考えてたらつい口に出てしまったあぁ!
…恥ずかしい…
こそこそ。
「…お、おい…いきなり後ろに隠れるなよ…せめてクレープ自分のは取れよ…」
「…か、帰ろ?…クレープ…家で…食べよ…?」
「…あー…ほとんど人居ないし…気にする程じゃないぞ?うん。」
「ぐすっ…」
「…ほ、ほら。あーん…」
「僕の傷口抉って楽しい?」
「…だ、大丈夫だって…食えよ?な?」
「うぅ〜…顔見ないでえぇ…」
「見ない。見ないから。」
ぐす…もうこのデパート来れない…
…あ、クレープは美味しい。
リア充…いや、ラブ充…許すまじ…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「じゃじゃーん!…似合う?」
「おー、中々じゃないか?」
「でっしょー?翔太も普通の高校生って感じするよ。」
「それは…いいのか?」
「いいんだよ。似合ってない人よりましでしょ?」
「まあな。」
「…ふーう。お披露目も完了したし…僕はもう春休み中は家から出ないぞー!」
「…悪いが、教科書とか辞書とかバッグとか買いに高校まで行かなきゃいけないんだ。その時は出てもらうぞ。あと、大きめのバッグ用意しとけよ。」
「…うぅ〜」
世の中はどうして僕を日の当たる場所に連れて行こうとするんですか…
引きこもりたい…もう家から出たくない…でも同人誌は買いたい…それに学校は行かないとやばい…将来が…
…ん?待てよ…僕がもし中卒になったとしても、翔太のお嫁さんになって専業主婦になれば…問題無いのでは…!?
ぼ、僕は天才か…!?我ながら震えがくるぜぇ…!
「翔太!僕とけっ…け…」
「…けっけ?」
…まてまてまて。まだ早いぞ僕。僕はともかく翔太はまだ結婚できないじゃないか。
…それに、僕と結婚してくれないかもしれないし。
というか、好きじゃないのに結婚してって言うなんて翔太に失礼だよね?
…うぅ…自己嫌悪…自分の楽の為に翔太を利用しようとするなんて…
「…どうした?」
「なんでもないです。」
よーし、頭リセット!健全な雪ちゃんで行くよ!翔太とは親友っ!




