観察眼
「変わってないな・・って思って。」
セイラは眩しい物をみるような目で言った。
「だって、その人が何を欲しがっていて、その人が取りやすいように棚の高さも変えて、鏡だって見やすい場所だし・・・。あなたの魔術はいつも親切なのよね。」
「親切なのは、あんたの方だろ。代理レポートで退学になりそうだった俺を・・・。」
アステルは舌打ちした。
フフフ。
セイラは笑った。
「私は、ちょっと親御さん達に報告しただけよ。」
家政を取り仕切ってきたセイラには、通常の学生では有り得ない伝手があった。
他家の奥様へのお礼状書きなんかもしていたので。
優秀な才能が失われそうになっている。
と言うことを、数通認めて送っただけ。
それ以上は何もしていないし、何もできなかった。
「本当、お人好しめ。」
吐き捨てるように言うのに、モジモジとしている。
そのくせ、魔術は細やかで大胆さも兼ね備えていて。
発想力もあって。
つくづく面白い人だとセイラは思う。
「ありがとう。助けてくれて。」
「別に・・親切じゃない。今回だって、あんたが助かった訳じゃないだろ。」
「そうね。」
貴族令嬢としては結構致命的な事になってしまった。
「俺は、俺の店の商品を泥棒から回収しただけだ。」
「そう・・そうね。」
「それに・・店の客を侮辱されたのが我慢できなかった。」
「・・・そうなの。」
やっぱり優しい。
セイラはその言葉を飲み込んだ。
アステルは早口で続ける。
「人の趣味を否定するヤツはクズだ。」
相変わらず口が悪い。
腕組みをして、あらぬ方向をにらみ付けている。
「似合わないものを押しつけるヤツも。」
「・・・どこまで見てたの?」
アステルはハッとした。
「い・・いや、あくまで市場調査だ。」
「そう・・・。」
店の中のことはアステルが把握しているのは当然だろう。
だえど、似合わない物を押しつけているとかそういうのは店外での出来事だ。
「い・・いや!あんたの恰好を見てたらわかるだろ!」
セイラはジッとアステルを見た。
「何でもお見通しね。」
「いや、何でもって訳じゃない。」
「そう?」
「だってあんた分かりやすい。学生の頃の恰好と違うし、化粧だって。そんな厚化粧で。あんたが好きなのは、落ち着いた深い色。今、着てるみたいな。そんな色だ。目の色に良く合う。それかから、アクセサリーだってゴテゴテした重たいものは似合わない。
あんたの髪はまっすぐだ・・・・。」
フフフフフフフフ。
セイラはたまらずに笑った。
笑ってしまった。




