表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
実質付き合ってる二人が「「AI作家クソくらえ!」」って言いつつ書籍化目指しながらイチャイチャするラブコメ  作者: 瑠火
実質付き合う前

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/18

第四話:お隣の同級生と初登校

◇次の日の朝◇


 いつもの目覚ましではなく、着信音で目が覚める珍しい朝。

「……なんだよー……。誰が僕なんかに電話を……って! 白雪さん!?」


 朝、一番から白雪さんが鳴らした着信音で目覚める!? 幸福の鐘の音じゃん!


「もしもし! おはようございます! 高槻です!」

『先生! 白雪です! ごめんなさい、寝てましたか?』

「寝てたけど……。いいんだよ。どうしたの?」

『あの、もしよかったら一緒に登校しませんか?』


 一 緒 に 登 校 !

 

 なんて甘美な響なんだ。しかもお隣さんと。こんなもの、返答は決まってる!


「はい! ぜひお願いします!」

『……よかったー。』

「よかった? 何が?」

『……断られたらどうしようかなって。ドキドキしながら電話しました』


 そんな事するわけ無いのに……。やっぱりちょっと自己評価が低いよな。


「断るわけないよ! じゃあ8時でいい!?」

『はい! 私も準備してきます!』

 

 

 ◇ノックの音◇

 


 コンコンっと彼女の知らせが扉の向こうから。

 

 ガチャリと扉を開ける。

 制服姿の白雪さんだ。

(……何着ても尊い……)


  

「あ、えーっと」「うう……えーっと」

「「おはようございます」」


 二人同時に戸惑って、二人同時にペコリと挨拶をする。そして二人同時に顔を上げて「なんか変だね。」「そうですね」と笑い合う。


(……これからは独りじゃなくて良いんだな……)


 そんな幸福を実感させられる。

 

「高槻先生、おまたせしました。」

「うん、じゃあ行こう」


 

◇通学路◇



「先生、先生」

「ん? なあに?」

「そう言えば、先生のご家庭って門限等は厳しくないのでしょうか?」

「いや。そもそも僕のお母さんは単身赴任で、お父さんはもう亡くなってるんだ」

「……ごめんなさい」


 朝に言うことではなかったかも。気を遣わせちゃったな。


「いやいや、気にしないで気にしないで。お母さんが頑張って働いてくれてるから、なんの問題もなく生活できてるし。たまにお母さんが帰ってきてくれるしね。白雪さんは?」

 

 そう言えば彼女の家からはご両親を見かけたことはない。なんでだろう。


「私の両親は海外を拠点に働いています。豪州で」

「……それも結構珍しいよね。二人ともだなんて」

「……二人にも事情があるんです。」


 彼女はオーストラリア人と日本人のハーフ。多国籍文化の国ならではのあるあるなのかも知れない。

 

「そうですね。生活は勿論出来るのですが……。やっぱりどうしても独りだとちょっとさみしかったり……」


 物憂げな表情で、寂しさを隠そうとしているけれど。両親が恋しいんだな。

 

「僕も似たような環境だから分かる。それで最初、僕は独りで寂しくてどうしようもなくて、ネットの海を彷徨っていたらなろうとカクヨムに出会ったんだ」

「では、そこから執筆活動を開始されたんですか?」

「ううん、最初はロム専。そこから段々自分でも書いてみたいな―ってことで書き始めた。」


 そうだそうだ。死んでも、異世界っていうのがあれば怖くない。なんてことも考えてたっけ。割と危ない考えだよね。これ。


「白雪さんはなんで書き始めたの?」


 横目で見えた彼女の表情は、ちょっといたずらっ子な笑みを、僕に向かって見せびらかす。


「……なんでだと思います?」

「……え? それって当てられる問題?」

「はい。難易度はそんなに高くはないと思います」


 ……。なんだろう。


「僕と同じ理由だから? とか?」

「ぶー。違います」

 

 彼女のニヤニヤは止まらない。


「じゃあ……。自身の書き手の才能に生まれながらに気づいていた?」


 僕はもう知っているけど。僕とは比べ物にならないくらいに輝いている君の才能に。


「なんですかその自惚れすぎた理由……。違いますよー。私を何だと思ってるんですか。」

「あはは。ごめんごめん。でも本当にわかんないや。なんで?」

「……はあ。なら保留です。また時が来たら教えてあげます」

「えー! 殺生な!」

「……逆になんで分からないんですか……」


 そんな悪態を付いている間も、彼女はニヤニヤを隠さないでいた。


 

 ◆白雪さん目線◆

 

 

「えー! 殺生な!」

「……逆になんで分からないんですか……」


 本当になんで分かってくれないんでしょうか……。こんなこと、女の子から言わせたら駄目ですよ……?


 ヒントはあなたの処女作です。

 

 それはあなたが『†沈む月クロノス・アルテミス†』を名乗っていた、痛々しくも今よりさらに青々しい中学生時代の物語。

 

 誰が見ても分かる、拙い文章で書かれたそのお話には、孤独な男の子と女の子が主人公のバディ物でした。


 あなたは難しい構成を選んでいましたが、二人の視点が交互に描かれた作品は、二人のそれぞれの孤独から来る苦しみを、辛くも描ききっていました。


 そんなあなたの作品に、影響されて、私は小説を書き始めたのです。


「……白雪さん。お願いだから答えを教えて……!」

 

 両手をあわせて拝む高槻くん。

 二人でいる時だけは、人見知りの仮面が剥がれる。

 わたしの心の壁を暖かく溶かしてくれる。ただの同い年の男の子。

 

 今思うと、その男の子はあなたに似ていて優しい口調で、女の子はなんとなーく、私と同じ種類の苦悩を抱えているように思えます。それは偶然なんでしょうか。それとも運命なんでしょうか。

 

「高槻先生?」

「教えてくれるの? 白雪さん?」


 私は立ち止まります。あなたもそれに気づいて立ち止まります。

 私はあなたの顔をじーっと、勇気を出して見つめてみます。

 あなたは赤面し、顔をそらします。恐らく、私もあなたと同じ色彩を帯びて顔色を紅く染めます。

 

 あなたは「……なに? 教えてくれるんじゃないの?」と、かろうじて返事をします。

 

 教えてあげるわけではありません。いつか、あなたがフッと「あ、あのことだ」って一人で思い当たる時を、私は楽しみにしたい。

 

 なので、結局私は、あなたに少しだけ顔を近づけて、精一杯の笑顔を見せながら



「教えません!」



 と、いたずらっ子のように秘匿しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
高槻くんと白雪さんが今後、一緒に小説を書く展開はあるのでしょうか?気になっています!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ