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実質付き合ってる二人が「「AI作家クソくらえ!」」って言いつつ書籍化目指しながらイチャイチャするラブコメ  作者: 瑠火
実質付き合う前

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第二話:カフェ回・お隣の同級生と黒歴史

◇カフェのテーブル席にて◇

 

 僕の手元にはアイスコーヒー。彼女はオレンジジュース。

「えーっと……。それじゃ改めて……。Waさん」

「……はい。ドラセナ先生……。」


「「よ、よろしくおねがいします」」


 そう言って僕たちは向かい合ってペコリと頭を下げた。


 ◇


 ……どうしよう……。


(こんなに可愛い人となんて、まともに話せる気がしない……!)


 そもそも女子とまともに会話した事なんて無いし……。

 目の前に座る彼女はまばゆい。窓際の席に座ってしまったもんだから、外の光が彼女を照らす。


(……でも、せっかくちょっと仲良くなれたんだ……。お互いの話をはじめよう)

 

 そうだ。僕たちには共通の話題がある。


「……Waさん……?」


「あ! えっとその前に先生……」


「……? どうしたの?」


「あの……。ペンネームで呼ばれるのってとっても恥ずかしいので……。私の名前で呼んで頂いてもいいですか……?」


 本当だ。顔が真っ赤っ赤だ。目線まで下にそらして。

 でも確かに。僕も普通に名前で呼ばれたいかも。

 

「あーごめん! 確かに配慮が無かったね……。えーじゃあ……。白雪さん。僕のことも名前で呼んでね」


「……では私も、高槻先生とお呼びします………」


「いや! 先生はつけなくていいよ! それこそ恥ずかしいし……」


 僕の言葉を遮り、綺麗にドリンク達は避けて、彼女が身を乗り出して僕の手を取る。


「駄目です! 先生は先生です! 高槻先生は私にとっての光であり、命綱なんです!」


 すごい表現だ……。日常会話で言われることなんて無い単語が二回連続も来るとは。


 そ、それより……。手……。両手で握られてる……。


「白雪さん……。手が……」

「え! あ!? ごめんなさい!」

 

 身を乗り出した彼女がシュンと元の体勢に戻る。


「……ところで、白雪さんのペンネームの由来ってなんなの?」

「由来ですか? えーっとですね」

 

 彼女が申し訳なさそうな表情を作る、なんだろうか。


「大した意味はないんです……。ただ、例えば、有名作家になってすっごい変な名前をつけていたりしたら、名乗る時に照れ臭くなりそうだなーって……。なら適当につけちゃおーって……そんな感じです……」



 ……確かに……!

 


 その発想はなかった。あれ? ドラセナってちょっと恥ずかしい?

 それに僕の前のアカウント。実は一度アカウントを消してるんだけど。結構なファインプレーだったのでは……?


「白雪さんは僕の前世のペンネームってご存知でしたっけ……?」

「……! もちろんですとも! えーっと……」

 


「「†沈む月クロノス・アルテミス†」」

 


「でしたよね!」

「そうでした……」


 こんなことまで知ってるんだこのコ。僕の心臓部分を握っている。


 沈む月だけでも痛いのに。クロノスとアルテミスつけたの、まじでナンナン? 過去の僕。

 

 しかも十字架サンドイッチまでカマしてるんだよ? 2つもいらなくない? 一つでいいじゃん。十字架なんて。どんだけ吸血鬼恐れてるんだよ。


 嬉々とする彼女。一気に攻勢に出る。

 

「私! 先生は絶対に書籍化できる、大物作家になると信じていました! だから、将来名乗る時どうするのかなーってずーっと気になっていたんです!」


 シミュレーションしてみるか……。

 

「はじめまして……。僕の名前は『†沈む月クロノス・アルテミス†』です……。こうなると……」

「とんでもないポテンシャルを秘めていると思います……。その名前……。」

 

 本当にファンなのか? 煽ってない? これ。黒歴史抉って楽しんでるだけじゃない?


 でも彼女に悪意はないように見える。

 それに、緊張がほぐれたのかとってもにっこりとした笑顔になってる。良かった。僕の黒歴史も役に立ってくれてるんだな。さよなら。『†沈む月クロノス・アルテミス†』。二つの十字架に挟まれた、二人の神様。


 腰を深くし、座り直す。うーん。

 

 僕にも反撃の糸口はないのかな。彼女の悪意なきいじりに対し、どうにかカウンターを打ちたいんだけど。

 全く思い浮かばない……。褒めそやす言葉以外なーんにもない。

 

 いや待て……! あるだろ反撃の糸口!

 

「僕覚えてるよ……! 一時、白雪さんのプロフ……! 変わってたよね!?」

「は……!? ま、待って……!」



「『——1息するのにも、少し飽きた……。』だったよね……!?」



 ハイ勝ち。彼女の顔面。照れても可愛い。眼球に収めよう。

 

「せ! 先生! 何でそれを!?」

 

「いやー! あれってすっごい純文学的で印象深かったからさーー! 記憶に残ってるんだよねーー! なんでプロフに『——』これつかうのかなーーって! 息するのに飽きたら死んじゃわないかなーーって心配で夜も眠れなかったしさー!」

 

「ひ、ひえええ……。止めてください……。私の黒歴史を掘り起こさないでください……!」


 いやいやキャラ崩壊しすぎでしょ。手をブンブン振り回して。

 

 ちなみに僕がこのプロフを覚えている本当の理由は、正直、白雪さんのプロフがカッコいいって、思ったからです!

 でもここでは言いません。仕返しします。


 しかし普通に双方ダメージを受けたな。なにこれ武士の切り合い? 


「……先生……。顔が真っ赤ですよ……?」

「……白雪さんこそ……。名前に似合わず真っ赤じゃん」

  

 二人で顔を見合わせる。どっちのほうが赤いんだろう。どっちのほうが痛々しい過去を持っているんだろう。


 さっきまでは目を合わせるので精一杯だったのに。

 今では少しだけ、笑いながらも彼女を見つめる余裕だってある。


 数秒目線が交錯した後、僕たちの脳裏に先程の黒歴史が巡り、それが思い出し笑いを誘発した。



私はとあるMMOで「バイオレンス・ダークネス」を名乗っていたことがありました。

Stemのアカウント名は大糞便尿員丸です。

痛々しさのベクトルが違いますね。

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