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実質付き合ってる二人が「「AI作家クソくらえ!」」って言いつつ書籍化目指しながらイチャイチャするラブコメ  作者: 瑠火
実質付き合う前

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第十五話:【承】今度は書店に誘導です!前編

◆白雪さん視点◆


 放課後。学校終わりです。

 私はめげずに彼を誘います。

 

「た・か・つ・き・くん♪?」

「ど、どうしたの? 白雪さん」

「放課後、勿論一緒に帰ってくれますよね?」

「うん! 勿論、僕からもお願いしたい」

「それなら、私、寄りたいところがあるのですが」

「ほう。何処に寄ってほしいの?」


「アニメイトさんです! 仲の良いお友だちと、一緒に行くっていうことを、一度はやってみたかったんです!」

「……! それ超良いね! 僕もやってみたい!」

「決まりですね!」

 

 なぜ、普通の書店ではなく、アニメイトさんにしたか?

 

 私の作戦と関係があるからです。

 

 ラブコメコーナーを一緒に見る。以上。コレだけで充分。

 

 本棚一杯のラブコメを、一緒に紡くんと一緒に見るんです。


 理想の恋愛物語を彼に見せたら、流石に彼もその気になるでしょう。勝ち目しかありません。


 できれば……、最初にお互いの好みのコーナーを巡って、そしてちょっと休憩して、ラブコメを見て、その後公園に行って……。


『すきです。詩歩さん。付き合ってください』

『……はい。』


 なんていう、ド直球な告白を聞きたい。


「えへへへへへ……」

「……どうしたの……? そんなにニヤニヤして」

「……そんなに私、笑ってました?」

「うん。なんだかとっても幸せそうだったよ」


 人の気も知らないで―……。もー。


 まあ良いんです。私はこれから段取りを組んでいきますから。


 いいですか、紡くん?


 変化球はいりません。

 なんかよくあるじゃないですか。変な喩えでプロポーズする物語とか。


『君という本の1ページに成りたい。僕の栞になってくれ』


 とか。


『俺が一ページ目なら、お前は二ページ目だ。いつまでも一緒にいよう』

  

 とか。


 いやまあ昔の、私が書いた恋愛小説を引用したんですけどね?

 でもこういうのじゃない。


 普通に、あなたの真っ直ぐな思いを聞きたい。


 リアルなんてこんなものです。


 私は、あなたの『好きです』が聞きたいだけ。


 聞かせてください。あなたの『好きです』を。

  


◆アニメイトさんにて。


 入り口前。


 ……嬉しいです……! 

 初めて友達といっしょに来ることが出来ました……!

 

 私達のお目当ては四階のラノベコーナーにあります。


 それ以降の階に行くと大変。エッチな同人誌とかがいっぱい置いてあるコーナーが視界に入ってしまいます。

 私達は制服を着ています。もし店員さんに見られたら注意されてしまいます。気をつけましょう。

 

 さあ。エスカレーターに運ばれて、到着しました。


「ん―! 本屋さんって匂いがする! 分かる?」

「はい! 私もここの匂いが好きです!」

「さあ! 一緒に本を見よう!」

「はい!」


 そして来る平積みされた書籍たち。

 

「いいなー。書籍化されたらここに並ぶんだよねー」

「そうですねー。夢があります!」

「僕、勿論、本がメインでここに来るけどさ、ポップとかのデザインを見ることも好きなんだよね」

「分かります! 絵を描くことが出来る人の率が多いですよ。本当に」


 旗のように固定された、手書きのイラスト。勿論ここには人気のキャラクターの絵が描かれています。

 それを見た紡君がぼそっと一言。


「面白い本が売れる。コレって当たり前だけどさ。」

「はい」

「もしかしたら、書店員さんが売り場を工夫して作ってくれるから、さらに売れている作品もあったりするのかな」

「……私もそう思います。ポップ一つとっても、デザイナーさんみたいですし、しかもこれ、生成AI使ってません。手書きです。つまり、書店員さんのセンスでこの売り場は構成されています」


 実際に原作のキャラクターがイラスト化されて、それが二次創作として描かれたらもっと嬉しいでしょう。


 しかし……。

 

「……書籍化よりハードルが高いよ……」

「そうなんですよね―……。」

「でもさ、今まではこういう妄想をしても共感してくれる人がいなかったからさ」

 

「私もです。こうやって会話が弾むことが奇跡ですよ。知ってます? 私って一部の生徒に『氷の女帝』とかって名前をつけられてるんですよ!」


 そんな彼らが、私が紡くんと楽しそうに話しているところを見たらどう思うのかな。

 私のあらぬ噂を聞いた、紡君が驚いています。

 

「……そうだったの!?」

「そうですよ。なんで氷属性なんですか」

 

「怒るところそこじゃないでしょ」

「……まあ確かに、闇の死霊術師とか、光の皇帝とかって言われるよりは良いのかな……?」

「いいね。光の皇帝:白雪詩歩」


 子供の頃の夢が叶いました。私、ずーっと光の皇帝に成りたかったんです。


 は! いかんいかん。

 私はやるべきことが有るんでした。紡くんを、どうにか恋愛モードに持って行きたいのです。


「ねね。紡くん。私、ちょっと見たいコーナーが有るんです」

「ん―? ……。ラブコメコーナー?」

「はい! 好きでしょう?」

「勿論!」


 棚を見ると有名作品が列を占領しています。

「詩歩さん。これ知ってる?」


 なんでしょう?


 


『ヒゲを剃る。デスブリンガー鈴木を拾う』


 


 ……本当になんですかこれは……?

 

 

「紡くん……。これ、どういったお話なんですか?」

「えーっとね。これはね」


 ・長年片思いした人にフられたサラリーマン(26歳)が深夜の路上に座り込むデスブリンガー鈴木を見つける。

 

 ・デスブリンガ―鈴木が「ヤラせてあげるから泊めて」と言う。


 ・デスブリンガー鈴木は実は、体を売ることで各地を転々としてきたデスブリンガーだった。


 ・しかし主人公はそれを拒否し、「もしもし、警察ですか? 路上に漆黒の槍を持ったおっさんがいます。来てください」と通報したあと、銃刀法違反で逮捕される。


 「……その後、二人はプラトニックな同棲を始めるんだ」

 「……なるほど……」


 どこで……?!

 

 ムショで……?

 それとも脱獄した後の主人公の家で……?

 それともデスブリンガー鈴木の家で……?

 

 

 そしてどんな流れで同棲が始まるんですか……?

 

 

 それにデスブリンガー鈴木はそもそもおっさんなんですよね?

 それともおっさんみたいな女の人ってことですか?


 これ、誰が読みたいんですか? どんな人が読んでるんですか……?


「……これって一応ラブコメなんですよね……?」

「うん。最後には二人の子どもも産まれるよ」


 ——どっちから……!?——


 おかしいですね。どっちにも子宮も産道も無いはずですが。

 

「……そうなんですね」


 私は頭を抱えました。


 こっからどうやって恋愛モードに持って行けと……?

 

 サラリーマンの半おじさんと槍持ったおっさんの狂ったラブコメの話を聞いて、どうやってピンクな雰囲気に持って行けと……?


 最終巻を見せてもらいました。

 

 普通におじさんとおじさんが熱い抱擁を交わしています。

 お互いのヒゲを剃りながら。


 ——一応タイトル回収されてるんですね……——


「……これがよくアニメ化されましたね……」

「うん。でも作画もすごかったよ。ヒゲを剃る音が生々しいんだ、ジョリジョリって」

「……な、なるほど……」

 

 いやもうデスブリンガー鈴木は良いんですよ。次行きましょう。


「紡くん。他におすすめはないんですか? できればもっと……。狂ってないラノベが読みたいな―なんて……」


「うーん。そうだな。じゃあコレはどう?」



 

 

 

『お隣のデスブリンガー鈴木にいつの間にか駄目人間にされていた件』



 

 


「違うのください!」

短編:お互いの気持ちが知りたい新妻さんと山本くん

https://ncode.syosetu.com/n9087mn/


長編:ひろ子さんはあいつを論破したい!

https://ncode.syosetu.com/n2992mm/


こっちもよろです

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