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人間のいないパラレルワールドを冒険  作者: 唐杜和杵
第一章 タイヨン合衆国編
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第五話「パラレルワールドと客家料理?」

2019年1月22日早朝、台湾の客家はっか(27歳)の人が日本行きの飛行機の中で眠りに落ちた。目が覚めると、ベッドにいた。


えっ?私は飛行機に乗っていたんじゃないのか?


部屋のドアが開くまで、やっと多くのかつてないことを知った?!


彼は人類が絶滅した世界に来たんだ!そして目が覚める日も1月22日だなんて!?……(一言で説明するのは難しい)

朝のヘハモサ・ミダグ特別区には、ひんやりとした湿気がまだ残っていた。街路に並ぶ魔法街灯は消えきらず、淡い琥珀色の光をぽつりぽつりと灯している。その光が、東の空に滲み始めた薄明かりとゆっくり混ざり合い、街全体を静かに目覚めさせていく。


アユミさんと内田さんが左右から私の手を握り、まるで珍しい小動物でも連れて歩いているみたいだ。心の中では、二十七歳の客家はっかの男としてのプライドが「やめてくれよ……恥ずかしいってば」と必死に抵抗していた。

けれど、この短くて小さな手を見下ろした瞬間、反論する気力はすっかり消え失せた。

私は二人に引かれるまま、人混みの中を素直に歩いていくしかなかった。


やがて、木製の看板が揺れる小さな店の前にたどり着いた。

看板にはウィンクする愛らしい猫の絵が描かれ、その横には私には読めないタイヨン文字が並んでいる。

けれど、絵が伝えるメッセージは一目瞭然だ──どう見ても、猫に関係する店だ。


扉を押し開けると、梁に吊るされた骨の鈴が「チリン」と澄んだ音を響かせた。


「いらっしゃいませにゃ〜!」


甘すぎるほどの声が店内に響き、私は思わず肩をびくっと震わせて目を丸くした。


店内は温かなオレンジ色の照明に包まれ、油と粉が高温で反応した香ばしい匂いがふわりと漂っていた。

だが、私が本気で目を奪われたのは内装ではない。

エプロン姿の女性の亜人──頭にはふわふわの三角耳、腰からは長い尻尾がゆったりと揺れ、まるで本物の招き猫のようなポーズで私たちを迎えていたのだ。


(こ、これ……伝説のメイド喫茶じゃないか!? しかも、本物の獣耳娘だと!?)


心の中で叫ぶ。元の世界ではこういうサービスは秋葉原の専売特許だが、ここでは日常なのかもしれない。


私たちは窓際の席へと案内された。

内田さんは慣れた手つきでメニューをめくり、アユミさんはいつも通り背筋をぴんと伸ばしている──けれど、その瞳には隠しきれない期待がきらりと光っていた。


「ここの“ゴールデンパンケーキ”と“バニラミルクティー”は相性抜群よ。エンジェルちゃん、絶対好きだと思うわ」

内田さんはにこりと微笑むと、店員に向き直って言った。

「おすすめセットを三つお願いします」


「かしこまりにゃ〜。少々お待ちくださいにゃ〜!」


店員が去ると、私は思わず半オープンの厨房へ視線を向けた。

そこでは、鋭い眼差しをした猫耳のお姉さんが、巨大な黒い鉄板の前に堂々と立っていた。

彼女の両手に握られた金属ヘラが、まるで二刀流の舞を描くように滑らかに動き、鉄板の上で軽やかな金属音を響かせている。


ジューッ──!


白い生地が熱々の鉄板に落ちた瞬間、勢いよく音を立てて膨らみ、縁にはレースのような焦げ色が広がっていく。

猫耳のお姉さんはそれを手際よくひっくり返し、押さえつけ、仕上げに黄金色の油を刷毛でさっと塗った。


(この動き……この形……)


胸の奥がぎゅっと締めつけられる。

生地は少し黄色く、油からは甘いミルクの香りが漂っているのに──その調理工程だけは、私が竹東ちくとうの市場で何度も見てきた、あの「葱油餅ツォンヨウピン 」そのものだった。


しばらくすると、店員がトレイを抱えて軽やかに戻ってきた。


「お待たせしましたにゃ! 特製ゴールデンパンケーキセットですにゃ〜!」

そう言いながら、頬の横で指で小さなハートを作ってみせる。


(プロすぎる……。この世界のサービス業、レベル高すぎないか?)


私は平静を装いながら、そっと皿の上の料理を見つめた。

黄金色に輝く生地の上には、細かく刻まれた緑の葉がぱらりと散らされている。ネギではなく、どこかレモンを思わせる爽やかな香りのハーブだ。

けれど、立ちのぼる湯気と油の香ばしさが鼻先をくすぐった瞬間、私の食欲は一気に刺激された。


一切れつまみ、そっと口元へ運んで──慎重にかじる。


「カリッ。」


軽やかな音とともに、外側のサクサクした皮が歯の間で砕け散り、すぐにもちっとした弾力のある生地が舌に触れた。

バターのようなコクのある油がふわりと広がり、塩気の中にほんのりとした甘みが溶け込んでいく。

そして、ハーブの清涼感がその濃厚さをすっと引き締め、後味を驚くほど軽くしてくれた。


(……うまい!)


これは葱油餅ツォンヨウピン そのものではない。けれど──食感の“魂”だけは、確かに同じだ。

庶民の味が持つ、あの不思議な安心感が胸の奥にじんわり広がっていく。

私は思わず、隣のミルクティーを一口すする。温かな液体が喉をすっと通り抜け、濃い茶葉の香りに続いて、どこかラベンダーを思わせる柔らかな余韻が広がる。

甘さは絶妙で──その瞬間、幼い頃、冬になると母が淹れてくれたあの温かいミルクティーの記憶がふっと蘇った。


「エンジェルちゃん、気に入った?」

私が夢中で食べている様子を見て、アユミさんはまるで孫を見守るような、やわらかな眼差しを向けてきた。


私は口の周りを油でべたべたにしながら、大きく頷いて満面の笑みを返した。

その瞬間だけは──自分が異世界に来てしまったことも、性別が入れ替わっていることさえも忘れていた。

ただ、美味しいものに癒やされている子どものように、無心で幸せだった。


朝食を終えると、私たちはそのまま中央市場へ向かった。


そこは先ほどの店よりもさらに活気に満ちていて、あちこちから呼び声が飛び交い、さまざまな言語が渦のように混ざり合っていた。


「新鮮な夜光虫だよー! 一瓶三十タオコイン! 夜はランプいらずだよ!」

露店の店主がガラス瓶を高く掲げる。

中ではゼリーのような生き物が淡い緑光を放ち、まるで生きた宝石のようにゆらゆら揺れていた。


「花精特製の虹蜜だよー! 心まで甘くなるよー!」

手のひらサイズの妖精たちが、透明な薄い羽をぱたぱたさせながら空中を舞い、小さな花籠を抱えて蜜を売り歩いている。

内田さんの話では、彼女たちは“花精”と呼ばれ、この世界でも最高峰の園芸師なのだという。


奇妙で目を奪われる光景に囲まれながら、私は胸の奥がわくわくするような新鮮な驚きで満たされていた。

けれど──さっき食べた“ネギ餅風”の味が、なぜか心の奥にしまっていた扉をそっと叩いたのだ。


新竹しんちくの風が、ふっと蘇る。

台所で忙しそうに動く母の背中。

祭りのたびに蒸籠から立ち上る白い蒸気──もち米、大根の千切り、胡椒が混ざり合った、あの独特の香り。


客家はっかの魂の味──菜包ツァイパオ


それは私たち客家人はっかじんの魂の食べ物だ。普通の包子とは違い、皮はもち米で作られ、もちもちとした弾力がある。中身は香ばしく炒めた大根の千切り、椎茸、干しエビ、挽肉などが詰まっている。


(……食べたい。菜包ツァイパオが、食べたい。)


強い郷愁が胸を突き上げ、鼻の奥がツンと熱くなる。

ここに“ネギ餅風”があるのなら──菜包ツァイパオだって作れるかもしれない。

そう思った瞬間、私は露店を一つひとつ注意深く見て回り始めていた。


「エンジェルちゃん、どうしたの?」

私が急に立ち止まったのに気づいたアユミさんが、小首をかしげて覗き込んでくる。


言葉ではうまく説明できない。

私は二人の手をぎゅっと握り、そのまま穀物を売る露店へと引っ張っていった。


そこには、乳白色に輝く丸みのある穀物が並んでいた。

一粒つまんで指先でこすってみると、ほんのり粘りがあり、硬さも絶妙だ。


(これ……“ムーンライトグレイン”? 丸もち米にそっくりじゃないか!)


次に私は野菜売り場へ駆け込んだ。

そこには淡い紫色の皮をした根菜が並んでいて、切り口は真っ白。

匂いは大根ほど強くないが、シャキッとしたみずみずしさはまさにそれだ。


香辛料の棚では、小さな芋のような形をした、強烈な辛味を放つ塊茎を見つけた。


(この香り……白胡椒に近い!)


私は思わず興奮して手をばたばたさせ、食材を指差しながら「こねる」「包む」「食べる」──そんな動作を大げさにジェスチャーしてみせた。


「エンジェルちゃん……もしかして、料理を作りたいの?」

内田さんが首をかしげながら、私の必死なジェスチャーを読み取ろうとする。


私は全力で頷き、目をきらきらと輝かせた。


「でも……」

アユミさんは少しだけ困ったように眉を寄せた。

「宮廷の厨房には、専属の料理長がいるのよ……?」


私は両手を胸の前で合わせ、今の姿で使える最強の武器──無垢で潤んだ大きな瞳を全力で発動した。

アユミさんは三秒ほど必死に耐えたものの──


「……はぁ、わかったわ。買って帰って試してみましょう。


でも、料理長が許可してくれるかどうかは保証できないわよ?」

と、結局あっさり折れてしまった。


宮殿に戻ると、私たちは迷うことなく厨房へと向かった。


そこは“厨房”というより、もはや大広間そのものだった。

高い天井からは巨大な乾燥肉やハーブの束が吊るされ、白い制服を着た亜人シェフたちが十数人、慌ただしく動き回っている。

包丁のリズム、火のはぜる音、鍋のぶつかる音──それらすべてが混ざり合い、まるで活気に満ちた料理の交響曲を奏でていた。


「すみません、少しお時間よろしいでしょうか」

アユミさんが丁寧に声をかけながら、私たちを厨房の中央へと導いた。


そして──そこに立っていたのは、ひと目で“只者ではない”とわかる存在だった。


身長はゆうに二メートルを超え、岩のように分厚い筋肉をまとった巨体。

その料理長がゆっくりと振り向いた瞬間、私は思わず息を呑み、膝ががくりと震えた。


(な、なんだこの生き物……!?)


彼は普通のイノシシ亜人ではなかった。

何より目を奪われたのは──その“牙”だ。

普通のイノシシの牙は口の横から伸びるものだ。

だが、この料理長の上牙は──鼻先の皮膚を突き破り、真上へと伸び、そのまま弧を描いて額へ向かっている。

下牙と合わせて四本の牙が交差し、まるで天然の白骨で作られた仮面をまとっているかのようだった。

その姿は凄まじく、そしてどこか古代の神獣を思わせる神聖さすら漂わせていた。


私の脳内図鑑が高速でページをめくる。

(あっ……これだ!)

インドネシア・スラウェシ島に生息する特有種──スラウェシバビルサ(Babyrousa celebensis)!


「……ん?」

料理長が低く鼻を鳴らした。地の底から響くような重い声だ。

彼がぐっと顔を近づけると、湾曲した牙が灯りを受けてきらりと光り、私の顔まであと数センチという距離に迫った。


名札には、タイヨン文字で「バーク(Bark)」と刻まれていた。


「バーク料理長。こちらは東地皇トウチオウ陛下より賜ったご来客、エンジェル嬢です」

アユミさんは、巨大な牙の威圧にも動じず、落ち着いた声で紹介した。

「彼女、厨房の一角をお借りして、一品作ってみたいそうなのですが……」


「……料理を、だと?」

バーク料理長は細い目をさらに細め、私たちの持つ袋へと視線を向けた。

毛むくじゃらの大きな手で袋の中から“火芋”をつまみ上げると、鼻先にぐっと押し当て、深く嗅ぎ込む。


「ふんっ」

鼻から吐き出された熱気が、私の前髪をふわりと揺らした。

「紫根に、ムーンライトグレイン……そしてこの刺激臭の火芋か。

小娘、これは料理を作るつもりなのか? それとも毒でも調合する気か?」


(害虫除け!? この世界じゃ火芋って虫除け扱いなの!?)心の中で全力ツッコミを入れつつも──客家の誇りが私を後ろへ引かせなかった。

胡椒は、菜包ツァイパオの“魂”なのだ!


私は震える膝を必死にこらえ、勇気を振り絞って顔を上げた。

あの恐ろしい牙が視界いっぱいに迫る──ちょっとでも頭を下げたら刺さりそうで怖い。

それでも私は灶台を指差し、「見ててください」という意思を込めて、はっきりとジェスチャーした。


バーク料理長は、しばらく無言で私を見下ろしていた。

その視線は、まるで頂点捕食者に射抜かれているかのようで──背筋がぞくりと冷たくなる。


そして──次の瞬間。

バーク料理長は口を大きく開け、鋭い犬歯を覗かせながら豪快に笑い出した。


「ガハハハハッ! いい目だ! その“死んでも退かない”目つき、気に入ったぞ!

よし、端の灶台を貸してやる。ただし──まずいものを作ったら、お前も火芋と一緒に外へ放り出して害虫駆除に使ってやるからな!」


その声は厨房中に響き渡り、周囲のシェフたちがびくっと肩を跳ねさせた。


挑戦──受けて立つ。


私は深く息を吸い込み、内田さんが用意してくれたエプロンをきゅっと締めた。

骨の仮面をまとったようなスラウェシバビルサの料理長が目の前にいようと、ここは私の“戦場”だ。

料理台に立った瞬間、私はただの子どもではなく──料理人になる。


まずは──“皮”づくりだ。

ムーンライトグレインを粉に挽く作業は想像以上に大変だったが、内田さんの力を借りてなんとかやり遂げた。

そこに温かい水を少しずつ加え、両手でこねていく。

水加減は命取りだ。多すぎればべちゃっと崩れ、少なすぎればひび割れてしまう。

私は記憶に残る“手の感覚”だけを頼りに、生地が指で押すとゆっくり戻る、あの理想の状態へと仕上げていった。


(これが客家はっかの“バン”……! 弾力だけは、絶対に妥協できない!)


次は──“餡”だ。

紫根の皮をむき、細く千切りにする。

ここには干した菜脯ツァイボォがないから、生のまま使うしかない。

余分な水分と土の匂いを抜くために塩でもみ込み、ぎゅっと絞る。

そして、火芋を細かく刻み、香りを立たせるために熱した油へ投入した。


ジュワッ──!


火芋を熱した油に落とした瞬間、鋭くて攻撃的な辛味が一気に弾け、厨房中へ広がった。

白胡椒と生姜を合わせたような、野性味あふれる刺激的な香りが鼻を突く。


周囲の料理人たちが一斉に手を止め、鼻を押さえて後ずさった。

「うっ……なんだこの匂い!? 辛っ……!」

「目がしみるってば……!」


だが──バーク料理長だけは違った。

嗅覚に優れたスラウェシバビルサの亜人である彼は、この刺すような香りの奥に潜む“別の層”を嗅ぎ取ったらしい。

一歩も退かず、むしろ興味深そうに前へ踏み出す。

湯気の中で、湾曲した巨大な牙がちらりと光った。


「この小娘……高温の油で火芋の“野性”をねじ伏せる気か」

バーク料理長が、低く唸るように呟いた。


私は絞った紫根を加えて炒め合わせ、味付けは塩とほんの少しの砂糖だけにとどめた。

大事なのは──火芋の辛味を“主役”として引き立てることだ。


餡が仕上がったら、いよいよ最後の工程──“包む”作業だ。

これは技術がものを言う。

もち米の生地を手のひらで碗状に広げ、たっぷりの餡を詰め込む。

そして、虎口を使って口を閉じ、背骨のような美しいラインを作り上げていく。


(形は……母さんのほど綺麗じゃないけど、うん、悪くない)


白くてふっくらした菜包ツァイパオを、葉を敷いた蒸籠にそっと並べていく。


(──いけ、火を入れろ)


強火で一気に蒸し上げる。

蒸気が立ちのぼり、もち米の甘い香りと餡の香ばしさがゆっくりと混ざり合っていく。

温かく、どこか懐かしくて、胸の奥をそっと満たすような香りが広がった。


二十分後──


私は火を止め、深く息を吸い込んでから、ゆっくりと蒸籠の蓋を持ち上げた。


白い蒸気が、ぼわっと一気に広がり、雲のようにふわりと漂った。

蒸気がゆっくり晴れていくと──

透き通るような白い皮の奥に、ほんのり紫色の餡が透けて見える菜包ツァイパオたちが姿を現した。


「これ……なに?」

内田さんは驚きで目を丸くし、思わずごくりと唾を飲み込んだ。


バーク料理長もゆっくりと近づいてきて、その巨体が私たちに影を落とした。

彼は菜包ツァイパオを一つつまみ上げ、牙に触れないよう慎重に口元へ運んだ。


「皮はムーンライトグレインで作ったのか?こんな使い方は見たことがない。ムーンライトグレインは普通、酒に使うはずだが……」


私は熱々の一つを皿に置き、アユミさん、内田さん、そしてバーク大叔に差し出した。横のナプキンに、私は歪なタイヨン文字で「菜包ツァイパオ」と書いて渡す。


ツァイ……パオ?」バーク大叔がその見慣れない言葉を口にし、牙を避けながら大きな口でかぶりついた。


場内が息を呑む。


咀嚼──

もう一度、咀嚼──


その瞬間、バーク料理長の動きがぴたりと止まった。普段は獰猛に見えるその小さな目が、今は丸く見開かれている。


「この外皮……なんだ、このもちもちなのに歯にくっつかない弾力は……?

そして、この餡……火芋の辛味が完全に消えて、温かい香りへと変わっている……!」


彼は振り向いて私を見た。牙が顔に当たりそうになるほど近い。


「火芋の辛味が完全に消え、温かい香りに変わっている。紫根の甘さを完璧に引き立てている!これは……まさに“暴力的な優しさ”だ……!」


(暴力的な優しさって……大叔、内面に詩人が住んでるのかよ?)


「……うまい!!」

バーク料理長が咆哮すると、厨房中の空気がびくりと震えた。「もう一個!いや、この蒸籠全部よこせ!」


凶悪な見た目だが、食に対しては無抵抗なこのスラウェシバビルサ大叔を見て、私は思わず誇らしげに微笑んだ。


アユミさんは上品に一口かじり、そっと目を細めた。

そして、うっすら涙を浮かべながらつぶやく。

「味は初めてなのに……なんだか懐かしいわね……」


内田さんはというと、すでに二つ目を頬張っていた。

「これ……毎朝食べたい……!」


彼女たちの満足そうな表情を見て、私は手の中に残った半分の菜包ツァイパオを見つめ、そっとかじった。

材料が違っていても──この味は、間違いなく“故郷”だった。


紫根は白大根ではないし、火芋は白胡椒ではない。ムーンライトグレインも丸もち米ではない。でも、この頑固なまでの挑戦と、記憶を再現しようとする執念は、確かに伝わった。


この世界に艾草アイツァオがあるかは分からないが、母の黄ばんだノートに残る文字の一つ一つには家族への愛が滲んでいた。


地球から何光年離れているか分からないこの世界で、私はこの世界の食材を使って、客家はっかの魂を包み込んだ。これは単なる料理ではない。故郷への想いであり、ここで出会った彼女たち──私の新しい友人たち──との架け橋でもある。


私は窓の外に浮かぶ月を見上げ、小さく呟いた。

(お父さん、お母さん、私はここで元気にやってるよ。今夜の夕飯は、客家はっか菜包ツァイパオにしたよ。)

日本語でライトノベルを書けるようになり、文法がおかしい、修正が必要だというコメントがあれば、学んでみてください。お願い^ ^

《人間のいないパラレルワールドを冒険》オリジナル中国語

#pixiv https://www.pixiv.net/novel/series/1328768

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