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【2/15 書籍3巻発売】お狐様にお願い!~廃村に残ってた神様がファンタジー化した現代社会に放り込まれたら最強だった~  作者: 天野ハザマ
第十二章

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お狐様、月岡温泉に行く13

「うわ……何これ……」

「おお、何やら凄いことになっておるのう」


 月岡温泉のお湯は元々エメラルドグリーンのような色で有名だったが……その色がより濃く、そしてうっすら光を放っていたのだ。


「ぬう……これは魔力の光じゃの……?」

「そうね。なんでこんなことに……って、あっ」

「ぬ?」

「そうか。ダンジョンの影響よ……!」


 そう、ダンジョンが出来た場所周辺の温泉は魔力を含むことで効能を強くする。

 熱海、鬼怒川、草津……何処もダンジョンの影響でその効能が強くなっていたが、月岡温泉もそうなったというわけだ。


「だとしても、儂……いままで、光る温泉など見たことはなかったがのう」

「私だってないわよ。とはいえ、ないとは言い切れないけど……」


 人類は魔力というエネルギーの全てを理解できているわけではない。

 そもそも「水」ではなく何故「温泉」なのか?

 それすらも分からないが人類に利益があるという一点で「分からないけど良いもの」となっているわけで……しかしライトアップされているわけでもなく自力で光る温泉に警戒心が湧くのは当然のことと言えた。


「ふむ」


 あからさまに警戒するサリナの横でイナリは露天風呂の湯船に手をつけ、そのまま桶を入れて掬い……光っているその温泉水をかけ湯して、ゆったりと浸かり始める。


「ふむふむ……はぁ~……」

「何がふむなのよ……ていうか普通に入ってるけど大丈夫なの?」

「うむ。何もありゃせんのう……というか、これはあれじゃな……効能があからさまに上がっておる……」


 言われて、サリナも湯船に浸かるが……瞬間、ハッとする。身体の中に何かが流れ込んでくる感覚。

 それはポーションのもたらす回復感にも似ていて。

 身体が、皮膚が。サリナを構成するものが癒されていくのを感じていた。


(嘘でしょ……いくら効能が強くなるっていったって、ここまでじゃないわよ。これだと、文字通りの回復薬じゃない……!)

「これ、とんでもないことになるわよ……」

「そうじゃのう。本部に連絡せにゃならんの。草津のようになってはたまらん」

「え? 草津? あー、そういや色々あったって聞いたけど……もしかして何か表に出てないこと知ってる?」

「さあのう……はー、肌が若返る感じがするのじゃ」

「もちぷる卵肌が何言ってんのよ……カンスト突破して美容界を征服でもするの?」

「そんなこと言われてものう」


 イナリの身体はあくまで人間のそれを模しているだけなので、すでに人類の限界を軽く突破した美肌であるといえるのだが……まあ、さておいて。

 イナリの言う通り、これほどの効能の温泉があるとなれば、かつてタケルを思い詰めさせた草津の事件の繰り返しとなってしまう可能性だってある。

 だからこそ、この件は早めに覚醒者協会日本本部を介入させるべきであり、そうなれば恐らく月岡温泉は覚醒者協会の管理下に置かれることになるだろう。そうなれば、非覚醒者の有力者などは指先一本伸ばすことは出来なくなるのだから。


「そうと決まれば善は急げじゃ。早速電話するとしようかのう」

「いやいや、待ちなさいよ。これは地元の問題なんだから私が電話するのが筋よ。大人しく温まってなさい」

「む? そうかの?」

「そうよ」

「ではお任せするとしようかのう」


 急いで温泉を出ていくサリナだが、それを見送るとイナリは温泉に更にゆっくりと浸かる。

 ああ、確かに良い効能だ。今まで浸かったどの温泉よりも魔力が濃い。

 しかし、少々濃すぎるようにも思う。何故月岡温泉だけがこうなっているのか?


「ふむ……? やはり奴のせいかのう?」


 神のごときもの【翼ある山羊】。

 帰りの転送時にアレが干渉したことで何かおかしなことになっている可能性もあるのではないか?

 まあ、人体に影響を及ぼすものでもなさそうなので、イナリも何もする気はないのだが……。


―【翼ある山羊】は自分のおかげであると胸を張っています!―

―【翼ある山羊】はダンジョンの及ぼす魔力的影響の強弱の問題であり、少なからず良い反応があるはずだと言っていますー


「ふむ……? その辺りはよう分からんが……人の子に害はないのじゃな?」


―【翼ある山羊】は有害無害の基準はいつでも変わり得るものであり断言など出来ないと言っていますー


「まあ、それはそうじゃろうがのう……扱いきれぬものであるなら封じる手段を考えねばならぬが」


―【翼ある山羊】はそこまで深刻な問題は出ないだろうし、出るものがあるなら遅かれ早かれのものでしかないと肩をすくめていますー


「……ふむ」


 どうにも、この神のごときものたちは「そういう」発言をすることが多々あった。そうイナリは思い出す。

 まるで、旧時代とは……いや、今とも違う何かが今後起こるような言い草だ。

 なんとなく想像できる気はするのだが、まさかとも思ってしまう。

 もしそんなことが起これば、この世界はどうなってしまうのか分からない。


「……天孫降臨。よもや、じゃが……」


 今は何の確証もない。しかし絶対にないとも言えない……今は、ただの想像の話である。

Tips:天孫降臨

いわゆる建国神話。

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― 新着の感想 ―
覗き魔発見
バスク〇ン色? 青白い光でなくてよかった
ちょっと覚醒者協会経由で宮内庁に確認とって貰わないと 確認しとかないとしれっと皇族が覚醒者になってましたとか、クラスが現人神でしたとか、皇居にダンジョン出来てましたとかあり得る…
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