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【2/15 書籍3巻発売】お狐様にお願い!~廃村に残ってた神様がファンタジー化した現代社会に放り込まれたら最強だった~  作者: 天野ハザマ
第十二章

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お狐様、月岡温泉に行く10

 しかしまあ、契約はしなかったのだ。

 契約するとしないでは大きく差があるし、今気づけただけでも上々といえる。


「はあ……まあ、いいわ。報酬ボックスでも開けましょ」

「うむ、ちょうど二個あるしのう?」

「そっちは貴方のでしょ?」

「儂は気にせんが」

「私がするのよ」


 サリナとしては、イナリがソロでクリアしたダンジョンの報酬を自分の分に加えるつもりなど微塵もない。善人なのはいいのだが、その辺をしっかりしてほしいと思いつつ……金の報酬ボックスの包み紙を開けていく。

 中から出てきたのは……おかしなデザインのナイフだ。

 刀身はSの字を描くように湾曲しているし、グリップの先にはドクロの飾りがついている。

 使えば呪われそうな、そんなデザインで。サリナは「うっ」と嫌そうな声をあげてしまう。


「……何これ。黒魔術の品か何か?」

「あ、そうですね。名前が『黒魔術ナイフ』になってます。呪い系のスキルをランダムで発動するんだとか」


 鑑定役の職員が「面白いですね」と頷いていたが、サリナとしては何も面白くない。

 サリナの方向性とは違うし、イナリの方向性とも違う。


「……一応聞くけど、要る?」

「いらんのう」

「そうよね。オークションに出して儲けを折半しましょ」


 デザインはともかく、効果は悪くない。後衛の覚醒者であれば重宝するかもしれない。

 ちなみにイナリが持っているのは銀の報酬ボックスだが……開けてみると、こちらから出てきたのは古ぼけたデザインの木の杖だ。


「古木の杖、ですね。魔法の威力が多少上がるらしいです」

「どうかの、サリナ?」

「いらないわねー……デザインが方向性違うわ」

「ではこれもおーくしょんじゃのう」


 たぶん悪魔とか魔界とか、そちら方面のアイテムということなのだろうけどもサリナとしては少しばかり思うところもある。そう、具体的には。


「なんか……普通のアイテムよね」

「つまらん、ということかの?」

「別に堅実的って言ってもいいけど。仲間割れのギミック仕込んでる割には普通っていうか。もっと変なアイテム出てくると思ってたわ」

「そういうのが欲しいんかの?」

「欲しくないけど」

「うむ」


 あまり妙なアイテムが出てくるようなら規制品になる可能性だってあるし、そういうのはサリナも望んではいない。ただちょっと覚醒者を引き寄せる報酬としてはパンチが弱いな、というだけだ。


「……ただ、それならそれで普通のダンジョンだったらいいのにって思うのよね」

「あんでっどでなかっただけ良いのではないかのう」

「アンデッド? ああ、そういや都内にそんなのあったわね……あの辺、都内なのに地価下がってるの可哀想よね」


 ちなみに急上昇しているのは巣鴨や駒込の近辺だがさておいて。

 ダンジョンがあるから地元が儲かるというわけではないのは、本当にままならないものではあるのだ。

 ……ちなみにサリナの見立てではこのダンジョンは「まあまあ」といったところだろう。

 妙なギミックも多いが、それが何か特別な可能性をも感じさせて、それなりの人気を集めるだろうからだ。

 少なくともギャンブルボスと呼ばれる積み木ゴーレムを相手にするよりは余程いい。


「……ん?」


 積み木ゴーレム。

 その存在を思い出して、サリナはイナリをじっと見る。

 そういえば、見ていない。


「ねえ、イナリ。アツアゲはどうしたのよ」

「む? 今回はエリと留守番しておるそうじゃが」

「……貴方のパートナーよねアレ?」

「自由じゃからのう……」


 アツアゲはそういうところがあるが、イナリもそういう本人の意思を重視するところがあるので何の問題もない。


「ま、いいわ。なんか疲れたし宿に行きましょ」

「あっ! お二方、ちょっとお待ちを!」

「何かあったかの?」


 バリケードから出て行こうとした二人に駆け寄る職員に、イナリが振り返れば職員はなんとも申し訳なさそうな表情になる。

 今から面倒なことを言います、といったような顔にサリナがちょっと口の端をひくつかせて。それでも表情に出さないのはプロだ。


「実はですね、その……あと数日、近くに滞在して頂きたいんです。お二人からご報告を受けた内容を精査するに、ある程度のデータを継続して集める必要がありそうなんですが、それで……その。何かあった時にご協力いただきたいなと」

「儂は構わんが」

「あー……仕方ないわね。その分の補償は出るんでしょ?」

「それはもう!」


 むしろ日本本部からの指示なので多少無茶を言われても受け入れろという話になっているのだが、イナリもサリナも日本の覚醒者の中でも屈指の「良い人」であって、そんなことになる可能性は極めて低いのだ。


「じゃあ決まりね。帰って温泉入りましょ」

「おお、それはええのう」

「イナリってお酒はいけるほうだっけ?」

「飲んだことはないのう」

「じゃあいざってときに動ける程度に呑みましょ」


 まあ、覚醒者はアルコールでどうにかなる程身体は弱くないし、イナリには酔う機能なんて存在はしていないのだけれども。

 温泉とお酒。それは温泉と牛乳くらいには定番の組み合わせであることは間違いないだろう。

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― 新着の感想 ―
そういえばご飯食べるだけでお酒は全然でしたね。御神酒上がらぬ神はなしと言うのに。
うーん、何処までも残念なダンジョンって印象が凄いw
イナリの場合、呪いが必要なら忌剣っていう殺意MAXのやつがあるし…
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