第103話 死んだ目○
ダンジョンへとダイブしたルーツとイルーシィ。ふたりを出迎えた仄かに青く光るセカイ。
「玄関は何もないタイプか、よし」
「よし、じゃないんだけど早く離して」
「ん?」
突如、パーティーを組んでいる彼女の蹴りがルーツへと飛んできた。不意のことで手を離し尻餅をついてしまったルーツ。
「ぐあ、っ痛ってえ」
「何座ってんの早く行くよ」
「狂暴だなぁおまえ」
「そっ」
「そっ、って……」
立ち上がり玄関部屋の3つある内の右の通路を進んで行くふたり。
各々は武器を手に取り構える、浅い層でも気を抜かず油断はしないそれがダイバーということだろう。
「剣を使うのね」
魔法鉄の剣、この男ルーツのメインウェポン。自動修復機能を持っておりその頑丈さゆえダンジョン内ではこれ1本でも頼りになる武器だ。
「あぁ俺はこれが一番。あんたは……槍か」
「私もこれが一番。剣は必要ないわ」
至ってシンプルな素槍、槍としての重量も抑えられ扱いやすいタイプだろう。彼女の戦闘タイプに合わせて採用されたのだろうか。
「そうですかい……」
「じゃ、やりますか」
開けた部屋、岩が障害物のようにドカドカと置かれたステージ。岩陰から現れた中型筋肉質肌色のインプたち。
インプたちに向かい剣を両手で持ちひとり突っ込んで行くルーツ。
「ちょっと!」
ルーツに対し寄ってたかって四方から襲い掛かるよう群がって来たインプたち。だが。
「ダああああああああ」
荒い剣風が群がるインプたちを叩き斬り裂いていく、その怒涛の剣風、狂ったように止まることを知らず敵を殲滅していく。
そして男は岩上へと登り残党を見つけた。
「ははっ、そんなとこにいたのか」
跳躍。鋭い鉄の暴力が舞い降りて来る。
その残り1匹のインプの首は刎ねられ、男はダンッと着地した。
「いい調子だ、ははっ」
笑っている、その鉄の剣を上にかざし見つめながら。
「どんな目よ、気色悪いやつ……」
イルーシィが手を出す暇もなく片付けられたインプたち。命をどこに置いているのか分からない不気味なルーツの戦い。
イキイキとしたその青年の黒い目は暗がりの奥でこそ輝くものだった。




