ただの薬剤師
「どんな物なのか、楽しみだな!」
一人ではしゃいでいるのはアサン。おそらく、湖を想像して興奮しているんだろう。
ロイク、アサンなどと出会ってから三週間は経った、気がする。で、今居るのはその目的の『街』だ。
レイクレイン街。その名の通り、「湖と雨」の街だ。観光地として有名で、特徴的なのが大きな湖。その湖は綺麗で、夕暮れ時などに見ると更に綺麗らしい。そして、もう一つの特徴が、国内最大の大雨。しかもただの雨ではなく、魔素を大量に含んだ雨なのだ。この土地が巨大なマナスポットと言っても過言ではない。雨天時だけだが。
そんな街に入る前に、問題が発生した。
「あの人に見つかりたくない・・・・」
と、ルアが言ったのだ。
この土地、コレだけ有名なのだから、もちろん大都市だ。そこには貴族の別荘が多くあるわけで。その別荘の一つにヘルクス家、つまりルアの実家の別荘があって、そこに『どうしても会いたくない』親戚のお兄さんが住んでいるらしい。会いたくないのは、王都に返される可能性があるのと、単純に苦手だからだそうな。そのお兄さんは騎士の仕事を受け持っているんで、見つかる可能性が高い。
そうして、ここで足止めをくらっているのだ。
「うーん・・・普通に変装すればいいんじゃないかな?」
と、ロイク。
「でも、そんな変装するものもってきてないよ」
と、ルア。
「ルアちゃん、か。副業みたいなものは?」
と、アサン。
「一応、薬剤師」
「うん。それなら騙せるかもな」
「え?」
ルアの話によると、その親戚のお兄さんはルアが女である事を知らないらしい。「男なのによわっちいな」という認識らしいのだ。さらに、ルアが薬などを作り始めたのは、そのお兄さんが来なくなった頃。
ということは・・・・・・
「ただの女薬剤師に化ければいいんだ」
ということだ。しかし化けるって・・・・
いい案ではある。単純だが。丁度、ルアは薬品製造時の作業着を持っているので、それを着て普段まとめている髪をおろした。パッと見別人だが、少しジッと見るとルアだとわかってしまう。
「うーん、いい案だと思ったんだが」
そうアサンが言う。確かに、アイデアはいい。
あ、そうだ。
「ルア、化粧品とか持ってる?」
「え?あるけど・・・なにすんのソーラ」
「ちょっとね。目つぶってて」
俺はルアから化粧品を受け取ると、ルアの顔に簡単に化粧を施した。
横から「ほぇー、そういう事にも手が回ってるんだ。器用だね」とか「ほんと万能だな。ソーラ」とか聞こえてくる。と言うか、なんかデジャビュを感じるんだが・・・・まあいい。
というか、孤児院でもこんな感じだったな。「メイクしてー」と頼んでくる子いたし、化粧し始めるとまわりに他の子が集まって「兄ちゃんすげー」とか「あたしもできるようになりたいなー」とか聞こえてくるし。多少故郷を思い出したな・・・・。
「よし、大体コレでいいだろ」
俺が施した化粧は、子供っぽく見えるように工夫したものだ。目を若干大きく見せるだけでも結構幼く見える。元々身長が低かったので、(151cm。ルア17歳)さらに幼く見える。これで良いだろう。
身内が見ても、すぐルアだとわからないだろう。
「おおー、お兄さんすごいね。化粧だけで結構変わるもんだね」
「まるで別人だな。これなら似てるで済むと思うぞソーラ」
「え?」
ルアは手鏡を取り出して自分の顔を見ると、驚いたのか目を見開き、何度も見直した。
「・・・・すごいよ、ソーラ。ボクから見ても似てる、くらいだ」
「まあ、一応万能言われてるし」
「あとは、名前だねー。どうすんのルアちゃん。アサンクンとお兄さん、なんかある?」
そうだ、まだ問題があった。もしルアと呼んで、それで気づかれたら無意味。
うーん・・・・ここはルア本人に任せるか。
「ルア。なんかあるか?」
「・・・・・ねえ、ソーラ、アサン、ロイク。今後、『メリア』って呼んでくれない?できれば、町を出た後も」
「?・・・・とりあえず、わかった。メリアだな?」
「メリア・・・・じゃ、メリーちゃんか。そうやって呼ぶよ」
「メリアちゃんか。もう一回ヨロシク」
ふむ・・・・メリアね。うっかりルアと呼びそうになるかも知れんな。注意しよ。
最近になってPC禁止令が親から下されました。
次話更新がどんどん難しくなっていく・・・・・・
テストで平均以下だと更に期間が延びるらしいです。僕の学力に期待してくれ




