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貴族の家出

なーんか、おかしい。

最近ドラネスで遊んでいるが・・・・クソ重い・・・・

「だ・・・だれ!?」


 目の前の女性はそう叫んだ。

誰?と聞きたいのはこちらも同じである。何してんのこんなところで・・・・


 やはりこの世界の女性は危機感が弱い。確信した。


「ねえ、ちょっと!なんで、ここに居るの?」

「いや、こっちが聞きたいんだが・・・・」


 じりじりと後ろに行かないで、一回上がったらどうなんだ・・・・


「・・・・なにが目的?ボクを襲いに来たの?」

「いや、とりあえず服を着ろよ・・・・というか、女性が襲うとか言うな、主に男に対して」

「・・・・・」


 いや、警戒すんの分かったから・・・・さっさと着て欲しい。この女性はちゃんとした危機感を持ってるみたいだ。よかった。全員トルナロみたいじゃないんだな。よかった・・・・いや、確かに、トルナロは男としてはうれしいんだろうが・・・・ここらへんどうなんだろうか?


「・・・・で?キミはだれなの?」


 声がしたので振り返ると、もう服を着た女性がいた。早いなお前。


「そっちから名乗ったらどうですか?」

「むっ・・・・ルア」

「ルア・・・・?なんだったか、どっかで聞いたな・・・・」


 どこだっけ?なんか、聞いたことがあるような・・・・・あ、


「ヘルクス家の息子の名前だったか。・・・・え?女の人ですよね・・・・・?」


そう言ったら、何か諦めたような表情をしてから・・・・


「~っ、そうだよ!女だよ!」

「うわっ!?」


 なんか、いきなり叫びあげた。なんだ・・・・?

これはあれか?なんか、親が意図的に女であることを・・・・っていうよくあるやつ。


「ああ、もう!いいでしょ!?名乗ったら!?」

「あ、んと・・・・双羅・・・ソーラ・・・・」


あ、それと、こっちの世界ではソーラと呼ばれていたため、「双羅」ではなく「ソーラ」と名乗ることにした。皆、そうらの「う」を言えないんだよね・・・・


「ソーラだね・・・!」

「お、おう・・・」


なんで、そんな険しい顔してるんだ?迫力がすごい・・・・ちょっと怖い。


「なんで、ここに居るの?」

「丁度良いとこだったし・・・・」

「あっそ・・・・」


 えと?大丈夫かな、これ。というか、貴族だろ一応・・・・俺なんかされないか・・・・?


「・・・・そうだ。ねえ、この町に住んでるの?それとも旅?」

「いや・・・・この街ではないが、ここらへんに住んでます・・・・けど帰れないですし」

「そうか!うん、そうだよ!」

「え、ちょっと大丈夫?」


 大丈夫!とルアが答えると・・・・


「ねえ、一緒に旅しない?一人二人欲しかったんだ・・・・できれば、女の子がよかったけど」

「ん?え?」


 なんだこれ・・・・なんかデジャブを感じる・・・・気がする。

というか、旅?


「準備は全部こっちで済ませるし、馬車あるし、どう?」

「いや、いいですけど・・・・・」


 やった、とはしゃいでる貴族。というか、なんで一般人と旅?話が急じゃないか?


「なあ、どうして今知り合った人と旅?家族で行けば・・・」

「えっと・・・・それは、あれだよ!あれ!」


 なんか、家族って聞いたら目が泳いだ。これはアレだな。孤児院でも見たことがある反応・・・・・


「家出ですか」

「うぅっ、なんで、ばれたのかな・・・・・?」

「いや、見たことある反応ですし、貴族が一般人とって・・・・・道楽か家出しかないと思いますけど」


ちょっとこっちを睨んだ。怖い・・・・


「・・・・・そういう自分はどうなのさ、見たところ16か17でしょ?」

「師匠に放りださ・・・・締め出されて。そして俺は19です」

「19!?」


 ボクより年上・・・・とかぼやいてる。年下?なのか。外見同じ歳くらいなんだがな・・・・この世界の人って、少し歳が上に見えるんだよな・・・・いや、彫が深い所為か。

たぶん、日本人が若く見られるのと同じだろうな。そうすると、この世界にも東洋人は居るんだろうか?

あの師匠、ほんとあんまり教えてくれね・・・・


「・・・・・いいや。その分魔物とかはどう?」

「一応、弓は・・・・」

「弓以外でなんか」

「槌・・・・?」

「槌・・・・ハンマー?珍しい戦い方だね」


 いや、弓のほうが本命なんだが・・・・そして、俺は槌で戦い事は少ない。

とか何とか考えてると、ルアが近づいてきた。


「戦えるんだね?じゃあ決定。雇うことはなしっと・・・・」


 俺が戦えなかったら雇うことも考えてたのか・・・・俺は、俺にとってこれは得があるのか?

・・・・貴族と知合いになるって、得だよな・・・・得だと信じたい・・・・

 まあ、そのうち商売を始めるから、貴族と関係をもつのはいいことか。


「じゃあ、準備して来る。明日の昼、ここで待ち合わせ。わかった?」

「あ、分かりました・・・」


 じゃあ、といって去っていった。まだ家出してなかったのか・・・・いや、するのか、明日。

俺も明日に備えて早く寝るか・・・・で、どうするよ、自分。


 どこで寝ようか?



◇◇◇



「馬車一式を出しやすい所に用意しといて。小さくて目立たないやつ。あと、銀貨・・・5枚あればいいか。この事、父さん達には内密で」


現在、ヘルクス家のルアの部屋。命令したのは、仲の良い召使こと兵士。ちなみにこの兵士はルアが女である事を知っている。知っているのは両親と一部の者だけである。


そしてルアは家出の準備の真っ最中である。


(はあ・・・・ばれないかな?母さんは明日帰ってくるし、大丈夫かな?ああでも、父さんにはばれそうだ・・・・いや、母さんが一番厄介かな?)

「はぁ・・・・まあ、ばれても逃げればいいか・・・・」


あとは、武器と薬品関連の物かな・・・・



◇◇◇



あの後結局、残り少ない銀貨で宿に行った。王都の宿は割と安かった。銀貨4枚である。

今現在、宿の部屋。


「はあ・・・・あの人は・・・・」


 何だまったく。なんでこの世界で唯一我が家と言える所に帰れないんだ・・・・おかしい。

・・・・どうしよう、暇だ。


 ここは宿だし、作業をするにも迷惑だろう。音とかね。


「はぁ・・・・なんなんだ、まったく」



◇◇◇



次の日の朝、とりあえず宿の朝食をとって部屋へ戻る。

備え付けのベットに座り、手持ちの本を読んでいるのだが・・・


「暇だ・・・・」


暇である。どうしよう・・・・・

チョロチョロまわったり、ラジオ体操したり、多少変形フォームで遊んだり。おかげで今ちょっと辛いが・・・・


「そうだ、先あの湖へ行って・・・・」


 湖へ行って鍛冶作業でもしてようか。仮にも魔術鍛冶屋マジックスミスなんだし、最近鍛冶できてないし・・・・


 ・・・・あ、魔術工業者マジッククラフターだった・・・・


 宿から出て、あの湖まで行った。

うん、やっぱりここは静かだ。さあ、ここで作業しよう。水があるから、思いっきりやれる。

さあ、カンカンと音を響かせよう。


 まずこの重い金床を置いて、バック(?)の中を確認する。

あれ・・・・鉄って、結構使ったはずなんだが・・・・まだけっこう余ってるな。

今回、なに作るかな・・・・あ、あれだ。アレつくろう。

あの、旅行に持ってく、車輪ついてる、あのバック?あれを今のバックを使ってつくろう。

重いしね。


 材料 青銅、鉄、木材。


 まず、土台となる部分を青銅で作る。あ、そうだ、どうせだしあの実験もしてしまおう。

すこし折り返ししてから、変形フォームして形を整えていく。あれ?変形をした時の魔力の消費が前より少ない気がする。いや、少ないというより、前より余裕があるっていった方が正しいか?

なんでだ?謎・・・・


 まあ、どうでもいい。

というか、変形する前に少しだけ折り返したが、効果あったようだ。新しい発見。実験成功。

その発見というのは、金属に魔力が感じられる。


折り返し鍛錬という物を知っているだろうか?日本刀を作る際に使う鍛冶の技術だ。まあ、日本刀独自の技術じゃないが・・・・

金属を打って伸ばし、折り返してまた同じように打って伸ばす。これを繰り返すことで強い金属になると言われている・・・・が

これは玉鋼たまはがねを使ったときのみ。玉鋼は高価だし、こちらに来て一度も見たことが無い。

そもそもこちらにも折り返し鍛錬法があるかすら分からない。

ただの鋼じゃ意味がない。ましてや青銅なんて・・・・


 しかし、だ。こっちの世界では意味があるらしい。

折り返し鍛錬は何かを混ぜるためのものだったというのは憶えている・・・・何を混ぜるか思い出せない。

ほんと何なんだこの一部記憶喪失。治ってくれないかな・・・・

まあ、混ぜるんだが。ここまできたらもう分かるんじゃないだろうか。

折り返し鍛錬で、空気中の魔素を取り込むのだ。というかすこししただけで割と混ざった。

これに意味があるかないか、もちろんある。


 造った後に魔力を注ぎ込む、溜めることは可能だ。しかしそれだと強度とかは変わらない。切れ味とかは分からんが。

造る時から魔素を取り込んでおいたら、おそらくだが金属自体に混ざって別の金属になる。これはいい。

魔力の混ざった金属というと、代表的なのはミスリル銀だ。


ちなみに、変形で魔素を混ぜようとしたら無理だった。なんでだろ・・・・


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