あの後
「・・・・・」
「・・・、むずかしいな~。この魔力を引き出すって言うのはわかるけど、抑えるってのがよくわかんない」
「えっと、引き出すときどんな事を考えてる?たぶん感覚は同じように、考えることを変えるんだ」
・・・あれからトルナロと会話してない気がする
あの後、逃走したはいいのだか、方向を見失ってしまった。しょうがないので、星で方向を確認するため、夜まで森近くで待機。
その間、俺は裁縫、トルナロはキクに魔力の操作の仕方を習っている。なんで俺じゃなくキクなのかは察してくれ。緊急とはいえあんなことをしてしまったのだ。顔を合わせると両方赤面になるのだ。
・・・トルナロも初めてだったのか?そうだと、とんでもなく悪いことをした気がするな・・・・・
ちなみに、俺は工業魔術を使いつつ裁縫をしている。そりゃ、革だからな。
「よし、できた」
「なに作ってたの?」
「んー、ちょっとした装備品だな」
「・・・・・」
トルナロ、違う方向を見るのはやめて。なんか、誘っているみたいな感じになっちゃう。顔若干赤いしさ。こっちが我慢できなくなる。
・・・さて、俺が作っていたのは、作業用の腰巻だ。革を材料に、ポケットが五つ。ついでに金槌をぶら下げれるようなところ。工具を収納できるとこと、後ベルト。
多少和風なこの服にはあまり合わないかもしれないな。そういえば二人とも服について何にもいってこなかったが・・・なんか思ったことはあるのだろうか。
・・・トルナロ、こっちみて、ちょっと、謝りたいし・・・・・
「あの、トルナロ・・・」
「・・・・・・」
「ねえ、トルナロさん・・・」
「・・・・・・」
「お願い、こっち向いて・・・あの、言い訳なんだけど・・・あそこはああしないとトルナロだって助からなかったし、お願い許して・・・・」
「・・ラなら、してもよかったのに・・・・・」
「え?ごめんなんて言った?」
「別に、怒ってない・・・ただ、初めてだったから・・・・」
え、さっき別の事言ってなかった?まあ、よく聞こえなかったから、同じ事を言ってたのかもな。
「ただ、恥ずかしいだけだし・・・・」
「ご、ごめん・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「えっ・・・・と、僕はあたり見張ってるね」
「ん、おう・・・」
「あ、うん・・・」
何だこの会話。よけい話しづらい。というか、逃げた・・・いや、空気をよむなキク。ここに居てくれ。そんな気遣いいいから・・・・・。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
ど、どうしよう、この空気・・・・・。誰か、助けて!
「・・・・ねえ、ソーラ。前から思ってたんだけど、服変わってるよね。それって故郷の服なの?」
「あ、いや、ここの服と俺の故郷の服を混ぜて作ったんだ。まあ、変わってるよな」
話が変わるが・・・みんな、知ってるか?羅って、ある意味ジャージの材料なんだ。それから作った和風洋服。なんていう異質な。これを初対面で変わってないって言える人が居るだろうか。うちの師匠さえ変わってるって言うくらいだぞ。
「・・・・ソーラの故郷って、どんなとこ?あの子のお父さんの故郷なんでしょ?」
「ん、おお・・・キクの父親の郷里かわからんが・・・・いいとこだよ。ちょっと文化が進んでるかな・・・あ、孤児院があったところはすごい静かだったよ。あそこは空気いいし、夕焼けがきれいだった」
「へえ・・・・行ってみたいな。一度でいいから、その夕焼け見てみたい」
「・・・・無理だよ思う」
小さく呟いたら、トルナロが反応した。耳いいな、お前。
「どういう事?」
「異世界、なんだよね・・・・」
「えっ・・・・ソーラって、落ち人だったの?」
「うちの師匠が、召喚の魔法を解明してたらしい・・・・」
まあ、ここでぶっちゃけて告白した。だって、ここで嘘ついたっていいことないし、なにより召喚されなくても異世界人はこちらに来るようだ。
召喚されるのと、世界の穴と呼ばれる狭間への入り口でこちらに来るか、どちらかでこの世界に来ることができるらしい。ちなみに、異世界から来た人は落ち人といわれてる。
「へぇ~、だから黒髪なんだ、珍しいと思ってたけど・・・・」
「異世界人って、黒髪前提なのか?」
「ううん、いろんな髪の人がいるって聞いた。ただ、有名な落ち人が黒髪だったって言われてるから」
「へー・・・」
「たしか、ニホンジン?だっけ」
「ああ、うん」
とか言って、このままアレのこと気にしないでくれるとうれしいな・・・・。
「ふぁ・・・周りに今のとこ危険はないよ」
「ん、おつかれさん」
「あ、ありがと」
眠たげな目でこっちに歩いてくるキク。
「そういえば、お兄ちゃん。気になってたんだけど、その、よく『ん』って言ってるよね・・・・それって、口癖?」
「え?あ、そういえば・・・・」
「ん?」
「ほら、また言った」
あ、無意識だった。そういえば父さんもそんなこと言ってたな。
「ん~、口癖だと思う。父さんにも言われたことだし・・・・なんでだろ」
「ふーん、何でだろうね」
「ちょっと移っちゃいそうな口癖だね」
んん、そうか?




