道中、大変危険でございます
学校なう
まあ、次の日。
街を出た。本当は昨日出る予定だったのにな・・・世の中、予想外の出来事でいっぱいだな。
午前中は順調だった。あまり魔物にも遭遇しないし、天気が悪いとかなかった。非常に順調で、二日後には村に着けるのじゃないかと思っていたんだ。それだけ順調だった。
それが、なんで、なぜ魔物の群れに遭遇しなければならないのか・・・いや、トルナロくん・・・ちょっとコレ、なんとかしよう?
「ご、ごめんなさい・・・」
「いや、謝っても仕方ないし、ただ、何とか惹きつけないようにちょっとは工夫してほしいというか・・・」
「ごめん、お姉ちゃん。フォローできないや・・・」
「うぅ・・・」
トルナロ、お前はすこし魔力の操作の練習をするがいい。そうすればすこしは遭遇しなくなるかもよ?
「どうするの、これ・・・ねえ、お兄ちゃん・・・」
「俺に聞いてどうする・・・俺は弓で援護くらいしかできんぞ」
矢も限りがあるしな。
「と、とりあえず、逃げることを最優先にしようよ・・・」
「わかった・・・が、」
「うん・・・でも・・・」
とは言っても、目の前に居るのはおよそ50~60体くらいの大群。中には毒蜂やハイドック、ジェルスライムなど厄介な魔物がいる。さて、どうしたものか・・・
と、そんなことを考えているとマギドックが襲い掛かってくる。そしてトルナロが反撃する。
それを後ろから弓矢と魔銃で応戦する俺たち。
「うわ!?」
「あ、あぶない!『バスター!』」
「ハイドックが来るぞ!気をつけろトルナロ!」
「そ、そんなこと言ったって・・・っ!」
あ、まずいな。敵が多い。俺が前線に行くか?しかし、俺が前に出てもその場だけだ。逃げることを優先するなら後ろに居た方が・・・いや、だめだ。トルナロが逃げれなくなるな。
「キク!俺は前に行くから援護ヨロシク!」
「えっ、ちょっと・・・」
スマンなキク。援護は任せる。
「ハッ!」
「ソーラ!?」
ハイドックの頭を金槌で叩き潰してやった。この武器、致命傷を与えれるんだが・・・グシャ、っていくんだよね。
まだ刃物の方がいい。
「さて・・・」
前に出てきたわけだが、どうしたものか。まだ逃げるには敵の数が多すぎる。いっそここで殲滅・・・無理があるだろう。数を減らして逃亡、が目的にしよう。
「二人とも、よく聞けよ!っ!・・・っぶない。まあ、敵の数が減ったら逃亡を目標とする!」
「わかったよ!」
「でも・・・ああもう、いいや」
キクが折れた。というか放り投げた。きっと面倒になったのだろう。
さあ、目の前に集中しよう。
ハイドック、とりあえず速い。
さっきは不意打ちだったから当たったのだろうが、今度はそうも行かない。
俺は弓矢と槌を使い分けて戦っている。近ければ槌、少しでも遠いと思ったら弓という風に。我ながら器用に戦えていると思う。まあ、戦闘素人だが。それも、すこしづつしか攻撃できてない。完全に雑魚の上である。
トルナロは剣を片手に素早く戦っている。剣の特徴を生かした戦い方だな。軽いし、アレ。攻撃されたら防御ではなく回避して攻撃を繰り返す。あれ?あの戦い方って、俺がオーク戦のとき諦めた方法じゃないか。体力無いとダメなんだよな。作業体力と運動体力は別である。
キクはご存知の魔銃を用いて戦っている。周りに気を配り、遠くから空にいる毒蜂とかを撃ち落としている。さらには危なくなった俺たちの援護と仕事が多い。まだ小さいのにこんな頼ってしまっていいのだろうか。ちなみに、一撃で撃ち殺せる威力を出すと前みたいにキクも吹っ飛ぶのだとか。
現状、問題はなかった。数も減ってきたし、撤退!って言いたかったんだよ。それがさ・・・
「なんだこれ・・・」
頭上に、黒紫の雲?いや、霧が現れた。そしてそれが下に落ちてくる。それは地面に当たって、あたりに散る。
苦しい。寒い・・・痛い。ヒリヒリする・・・ボーっとする・・・
体から血の気が引いているのがわかる。なんだったか、この症状。
急に、スーッと意識がはっきりしてくる。寒くなくなる。
・・・思い出した、あの症状!
二人は・・・キクはあたりを警戒している。無事か。トルナロは・・・顔が赤くなっている。息が荒い。とろんとした目になってる。間違いないな・・・熱毒だ。
熱毒、文字どうりである。毒によって体力を奪われていく。それがじわじわと続く。
体が熱くなり、息が荒く、ボーっとする。風邪とよく間違えられる。が、実際、それが熱毒、という種の毒で、死者が出るというのは珍しくない。
普通、体が熱くなるのは菌とかに反抗している証拠なんだが、この毒は菌・・・というか毒自体が体を熱くさせている、ちょっと恐ろしい毒だ。
早く、トルナロに解毒させないと!
たしかここに・・・あった、毒静丸!
「すまん、魔物が襲ってきたら対応してくれ!」
「わ、わかった!」
トルナロの側へ行くと、トルナロが反応した。すこしびくっと体を震わせて、
「ぁ、そーら・・・」
と、滑舌のまわっていない消え入りそうな声で言ってきた。
まずいな・・・ちょっとどきっとしてしまった。こんな時になにをしているんだ双羅。しっかりしろ。
しかし、なぜトルナロだけ熱毒が・・・。
その答えは後から知るんだが、さっきの霧はRPGでおなじみの毒霧という物らしい。魔法であったり道具であったり能力であったり・・・
まあ、そんな霧は色々な効果があるらしく、確認されているのは、熱毒・瞬間毒・即死毒、麻痺など。ちなみに俺が掛かった毒は瞬間毒という一瞬だけ効果のある毒。キクは毒への耐性があるのか掛かっていなかったご様子。
「トルナロ!毒静丸だ、飲んでくれ」
そういって口の中に運んであげるのだが、
「んっ・・・っえ、う・・・ゲホッ」
吐いてしまった。
まずいな。この毒は二日間くらい持つのだが、戦闘が辛くなるし、なによりトルナロを担いで逃げれる気がしない。さらに、これの原因はおそらく毒蜂。だとしたら、毒は強力だ。三時間後にはすでに手遅れになっている可能性があるな・・・。
さらに、今、向こうで戦闘が始まっている。おそらく、毒のおかげで動けなかった魔物が動き出した。キクに任せてあるが、まだ子供。持っても十分くらいか・・・さらに、キクを死なせたくない。そうなると五分が限界。どうする、自分。考えろ。方法はある・・・はず。
・・・あー、一個、思いついた。けどこれ、あとからとやかく言われそうなんですけど・・・でも、そしたら、一応飲み込めるだろうし・・・・うん、しょうがないよね。全部魔物の所為にしよう。間違ってはいない。事実、これ魔物のせいだし・・・・。
・・・覚悟は決めた。トルナロには悪いが、恨むなら魔物を恨め。それか元凶の自分。
口の中に毒静丸を含んで、トルナロに、口移しをした。
けっして、下心があるわけじゃない。キスじゃないからな。あくまでも口移しだ。
「んん!?っ―――ぷぁ・・・」
「んっ―――ふぅ・・・」
あ、やっばい。顔すげえ熱い。俺まで毒にやられたか?
まあ、冗談はさておき、トルナロがこっちを見ている。その赤面は毒の所為であると信じたい。そんなとろんとした目でこっちを見ないで。
その後、俺は戦闘に参加。一分くらい経ったら毒が引いたのかトルナロが参加してきた。ちょっとまだ顔が赤いのはどういうことだ。俺も人の事言えんけど。
数が毒により減ったので、十分くらい経つとすぐさま撤退。
完全に逃げ切った。結果オーライである。




