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トルナロの目。

 まあ、街に帰還してきたわけだが、どうもなんか釈然としない。違和感があるのだ。


なんでだろうな、なんでこうなった。


 俺の隣には、赤髪せきはつの天然?女性と青髪の古代少年?

そして、少年ことキクは、俺の服の端を掴んで涙目になっていた。しかも体の震え付き。

いったいどうしたというのか。これじゃあ俺が街中で子供無理やり連れて来てるみたいじゃないか。


「なあ、どうした?なんでそんな震えてるんだ?」


と問うたら、


「人がいっぱい居るとこ、あんまり来た事なかったからぁ・・・ぐず・・・」


と言っていた。かなり震えた声で。

コミ障なのか?そうなのか?やはり、貴族かなんかだったのだろうか・・・


 しかもね、あのね・・・この子に今さっきまで言おうとしてたことがあるんだけど・・・

『ギルトっていう、人がいっぱい居るとこにいくんだけど』って言いたかったのだけれど・・・


 ダメですね、これは。


 というわけでトルナロに討伐依頼の達成をやってもらって、俺たち男は外で待機。

なぜ女性のトルナロを行かせたかというと、ギルトに入っているのはトルナロだけだから。


 ここで討伐依頼について簡単に説明するが、まあ、依頼達成とみなされるには、討伐対象の指定された体の一部を持っていけばいい。

 ニードルウッドなら葉っぱ、ゴブリンなど人型は耳、など。

大体そんな感じ。


「あの、ねえ、すこし気になるんだけど・・・」

「ん?なんだ?」

「あのお姉ちゃんの目の色って、今とは違う色だったりする?」

「そうだが」


 何だこの子すごいな。なんか知ってるのだろうか。


「前の目の色って、どんなのだった?」

「緑」

「やっぱり、同じだ・・・」


 なんだと?今、同じって言ったのか?なにと?


「同じって?」

魔結晶マギクリスタルと同じだよ」

「あ」


 言われてみれば。

魔結晶はそんまんま、魔力魔素の結晶だ。そして、その中に魔力を溜める。溜められていくと魔結晶の色が変わる。

 下から、無色・緑・黄色・紫・白という順に。

普通、黄色まで溜めるには、少なくとも三ヶ月は必要。早い人は一ヶ月らしい。この溜めるは前言った会心の物だ。そして使用するとその分消費する。


 で、俺の前々から引っかかっていたことがようやく分かった。

トルナロの体質の正体は、『生成魔力多量障』と呼ばれている、こちらの世界の障害・・だ。


まあ、ここでトルナロが帰ってきたから、あとは宿で話すけど。


 通常こちらの世界の『動物』は『魔力』を使用するとその使用した分の『魔力』を再生する。

しかし、この障害を持っている人は常時『魔力』を『生成』する。

『動物』にとって、魔力の浴びすぎは毒。すぐに自分の持ちきれる魔力を超えてしまう。待っているのは死、だ

 これを回避するために、魔力を受信し分散できるくらい近い人物・生き物が近くにいるか、自力でなんとかするか。


 が、それを乗り越えても次が待っている。魔物が来るのだ。


 魔物と動物とは何か。そう、魔素が必要か否かだ。

魔物とは、生きるために魔力を必要とし、同時に強さに繋がる。生きるだけで魔力を消費、ということはないが、魔物の半分は強さに貪欲だ。これは魔物が人を襲う理由にもなる。


 強くなるため、魔力を殺して奪うのだ。

まあ、かんたんに、ちがいは魔力が必要かどうか。それ以外、動物と変わらない。スライムなどは分からんが・・・


ちなみに、魔力を必要とする人間のことを魔族というらしい。


 そして話を戻すが、そのように大量の魔力を前に魔物が襲わないということは、たぶんない。

トルナロが魔物を引きつけるのもつまりそういうことだ。


「へぁー、なんとなくわかった」

「なんとなくじゃダメだろ。自分のことだぞ」

「あれ?そしたらお姉ちゃんって自力でどうにかする側?」

「たぶん。無意識に放出してんだろうな」


 おそらく、ずっと放出してたんだろうな。魔物が集まってくるわけである。


「・・・もう体拭いて寝る!」

「ああ、ん」

「え?え?体を拭くって・・・」


 ああ、おまえはたぶん風呂を期待してたのか。

だが残念だ。一般人は基本体を拭くだけ。風呂も一応あるが、地味に高いし今日は極力動きたくない。

しかしラウ街はすごいな。こういう宿は基本自室で体拭きを行う。一部屋しかないときはかなりアレだった。一時期話聞いてくれなかった。まあ、あれは俺が悪い。が、不可抗力だ。


 しかし、この宿は体拭き専用の部屋がある。一見、シャワールームっぽい。

まあ、うん。ほんとね。あれはひどかったわ。俺が。


 時はもどって、3ヶ月と一週間くらい前。

宿。なのだが・・・


(トルナロはもうもどってきたのか?・・・いや、まだか。あの手伝いは長く続きそうだったし・・・)


とか考えながらあるいていた。

ここ、今歩いてるとこはラウ街に続く道がある村。宿があったので、そこを使用している。明日には旅立つ予定だ。

 で、今現在宿へ戻っている途中。トルナロがいないのは、俺たちはお金の換わりにある程度の労働で宿代を払っているのだ。

 俺は衣服関係の物。トルナロは物運びなどやっていた。


 まあトルナロはいないだろうという浅い考えで扉開いたらこうなるよ。

皆さん、もう大体予想してんじゃないだろうか。俺だったらここまでのくだりでわかるよ。というか、どこぞのエロゲや少年漫画じゃないんだからさ・・・


 まあ、扉開いたらトルナロが居たんだよね。しかも半裸で。パンツ一丁ってさぁ、いままでふざけているときに使うもんだと思っていたが、ここまでくると変にきこえるわぁ・・・

 

 そっから完全なる沈黙。二人とも動かない。しかし、なんでだろうね。顔がどんどん赤くなっていく。

熱いです。顔が。


 そっから、俺が先に動いた。顔を下に向けつつ、部屋から出つつ、「スマン・・・」といって扉をしめる。これくらいしかできないとはなさけない。

その後、「ソーラさんのバカー!!」と聞こえてくる。まあ仕方ないね。


 それから三日間、顔を赤くさせながら旅を続ける。まあ、これがきっかけで呼び捨てに繋がったのかも知れんが。

 というか、その間の俺の心臓がやばかった。いろいろやばかった。よく耐えたものである。

運動もしてないのにあんなに心臓がバクバクするとは思わんかった。卒業式でもあんなのじゃなかったぞ。



―トルナロ視点―



 何で無防備に体を拭いてたのだろうか。

たぶんその答えは、ソーラを信用してたからだろうか・・・?


 ちょっぴり違和感。


 信頼とは違う感じだ・・・なんだろう?

思い出してみよ。なんか、わかるかも。


◇◇◇


「ありがとうね。助かったよ」

「いえ、全然いいです。これくらいで宿を貸してくれるので、感謝してます」


 そうかあ、と目の前の人は言った。

物運びを手伝って、終わったところ。


「ちょっと早いけど、戻ろうかな」


うん、そうしよう。やることないし。

と、いうことで宿へ。



「あ~、つかれたぁ・・・」


 疲れたなあ・・・物運びがちょっと大変だった。

泥道を通っていくとは思わなかったな。

体力に自信があるといってしゃしゃり出なければよかった・・・


「ぅあ・・・べっとべとだ・・・」


 私の体は汗と泥でべとべと。

こういう時、お風呂があればいいんだけどなぁ。小さい頃はよくは入れたのに、最近まったくはいってないよ・・・。

 貴族って、こういう時いいなぁ、と思う。

・・・ない希望にすがってもダメだね。次の目的地のラウ街にはお風呂があるって聞いたし、それまでちょっと我慢。


 まあ、体を拭こうと思ったんだけど、


「大丈夫かな・・・」


  うん、まあ、アレだね。体を拭いてる時誰か入ってきたりしないかな・・・

勝手に入るとは思えないけど、ソーラさんはどうかな・・・ノックしてくれるのかな・・・


・・・大丈夫、かな?ノックは、してくれるかな?

ちょっと不安だけど、ソーラさんを信じよう。

 

 ・・・とは言っても、下着を着けてるのはちょっとした不安の結果なのかな・・・・?

さてと、体を拭こうか―――

 

 ガチャリ、と音がした。


 顔を上げてみると、戸惑ったような顔をしてるソーラさん。


・・・。沈黙。ただそれだけ。

 だんだん、顔が熱くなってきてるのが分かる。ソーラさんも顔が赤い。


先に、ソーラさんが動いた。こっちを見ないように顔を伏せながら、「スマン・・・」と言って扉を閉める。


 そのあと、さっきより顔が熱くなった。ソーラさんが・・・


「ソーラさんのバカー!!」


 それしか言えなかった。ちょっと思ってたこととは違うけど。



 そこから、次の日には旅立つのだけど、どうも二人きりになると顔が熱くなっていく。

三日間の間、「はい」とか「いる?」とか簡素な言葉しか交わせなかった。


 別に、ソーラさんが顔を赤くする必要はないのに・・・なんでだろ?

恥ずかしい、というよりうずうずする、って言った方が正しい。


 なんだろこの気持ち。落ち着かない・・・。

・・・家族以外に見られたのって、ソーラさんが初めてだ・・・。


◇◇◇


 ・・・結局、この気持ちはなんだろうか・・・

信頼とは違う、恥ずかしいも違う・・・。ほんと、なんだろうか・・・


・・・あ、そうだ。ソーラさんじゃなくて、ソーラって呼び捨てにしよう。

ソーラさん、じゃなくてソーラも私のこと呼び捨てだし・・・こっちだけさん付けでもあれだし・・・。


 うん、そうしよう。




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