お見舞い
とても静かな病室で天井の線であみだくじをするぐらい暇を持て余した頃に病室の扉を強く開けた音がした。目をやると優子さんと夢子が来ていた。
「見舞いに来てやったぞ」
「そんなに強く開けたら壊れてしまいますよ」
「へーきだって」
と余裕そうな顔でベッドの隣の椅子に座り果物を勝手に食べ始めた。
呆れながらも心配していたのか夢子の目元が赤かった。
「それより来てくれてありがとう」
「戦争を見に行ったと聞きましたけど大丈夫だったんですか?」
と全く怪我をしてなさそうな見た目をしているため疑われている。
「大丈夫だよ、肩や腿を打たれたけど何故か完治している」
「どういうことですか?」
「俺もわかんない」
「そんな事喋ってないで帰って来れるのか?」
と興味が無さそうな言い方で聞いてきた。
「気にならないんですか?まぁ、明日には帰ってもいいと担当医師さんが言ってくれました」
「そうか、良かったな」
「良かったです」
と雰囲気をぶち壊すかのように失礼なことを優子さんが言い出した。
「そういえば伊勢永歌はいるか?」
「誰ですか?永人先生ならさっきまでいましたけど」
「どっちでもいいわ、私は先に帰るから」
と言って立ち上がって病室を出ていった。
すると悲鳴のような声で走っている音がした。
「もしかして知り合いなんですかね」
「多分引っかかっていたんじゃない?」
と夢子と話の起点作りが出来たので心の中で感謝した。
フランス軍陣営
「急報です。先日偵察としてドイツ軍に近づこうと行動してたベルナール中佐と兵士数人の死体が発見されました。場所は政府が伝えていた場所なのでもしかすると失敗したのではないでしょうか」
(ベルナール中佐が死ぬとは思えないがな。あの男は腹は立つが対人戦は優秀だったからな)
「あともう一つ報告が」
「なんだ、言ってみろ」
「兵士の死体は頭と胴の間の首が無く、ベルナール中佐の左腕と首の部分が無くなっていました」
(まさか!あの馬鹿は誰を敵に回したか分かっているのか!)
「あっあのどうされましたか?」
と困惑しながら部下が聞いてきたので少し頭が冷えたような気がする。
「なんでもない、この事は俺が報告するからお前は誰にも言わないでくれ」
「わかりました」
と言って兵士は部屋を出た。
(まさかな、もしかするとこの国は終わるかもしれん)
そんな事を考えながら軍部に電報を送った。




