表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/52

第15話(2) 50階層のボス(上)

 ボスの間の大扉が閉まり、俺達の前には、そびえたつ巨人みたいなモンスターがあらわれた。

 8本の腕、8つの目を持つばけものだ。

 俺はモンスターの様子を観察しながら、ホログラムにたずねた。


「いちおう、もう一回、聞くけどよ。ナビ、なにかあのボスの情報はないか?」


「もちろん、ありません。ボスの情報は一切ありません。でも、ナビは全力でマスターを応援します。なお、応援に直接的な効果は一切ありません。それでは、ナビは部屋の隅で応援してますね」


 いつも通り使えないドローンは、俺から離れて部屋の隅に移動して、ナビがチアガールみたいに踊りだした。


 八手のボスモンスターが、二本の手を打ち鳴らした。

 すると、部屋の中に、50階層に出現するモンスターの大群があらわれた。

 あのモンスター達は、俺やシンじゃ倒すのに4、5撃いれないといけない。数がはんぱねぇから面倒くせぇ。


「雑魚を散らす。私の後ろにまわれ」


 騎士のおっさん、ササが剣を脇に構えている。

 シンとジャンヌがササの後ろへと走り、俺は壁ぎわまで走って壁をかけあがりながら、ササの後ろに向かった。

 ササが剣を横になぎ払うと、一閃、10メートル以上先のモンスターまで一気に切り裂かれた。

 ササはそのまま一歩ずつ進みながら剣を振っていく。まるで巨大な見えない剣に斬り裂かれるように、一振りごとにモンスターが大量に死んでいく。


「あのおっさん、強すぎるだろ」


 攻撃力も射程もはんぱねぇ。ササは雑魚モンスターをあっという間にぜんぶ倒してしまった。


「いい助っ人でしょ。説教仮面の攻撃力はあたし達とは、けた違い。ただ、防御はシンほど高くないから、ちゃんと援護しないとたまにやばくなるんだけど。あんたも適当にポーションなげといて」


 ジャンヌの話を聞きながら、俺はボスモンスターの様子を観察していた。

 ササの衝撃波で足や胴を斬られても、ボスはダメージを受けている様子がない。


「あの攻撃でダメージ与えられねーんなら、俺達が足や胴に攻撃しても無駄だな。弱点みつけるぞ」


 このタイプは、どこかに大ダメージを与えられる弱点があるはずだ。


「いかにもそれっぽいのは、目だけどね~」


 そういいながら、ジャンヌは弓を取り出した。


「俺にあてんなよ」と言いながら、俺は壁をかけあがった。ボスの頭部へ攻撃するために。


「えー。あんたがよけなさいよ」


 ジャンヌめ。気を抜くと、後ろから刺される心配が本当になりそうだ。

 天井近くまで駆け上がった俺は、ボスに向かって跳び、高速で回転しながら、ボスモンスターの顔に切りつけた。そのまま回転しながら地面に降り、すぐにまた壁ぎわまでかけぬけながら、俺は敵の様子をうかがった。


 目を斬られたボスが、よろめいている。効いている。


「顔はいける」


 そうつぶやいた瞬間。

 八本腕のボスモンスターが、さっきとは別のふたつの手を打ち鳴らした。

 とたんに、モンスターの周囲に透明な壁が出現して、俺ははじきとばされた。 

 ジャンヌの弓矢はその障壁にはじかれて、敵に到達する前、空中で折れポロポロと落ちていく。


 騎士のおっさんが8本腕の巨人に縦斬りを見舞ったが、その攻撃も、透明な壁に遮られた。

 ジャンヌがあきらめ口調で言った。


「あー。これ。盾みたいなやつね。解除されるまで待つしかないかぁ」


 盾に攻撃があたった場合、ダメージは与えられない。盾装備を解除するか、盾以外の場所にあてるか、盾が破壊されるまで、ダメージゼロ。

 この場合、盾みたいな障壁はボスの全身を覆っているから、普通の攻撃じゃ何をやってもダメージゼロ。


 ジャンヌはあっさりあきらめたけど、別に問題ない。俺はシンに声をかけた。


「シン、出番だぞ」


「はーい」


 シンはほがらかに返事をして、青白く光る槍を持ち上げた。

 シンの槍は、見た目がかっこういいだけじゃなくて、いくつか使える特性がついている。

 一つは「貫通」。

 この特性がついていると、盾も貫通する。つまり、あのボスの障壁も無効化できる。


 もう一つは「光の一撃」。これは、普段は発動しない。


「光の一撃!」

 

 シンがそう言うと、発動する。

 シンの声に反応して、槍の切っ先から一直線に光が放たれた。

 まるで槍が延びたように、八本腕の巨人の頭めがけて光線がのびていき、頭を貫通した。


 ボスが唸り声をあげて激しく頭を振り、地団太を踏んだ。

 同時に、ボスの周囲を覆っていた障壁が解除された。


「よしっ」


「えー! シンってそんなの隠しもってたの? その槍ガチで神槍じゃん!」


 ジャンヌが騒いでいるけど、シンは落ち着いた声で否定した。


「別に、隠してないですよ。ふだん使う場面がないから使わないだけで」


 シンの槍が青白く光ってるのは「光の一撃」の特性のせいだ。でも、「光の一撃」は、射程は長いけどダメージは通常攻撃と同じかそれ以下。

 だから、槍が届く相手には使う必要がない。

 でかいボス戦の時も、たいてい俺が上で空中戦してるから、同士討ちを避けるためにシンは「光の一撃」を使わない。

 だから、普段は出番がなくて、槍が光ってかっこいいだけだ。


「あたしが言ってるのは、貫通の方。あー、怖っ。油断して盾で受けたら、イチコロじゃん。槍の攻撃力でしかも射程無限大の貫通攻撃なんて、怖すぎでしょ」


「ジャンヌさんを攻撃なんてしませんよ」


 シンって防御特化だけど攻撃力もあるから、たしかにジャンヌ相手だったら一撃で殺せるかも。

 弓矢や銃と比べて槍は攻撃力が高いから、シンの槍って実は超高火力で盾無効の遠距離攻撃になるってことだもんな。

 対人戦に使うなんて発想が善良な俺達にはなかったけど、言われてみりゃ対人戦だとかなり強そうだ。ま、シンが人を攻撃することはねーけど。

 

 そこでボスがもう一度手を打ち鳴らした。

 すぐに天井から、巨大なツララが、大量に降ってきた。

 俺はツララとツララの間を走って逃げた。

 逃げ切れなかったシンを巨大ツララの一本が襲い、シンの盾がふきとんだ。


「だいじょうぶか?」


 俺は落ちた盾を拾ってシンに投げながらたずねた。


「だいじょうぶだけど。僕以外がくらったら即死だと思う」


 シンは落ち着いた声でそう言い、盾を装備しなおした。

 即死したら、回復は不能。つまり、完全に死ぬ。

 俺は、ツララ攻撃は十分、見きれた。だから問題なく避けられる。

 だけど、ジャンヌとササは、たぶん回避できない。運が悪ければ当たって死ぬ。

 それを悟って、ジャンヌは顔色を変えた。


「やばっ。とっとと倒そ」


 俺もとっとと倒したい。だけど、俺は敵の動きを見ながら考えていた。

 1回目、雑魚モンスター大量出現。2回目、障壁出現。3回目、ツララ攻撃。


 8本、腕があるんだから、少なくとももう一種類は何かがありそうだ。

 俺はアイテムボックスから瓶をとりだし、中身を頭からかぶった。貴重なアイテムだけど、ケチって死んだら意味がないから。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ