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第15話(1) 50階層

 毎日全力でステータス上げを続けて、いつもよりは慎重さを捨てて先に進み続け、俺とシンはついに50階層に到達した。

 そして50階層でモンスターを狩っていると。


「げっ、あいつら!」


 ジャンヌと騎士みたいな鎧のおっさんがあらわれた。


「やべぇぞ、シン。ジャンヌのやつだ!」


 俺がシンにそう言っている横で、シンは愛想よく挨拶していた。


「ササさん、お久しぶりです」


「久しぶり」

 

 ジャンヌが説教仮面と呼んでいるおっさんは普通にシンに挨拶しているけど、ジャンヌはいきなり俺に文句を言ってきた。


「ちょっと! あんた最近、ダンジョンに大量のトラップ設置してるでしょ! なにこれ!」


 ジャンヌは、絨毯のようにあいつの足もとを埋め尽くす迂回不可能なトラップを指さしている。

 もちろん、トラップは俺が設置した。

 俺は近頃毎日、通過したところに大量のトラップを設置するようにしている。

 それでジャンヌの足止めをできるとは思っていないけど、あいつがどこまで進んでいるかはわかる。

 あいつに抜かれるわけにはいかないから、あいつの位置を把握しないといけない。そのために俺は大量にトラップを設置してきたのだ。


「説教仮面、あのマナー違反野郎をとっちめて。必殺1時間説教で」


 俺は用意済みの言い訳を述べた。


「トラップはモンスターをせき止める用に設置してんだよ。背後守りつつ、たまったモンスターまとめて倒すんだ」


 「ならば正当な使用方法だろう」と、説教仮面のおっさんは納得した。

 舌打ちをして、ジャンヌはムチで床のトラップを破壊した。

 ジャンヌはあっという間にトラップを破壊して、こっちにずんずん歩いてくる。


「抜かれてたまるか! おい、シン、急ぐぞ」


 言ってる傍から、ジャンヌが俺達を追い抜こうと走り出した。

 俺も走り出した。

 当然、俺の方がずっと早い。

 途中をうろついていたモンスターは無視して、奥のボスの間めざして、俺は一気に走り抜けた。

 そして、終点にあるボスの間のちょっと手前で、俺はジャンヌを迎えうった。


「ちょっと~。邪魔しないでくれる~?」


「おまえこそシンの宝を横取りするんじゃねーよ」


「宝箱は誰のものでもありませんー。早い者勝ちですー」


「だから、俺達が先に行くんだ!」

 

 ジャンヌのファイヤーボールがとんできた。

 俺が避けると、その空間めがけて、ジャンヌがとびこんでくる。俺はすぐに戻り、ジャンヌを双剣で迎えうった。


「二人とも、何をやっている! ダンジョン内でのケンカは危険だ!」


 説教仮面とかササとか呼ばれているおっさんのどなり声が遠くから聞こえてきて、ジャンヌが舌打ちをして怒鳴りかえした。


「こいつが先に進むの邪魔すんだもん! 説教仮面、文句言ってないで早く来て! こいつより早くボスを倒さなきゃ!」


 負けじと俺も大声で呼びかけた。


「シン! 早く来い! こいつに盗られる前にボス倒すぞ!」


 遠くから、シンと騎士のおっさんがモンスターを倒しつつゆっくりと歩いてくる。どっちも急ぐ気配がない。

 騎士のおっさんは軽く剣を振ってモンスターを真っ二つにしながら言った。


「どのみち、我々では今日ボス戦に挑むのは無謀だ。殺されるリスクが高い」


「キョウ。僕らだって無理だよ」


 シンの言う通り、たしかに、俺達は50階層にあがったばかりだ。まだボスを倒せる気はしない。

 俺とジャンヌは無言で睨み合った。


 無謀だとしても、出直したくはない。

 そんなことをすりゃ、こいつに出し抜かれる。

 金印の万能薬を手に入れるには、無理をしてでも、今日ボス戦につっこむしかない。


 そこで、騎士のおっさんが言った。


「あるいは、4人で挑戦するなら倒せるかもしれないが」


「そうですね。僕達これまで4人で一緒に戦ったことはなかったけど。きっと戦力は2人の時の倍になりますよね」


 シンが同意したけど、ジャンヌが不満そうに声をあげた。


「はぁ? こいつらと一緒に戦う?」


 俺も文句を言った。


「こんな後ろから刺しそうな女と、ギリギリのボス戦を戦えるかよ」


「それはこっちのセリフですぅ~」


 俺とジャンヌがにらみ合ってると、シンが危機感なくのんびりと言った。


「もうふたりとも、仲よくしようよ」


 (この宝に、お前の命がかかってんだぞ!)と俺は叫びたかったけど、そこで冷静になった。

 シンの言う通り、今日、ボスに挑戦するなら、4人で戦うしかない。

 その場合、ボスを倒した瞬間に出現する金印の宝箱に一番早く到達した奴が金印の万能薬を手に入れられる。


 スピードなら、俺が一番早い。

 金印の宝を手に入れる勝機は十分にある。

 たぶん、出直すより、そっちの方がいい。

 俺は言った。


「よし。4人で挑もう」


「はぁ? なに勝手に……」


「別に、やらねぇっていうなら、俺とシンで挑むだけだ」


 ジャンヌはちょっとの間考えこみ、それからうなずいた。


「オーケー。4人でボスを倒しましょ」


 騎士のおっさんとシンがゆっくりと歩いてきた。


「話は決まったようだな」


「たのしみですね。一緒に戦うの。よろしくお願いします。ササさん」


「ああ、よろしく」


 一方、ジャンヌはあいかわらずケンカ腰で俺に「足ひっぱらないでよね」と言ってきて、俺は「お前こそ。つーか、ボス戦の間はちゃんと協力しろよな」と言いながら、ボスの間の大扉を開けた。

 4人そろったところで俺達は、50階層のボス戦の間へと入った。


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