表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
33/43

第三十三話 守られし者たち

「これまでだな・・・みんな、すまぬ」

「九郎殿!」

皆、覚悟を決めた・・・その時だった。

うおおお~~~~~んんん

「ん?遠吠えか?」

うおおお~~~~~んんん。うおおお~~~~~んんん

兵たちも気づいた。

「おい、四方八方から聞こえるぞ」

ザザザザザザザザザザザザザザーーーー

「おい、山が動いている!」

「違う!何かが山を取り囲んで凄まじい速さでこっちに向かっているんだ!」

「う、うわあああああ」

ガウーーーーー!

数百匹の狼が陣を襲った。

「狼だ!狼だーーーー!!」

ぐるりと囲み均整が取れている。波状攻撃を仕掛ける。まるで訓練された軍隊の動きだ。そして目では追えない速さで襲ってきた。群れる鳥の動きにも似ていた。

「な、なんだ!こいつらは?!!ぎゃああああ~ーー」

兵たちは喉を食い破られ、あっと言う間に次の狼が襲ってくる。

「斬れ!刺し殺せ!」兵の刀や槍は空を斬るだけだ。

「み、見ろ!空を!」

見上げると空が真っ黒だった。それはからすの大軍だ。その鴉も軍隊並みの動きだ。まるでミサイルのように兵を狙ってくる。

カアカア。ヒューー-ーン。

「ぐわああああああ」

正確に空から急降下し、急所を刺す。

数匹が束になって襲われたものは、なますの如く身体をバラバラにされた。

「た、たまらん!逃げろ!」

逃げ場は無い。皆殺しだ。

「み、見ろ!あの鴉、足が三本だ!」「み、皆そうだぞ!」

「ば、化け物だ!山神の祟りだ!」


するとゆっくりと木の隙間からやって来る物があった。

一際ひときわ大きな狼だ。光り輝いている。

ゆっくりと迫ってきた。

「で、でかい・・・群の親分だ・・・」


「兵を引き揚げよ!」その大狼が人語を喋った。

「しゃ!喋った!あわわわ」

「今すぐ、引き上げねば皆殺しにするぞ!屍の山を見たいか?!」

「あれは犬神だ、山の神だぞ」

へへーーー。「お、お許しを!お許しを、犬神様」

兵たちは平服し、その場を立ち去った。


九郎たちも逃げながら気づいた。

「空が・・・あれは鴉の大軍だ」

「麓が騒がしかったが・・・・」

「追手も来ませんな」

「何があった?」

ガサガサ。

すると前方の茂みから狼が数匹出てきた。

「九郎殿、下がって!」皆、刀を抜いた。

狼たちは見つめていた。

「まて!みんな、刀をおろせ」

「な、何ですと?九郎殿」

「お前たちは・・・あの時の?」

そう、九郎が鞍馬から平泉に向かう途中、護衛をしてくれた狼たちだ。

「久しゅうの。まだ生きていたか」

頭を撫でた。

狼はクウ~っと甘えた鳴き声を発した。

皆、呆れた顔で見ていた。

「此の方は、一体・・・」

「狼たちよ、あの鴉も仲間なのかい?」

首を縦に振ったように見えた。


狼がこっちに来いと云う仕草をした。

「何だい?ついて来いってかい?」

けもの道を行こうと云うのだ。

一行は狼の後をついて行った。

ガサガサ。周りに狼の気配がする。彼らを取り囲んで進んでいるのだ。

「軍隊の動きだ。お前たち、そんなことをどこで覚えたのだ?」

狼が九郎の背に鼻を付けた。「そうか!須佐殿か!お前たちは諏佐殿の仲間なのか」

弁慶が問いた。「須佐とは野生の獣まで従えているのですか?何処まで力を持ているのか?」

高台が見えた。その上にあの大きな狼が立っていた。

「彼は?」

「九郎殿、あの神々しさ・・・大将であることは間違いないですな」

「いや、あれは犬神だ。山の神だ」

その大狼が遠吠えをした。

それに合わせて狼たちも遠吠えをした。

九郎一行は彼らに守られながら一路、平泉に向かった。


平泉に着くと藤原武士たちが出迎えた。

「九郎殿、着きましたぞ!もう安心です」

元々、ここの武士の佐藤忠信さとうただのぶが叫んだ。

「狼たちよ、ありがとう」

そう云うと「おーーーん」と一声あげて去って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ