第二十七話 壇ノ浦決戦(前)
平家軍は全500艘。松浦党100余艘、山鹿秀遠300余艘、平氏一門100余艘だ。宗盛の弟の知盛が大将として指揮を取った。知盛は安徳天皇や平家本営の大型唐船に兵を潜ませて鎌倉方の兵船を引き寄せたところを包囲する作戦を立てていた。
「須佐は居るか?」平知盛(宗盛の弟)は見渡した。
「全身、黒服・・・おりませんな」
「宗盛、お前の話はガセではないのか?」
「と云いますと?安徳様」
「須佐が源氏に加担していると云う話だ。大体、源氏に加担する訳がない」
「我らの優秀な情報です。間違いありません」
「こんな天皇などすでに死に体も同然。後白河法皇は後鳥羽天皇を勝手に即位させやがった。安徳など云う餓鬼に何も期待などない。三種の神器だ。これさえあれば、後鳥羽は即位できない。絶対に渡すものか」宗盛は安徳などどうでもよかった。
「この海峡で勝負だ!」
合戦は海峡すれすれの場で始まった。
しかし、範頼軍3万余騎が陸地に布陣して平氏の退路を塞ぎ、岸から遠矢を射かけて九郎軍を支援した。ところが操舵にかけては平家の方が数枚上手だ。矢をすり抜け海戦に慣れない坂東武者たちを忽ちのうちに押した。
「あの大型唐船を見ろ!安徳が乗っているはずだ。三種の神器もあそこだ」
「三種の神器を奪え!」
源氏軍はまんまと知盛の作戦に乗ってしまった。
九郎軍の船は前左右を扇型に囲まれ、狭い範囲でどんどん後ろに追いやられた。九郎軍の船と船が近づき過ぎて、船同士がぶつかった。
「わああああーーーーー源氏を一気に潰せ!」
勢いに乗った平家軍は九郎を討ち取ろうと攻めかかり、乗船の準備に入った。
「船に乗り込んで皆殺しだ!」
「九郎殿!壇ノ浦で勝負などという塩梅ではないですぞ!操舵が出来ない!」
「船を捨てても構わぬ!こっちも乗り込め!」
船と船が重なり合い、平家も源氏も共に相手側の船に乗り込んで接近戦が始まった。
しかし、平家は源氏の船に近づいては兵を乗り込ませ、そして船を離す作戦だ。
「平家の船に乗り込めない!あっちからはどんどん兵が乗り込んでくるぞ!」
「やはり、向こうが上だったか・・・このままでは・・・負ける」
不利を悟った九郎は決心した。背に手をやった。
「九郎殿!何をする気ですか?!」弁慶が聞いた。
背から須佐の刀を出した。スラッ!
刀が自ら光り輝いていた。
「九郎殿、その刀は?」
弁慶を見てニヤッと笑った。
目が緑色だ。
「く、九郎殿!」
「我は須佐なり!」
大空に向かって咆哮した。ブワッ!全身からオーラが立ち込めた。周りの源氏たちは、そのオーラに突き飛ばされた。
「九郎殿!な、何を云っているのですか?!」
すると九郎は掌を海に向けた。
平家の船が離れていく。
「操舵!どうした?!」「舵が動きません!」「潮の流れが変わってのか?」
「違います。我々の周りだけです」「どういうことだ?」「何かに動かされているみたいです」
「何に?」「わ、わかりません!」
囲んでいた平家船が皆、流されていく。そして波もないのに平家の船が揺れ始めた。
「わあああああ〜ーーー」その急激な揺れで兵が海に次々と落ちた。
「弁慶、先陣で私が行く」
「なんですと?どこへ?」
「平家の船に乗り込むぞ」
「何をおっしゃる?この離れた距離ですぞ。泳ぐんですか?」
すると九郎が飛び上がった。
船と船の間は30mはあろう。それを一気に飛び越えて平家の船に飛び乗った。
「あっ!」
源氏も平家も呆気にとられた。
「人間業じゃないぞ・・・しかも鎧をして」
平家はパニック状態になった。
「しゃらくせえ!」1人の武士が九郎に斬りかかった。が、九郎の一振りで身体が破裂した。
「わあーーーーー!は、破裂したぞ!な、何だ?!」
九郎が大きく一振りすると辺りの10人ほどが身体がバラバラになった。
「鬼だ!鬼だぞ!源氏の大将は鬼だ!」
九郎は源氏側に叫んだ。
「今だ!船を寄せて乗り込め!」
「おおーーーーーー!!!」




