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第二十一話 須佐の正体

「族長・武角たけつのだと?」平兵衛たちはハッとした。

「なんて奴だ?ノコノコと大将自らお出ましか?」

「貴様らは平家の武士だな?何故、此処を襲う?」

「源氏に加担しているな?!」

「源氏に加担?何を?」

「とぼけるな!」

平兵衛が回りの生き残り兵を集めるよう支持した。側にいた兵が竹笛を吹いた。

「集合の合図だ。あっちだ」


武角たちはたちまち、兵に囲まれた。

スラッ!全員が刀を、槍を、矢を構えた。

「こいつが族長だ!こいつを殺せば、須佐は壊滅も同然だぞ!」

武角たちは辺りを見回した。100は居るようだ。

武角が平兵衛を見て、ニヤッと笑った。

「武角!な、何が可笑しい?!」


「お前らは此処からもう前には動けんぞ。部落も見ずに此処で死ね!」

「な、何を!かかれ!」

武角が掌を回した。

すると、土の中から手がニョキッと出て、兵の足を掴んだ。

「う、うわ!」

兵は何もできず、一瞬で土の中に引きずり込まれた。

「ぐわあああああ」

20名ほどが一瞬にして土中に消えた。

「な、なんだと?!何が起こった?」


武角が述べた。「須佐、とんの法術。兵は土中で動けぬうちに窒息死する・・・」


「う、うわあああああ」

兵たちは恐怖のあまり、地面を突いていた。何処から攻めてくるか解らない。

「どこを見ているか!」

須佐たちが一斉に手裏剣を見舞った。早い!グサ!グサ!グサ!グサ!グサ!

「ぎゃああーーーー」

あっと云う間に10名ほどが串刺しになって倒れた。

「何もせぬうちに・・・」平兵衛は焦った。


「麓の陣も全滅したぞ。人っ子一人生き残っては居ない。残ったのはお前らだけだ」武角が述べた。

「村人が居るので大術は使わなかった。で、少し時間がかかったが」

「5000の兵を・・・こんな短時間に・・・・」

「これ以上、攻め込みなら平家をも潰すぞ」

「洒落臭いわ!」

残りの兵が挑みかかろうとした時・・・

「な、何だ?!」

土中から無数の人喰い蟲が這い出てきて、足にまとわり付いた。

「ひやああああ!む、虫だあ!」

あっと云う間に全身に纏わり付いた。

「ぐわああ、こいつら、噛みよる!!!!」

バリバリ!むしゃむしゃ

「ぎゃああ!」「ぐわああ!」

平兵衛の隣にいた側近兵はすでに顔半分喰われて骸骨がはみ出ていた。

「た、隊長・・・こ、こんな死に方は、い、嫌じゃ・・・」

倒れた時、すでに顔は頭蓋骨だけになっていた。身体はまだピクピクと動いている。

生きたまま、虫に喰われるさまは、正視できるものじゃない。

武角が手を覆うと虫たちは退散した。

さらに20名ほどが倒れた。


「隊長さんよ、半分になったな」

「なんと残虐な奴!武士は武士らしく死なせろ!」

「武士は武士らしく?わかった」

須佐たちが皆、刀を抜いた。腰刀だ。普通の日本刀を構えた。

「いざ!」

わあああああああ!

平家の武士たちが一斉に挑みかかった。

須佐は上に左右に飛び散り、兵を拡散した。「は、早い!」

ズバ!ズバ!ズバ!

たちまち、5名ほど斬られた。

「早すぎる・・・人の動きではないぞ・・・まて、須佐!」

「?」

「鎧を脱ぎたい」

「善かろう」

動きについて行くため、兵たちは皆、鎧を脱いだ。

「鎧など何の役にも立たん・・・奴ら動きを見極めねば・・・」


「いざ!」

「云っておくが・・・」武角が静かに喋り始めた。

「武角!まだ、小賢しい事をする気か?!堂々と戦え!」

「違う、逃げたい者は今、逃げろ。皆殺しにならぬ内に屋島に報告せい」

「まだ、云うか!」

わーーーーーー

兵が全員、須佐たちに飛びかかった。

うおおおおおおーーーーー!!!

キャリーーン!流石に鎧を脱いだので須佐の動きについて行っている。

「流石に此処まで生き残った連中だ・・・平家にも善い武士が居るな」

キャリーーン!キャリーーン!一進一退と思われたその時・・・・

「武角、覚悟!」平兵衛が武角に向かって行って刀を振りかぶった。

その時、武角の身体が5人になった。分身の法術だ。

「ぐう?!」平兵衛は一瞬、躊躇した。

そこを武角は烈火の如く、斬り裂いた。

平兵衛の身体が十字に別れた。


「隊長ーーー!!」

須佐は、此の人数では無かった。

木の上から数人が降り注ぎ、兵を串刺しにした。

斬り合いでは鎧を脱いだ処で、次第に須佐の速さについて行けなくなり、次々と斬り殺されて行く。

「む、無念だ・・・剣術でも上回っている・・・・」

「我らは一体何者を敵にしたのか?」

そして・・・最後の1人になったが、腕を斬られた。

「ぐわあ!」血をしたためながら、ただ、怯えて刀を構えている。


「お前は、生かしてやる」武角がそう云った。

「な、何だと?」

「此処で起きたことを宗盛むねもりに伝えろ」

「貴様らは一体、何だ?!」

「・・・・何?と云われても困るが・・・森羅万象しんらばんしょうとして生きる者だ」

「何を云っている?」

「お前も見ただろう?・・・自然物は皆、我にあり。本来は自然物から出たあくと戦っている」

「それは何だ?」

「魔・・・と呼んでいる。この世のものでは無い。神代かみしろの頃より存在するもの。しかし、我らに牙を向く者にはなんでも容赦はしない。帰って伝えろ!こんな戦いはほんの序の口だとな。もう一度来てみろ!この世の地獄を見せてやろう」

そして須佐たちは其処から立ち去った。

兵は着物を破り、腕を止血した。

何事もなかったかのように辺りは闇と静けさがあった。


ふらふらになりながら山を降りた。無数の死体が重なり合っている。皆、体がバラバラだ。

麓もそんな状況だ。そして陣のあった村方向へ歩いて行った。村人は何処に行ったのか?見当たらない。

「ううう・・・・」

立ったまま、鉄槍に串刺しになって死んでいる者、手裏剣が身体に無数に刺されている者、狼に喰い千切られている者。刀で切り刻まれている者・・・。

しかし、村に損傷は無い。

「奴らは火炎を使わなかった・・・村を守ったんだ・・・」

馬は皆、生き残っていた。其の一頭にまたがると、足早に去った。

「村人が云っていた、神に近い存在だと・・・その通りかもしれない・・・」

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