↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/43

第十五話 武蔵坊弁慶

○武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)

紀伊国出身と伝わる。が、詳細は不明。元は比叡山の僧で武術を好み、怪力無双の荒法師として名高い。


「小僧!名は?」

「源九郎義経!」

「源氏だと?法螺吹きが。下等武士の出で立ちではないか?その割に善い刀を持っていたから、いただこうと思ったが・・・」

「強盗だな」

「洒落臭いわ!覚悟せい!」

そう云うとダッと走り出し、薙刀を大きく振った。九郎は後ろに飛び跳ねた。

ブオン!ブオン!

素早い!九郎はヒラリ、ヒラリとかわした。

ブオン!

「すばしっこい小僧だな!」

ブオン!

キャリーン!刀で防いだが力負けする。仰け反りそうだ。

九郎は思った。「ものすごい剛力だ・・・このままでは危ないな」

ブオン!

その時、九郎が欄干に飛び乗った。

「むう、小癪な!」弁慶はそこを突いて来た。九郎は空(くう)に舞い、回転して反対の欄干に飛んだ。

「こやつ、何と身の軽い・・・」

九郎は刀を捨て、背に手をやった。

「ふふふ、小僧、敵わぬと見て刀を渡すのか?」弁慶はニヤッと笑った。


その時、背から刀を出した。

「な、なんだ?!どこから出した?」

その刀はうねりを上げ、輝いている。九郎の目が緑色に変わった。

「な、なんだ?こいつ?!・・・待てよ、あの刀は・・・」

刀を構えて矢のように飛んで来た。

ぐわーーー、ガキーーーーん!

とっさに弁慶は薙刀で避けたが、すっ飛んだ。

ズザアアーーーー。

「な、なんだ?人が変わった!こいつは化け物か?」

すかさず、立ち上がると薙刀で九郎をはらった。すると・・・・この若者は素早い動きで右に左にと移動した。

「や、奴が数人に見える!!!!ど、どれが本物だ?」

後年に云う分身の術のようなものだ。

ガッ!

次の瞬間、身体を押さえつけられ首に刀があった。

「ぐう・・・・・ま、参った・・・・」

弁慶の負けである。九郎は刀を背にやった。


「こ、小僧、なんだ?どこに隠した?鞘(さや)は無いのか?今の技は?武術では無いな」

「この剣が教えてくれる」

「剣が教える?・・・・・あっ?!や、やはり、その剣は?伝説の須佐の神剣(みつるぎ)?!」

「そうだ」

「あ、あなたは須佐の方か?」

「違う!須佐から貰い受けたのだ」

「貰い受けたと云うことは、あなたは須佐ではないか!」

「違う!私は源氏だ!」

弁慶は比叡山出身の僧衆である。比叡山の僧は、皆、須佐が神に近い存在だと云うことを知っている。しかし、会ったことは無い。文献やら伝説やらから知っているだけである。


その時、異様な光景を遠目に見た佐藤兄弟がやって来た。

「九郎殿、如何された!こやつは何者ですか?」

「強盗だよ」

「強盗ーーーー?!き、貴様、この方を誰だと思っているんだ?!」


弁慶は正座しながら黙っていた。

「源氏と須佐を兼ね備えた若武者・・・・?あなた方は京に何をしに?」

「源義仲を討ち取りに来た」と九郎が告げた。

「く、九郎殿!こんな奴に、こんな場所で!誰が聞いているかわかりませぬぞ」佐藤兄弟は冷や汗ものだ。

「鎌倉の兄・源頼朝の命(めい)により参った」

「九郎殿ーーーー!」

「兄?・・・清和源氏・源頼朝・・・!!!!!!」弁慶の運命は決まった。

「九郎義経殿、私を家来にしてください」

土下座した。

「よかろう」

「九郎殿、こ、こんな悪僧を!」

佐藤兄弟はつくづく思った。「九郎殿は何を考えているのか分からないな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。