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全身鎧を着た魔法使い  作者: 大和 改
人間と亜人とドラゴン
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新たな出会い2

 リアナ・オーコネルは仲間達と逸れる形になってしまった。

 暗い森を東へ逃げているはずであったが、気が付けば次第に周囲が明るくなってくる。


(みんな、何処へ行ったの!?)


 殿を務めると言って、多数のモンスターと戦った。体は傷だらけになり、服ももはやボロボロといった状態である。

 腰のポーチに入っている回復用のポーションを一本取り出して、中身を飲み干すと空になった小瓶はその場に投げ捨てる。

 持っているナイフの一本を見れば、手入れが行き届いていた筈が既に刃こぼれがひどい状態であった。


(コレじゃ、兄さんに怒られちゃうな……)


 一瞬泣き出しそうになったが、深い深呼吸で溢れ出る感情を圧し殺す。

 そして、仲間を探す為に移動を開始した。

 大きな声を出して探す訳にはいかない。仲間だけではなく、モンスターまでおびき寄せてしまうからだ。

 茂みがガサリと音を立てたので、警戒と共に仲間が居るのではと言う期待感で慎重に近づく。期待は裏切られ、大蜘蛛のモンスターが数体姿を現した。

 昆虫系のモンスターでは、武器の耐久性が一気に減らされてしまう。刃こぼれを起こしているナイフなど、簡単に破壊されてしまうだろう。

 リアナの判断は早かった。

 ポーチに入っていた、藁灰をもんで細かくした物を紙で包んだ物をモンスターへ投げつける。

 大蜘蛛の複眼に当たると、軽い藁灰の粉は煙玉の如く空気中に広がる。

『灰玉』と呼ばれる、リアナの兄が考案した煙玉の一種だ。


 煙玉は煙を発生させる魔石や、魔法薬などで作られる。それは、彼ら亜人達に取ってはあまりにも高価な物だ。灰であれば、金など掛からない。

 育てた稲藁を燃やして灰にし、よくもんで粉にしたら篩いにかけて、更に水と灰を混ぜて粗目の布で濾して天日で干せば、きめが細かく軽い粉末が出来る。


 灰玉を数個投げつけると、リアナは背を向けて一目散に走り出した。

 後方からは大蜘蛛達が上げる顎を鳴らすカチカチとした音が幾重にも聞こえてくる。

 怒り狂った大蜘蛛達はリアナを追った。


 森から飛び出してきた亜人の対応の為、トリスが選ばれた。

 彼を最初に指名したのは、アリーシャだ。

 トリスは面倒そうに神槍・雷音を背中に収めて一式トランスポーターから飛び出した。

 体が人一倍大きい為、走るとドスドスと音が立つ。

 近づけば、服がボロボロな狼の獣人の少女が必死の形相でトリスを見つめる。


「あんた、ダイジョブか!?」


 声を掛けると、一瞬驚いた顔に成り、次いで泣き出しそうな顔に変わる。

 少女の状態を見て、安堵の息を吐いたトリス。だが、彼はニオイで全ての流れを理解した。


「俺の後ろに隠れてな」


 不敵に笑うと、背中に収めた神槍・雷音を抜き出すと、森に向かって構えた。



 襲い来る大蜘蛛は五体。

 だが、トリスの敵では無かった。彼のココ最近戦ったモンスター達を鑑みれば、五匹の大蜘蛛などはもはやザコでしか無い。

 容易く蹴散らす。


「怪我は無いか?」


 トリスは背後に居た、狼の獣人の少女に声を掛ける。

 少女はトリスの戦闘に魅入っていた。


「え? あ、ああ、はい! 大丈夫です!!」


 やや呆け気味であった少女が、慌てて返事を返す様を見たトリスが笑う。


「ハハハッ……そうかい、なら良かったよ」

「お、お強いんですね!」

「ん? ああ、まぁ、貰い物の力だけどな……」


 トリスは槍を軽く振るってから、背中に収める。


「熊なのに、動きも早いし……」

「熊?」

「獣種ですよ」

「俺、狼だぞ?」


 少女の言葉にトリスはキョトンとした顔を見せる。

 一方の少女は驚いた顔を見せると、申し訳無さそうにうなだれる。


「ご、ごめんなさい! あまりに体格が違ったので……」

「ああ、気にするな。慣れてるから」


 トリスは笑う。

 帝国に追われ、自身を高めようと鍛えた事で現在の肉体を手に入れた。

 だが、それは見た目も変えてしまった。

 だが、トリスは後悔しては居ない。むしろ、見間違われるのを喜びに思っているくらいであった。


「とりあえず、事情を聞かせてもらっていいか?」


 トリスの言葉に少女が頷いた。


「あらら、あっけなかったな……」


 二人の間に、銀の全身鎧をまとったタクローが姿を見せる。



 トリスを先に送り出した後、タクローは直ぐに鎧を装着する。

 HUDに様々な情報が表示された。


「ヒカル、モンスターの位置情報。あの、訳わからん奴は省いた情報をくれ」

「了解」


 兜の中でヒカルの声が聞こえた。

 HUD内にレーダー情報が表示され、タクローはそれを確認する。


(先発隊と後発に分かれてる? 先発は五匹か……。なら、俺は後発を……)


「リニアカタパルトを使うぞ!」


 タクローの声は、オペレーターに伝えられる。

「了解」の声を聞くと、タクローは魔導バイク・ハヤテの隣りにあるリニアカタパルトに移動する。

 リニアカタパルトが屋根にせり出し、射出体制が整うまで約三分程であった。

 直ぐ様、タクローは射出場所を指定する。オペレーターである、シズクがタクローの指示を受けて、リニアカタパルトに必要魔法術式プログラムを行う。

 こうして、タクローは指定ポイントに飛んだ。


 リニアカタパルトで放物線を描くように射出されたタクローは、トリスに迫る五体の後方に控える十体近い昆虫型モンスターと対峙した。

 倒すのに、さほど時間を要しはしなかった。

 あっという間にモンスターを屠ると、トリスの元へ移動する。

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