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全身鎧を着た魔法使い  作者: 大和 改
人間と亜人とドラゴン
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新たな出会い

 ミーナがオペレータールームに駆け込むと、その場に居た全員が息を飲んでいる。

 モニターには、赤い小さな光点が数個一方方向に動いている。


「ヒカルちゃん、一体どうしたの?」

「あ、ミーナさん……。いや、レーダーにフィルターを掛けたんですがね……、異常の原因が解ったんですよ……」

「原因?」

「膨大なマナ……もとい、MPだってさ……」

「それって、タクローくんみたいな感じ?」


 ヒカルは黙って頷く。


「とりあえず、レーダーの索敵範囲を目一杯拡大します。只、コレだと詳細が解らなくなっちゃいますが……、でも、大きなモノなら……」


 ヒカルは、キーボードを操作して『広域索敵モード』に魔法術式を切り替える。

 だが、広げた範囲内でも発生源が特定できなかった。


「嘘、よっぽどでかいMP!? 前にタクローさんのMP基準で測定した時は、レーダーの探知用の魔石が壊れたけど……、それクラス?」


 モンスターレーダーは、本来マナを測定する魔導機械マキナから発展させたモノである。その際は、タクローの存在により術式の構築プログラミングにやたら苦労させられたかつての光景がヒカルの脳裏を過る。

 現在は、タクローの固定マナ周波数と呼ばれる個体差がある存在を見つけ、それをフィルタリングする事でレーダーの機能を確立していた。

 その時に追加されたのが、強大なマナの波形をフィルタリングする追加要素を加えていた。

 観測魔法が込められた魔石と、測定の魔法が込められた魔石の中間に、一定のマナ反応を抑制する魔法が込めらた魔石を幾重にも施している。それは、地球世界で言う所の『コンデンサ』の役割を持っていた。

 発案者はミーナでも、ヒカルでもない。電子機器はタクローの得意分野である。

 タクローは大手企業の工場勤務だ。

 主に電子機器を扱う会社の為、ある意味タクローの得意分野である。それだけではない、アニメや漫画などで培った『メカオタク』も相まって、電子機器や機械構成関連に秀でている。

 タクローが居なければ、一式トランスポーターの全てが成り立たなかったと言っても、過言ではない。

 基盤を一から組み上げる事すら、タクローにとっては朝飯前なのである。

 現に、タクローが所持するオーディオ機器やパソコン関係は自作部分が多い。

 レーダー機器に関してはミーナのミリタリー要素を反映し、総合プログラミングをヒカルが、そして、タクローが全体を仕上げた形になっているのである。

 只、彼ら三人で地球世界でレーダーを作れるかと言えば、極めて困難な話である。魔法世界で、魔法が有るからこそと言う所であった。



「とりあえず、一旦フィルタリングを外してみ?」

「え!?」

「外して、広域状態を見れば円弧〈えんこ)から中心点を予測するのは可能だろう?」

「……なるほど」


 ヒカルは再度キーボードを操作した。

 すると、ほぼ画面半分が赤く染まる。


「ビンゴ! 円弧を描いてるな。……中心点は…」


 タクローは光点の位置を見極めんと、腕を組んでモニターを睨みつける。


「北西?」


 アリーシャの言葉で、タクローもそれに同意する。

 タクロー達は西に向かっていた。光点の円の一部は、紛れもなくモニター上の右上を指している。


「北西……、リッドミルの街?」

「どうだろう? リッドミルの街に、巨大なマナ反応? ってか、パターン赤はモンスターだよ?」


 マナには、個体によって一定の周波数が有る事が近年の研究で解ってきていた。

 ミーティアラ王国、王立魔導研究所に出入りしていたヒカルはソコでその話を記憶していた。

 レーダーの案が挙がった際、その事を思い出し、ヒカルがプログラミングを行う際には、王立魔導研究所の博士が何人か協力している。

 快く協力してもらえたのは、彼らにとっては良い実験機材に成るからである。


「なら、決まりだな……。一路北西へ! 目的地は、このバカでかい赤の中心点だ」


 タクローの声掛けで全員が動く。

 全員が、戦闘態勢の緊張感を漂わせていた。


 一式トランスポーターが進む方向には森が見える。

 進路はそちらに向かうことになるが、一式トランスポーターでは森を進むのが困難と成る。

 森と平地の境目をはうように一式トランスポーターは走る。


 それはまさに急な事だった。


 一式トランスポーターの前に、一人の獣人が森から飛び出してきた。

 運転するミーナは急ブレーキを掛けて、一式トランスポーターを停止させようとする。

 進行方向に急激に吸い寄せられる感覚を覚えた全員は、次いでその場に留まる感覚によって停止した事を理解した。


 ミーナの声掛けで、タクローは鎧を装着するため、鎧が収められている部屋に移動する。

 トリスは、獣人を警戒させない為の使者としてタクローの指示の元、外へと出る。


 トリスが一番最初に目にしたのは、自分と同じ『狼種』と思われる獣人であった。


「あんた、ダイジョブか!?」


 トリスが近づくと、恐怖のニオイを醸し出す少女がそこに居た。

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