ホルンの塔攻略編 51~59階①
「……なあ。そろそろ離してよ?朝起きてからずっとこの体勢でしょ?」
「いーやーだ!もっとお兄ちゃんと一緒にいたいの!!」
「いや、十分でしょ……」
その男女二人組は腕を組みながら塔のダンジョン51階を歩いていた。周りにはそれ以外人が見えないため、二人でダンジョンを攻略しているのだろう。
「歩きづらくないの?」
男の子のほうが隣にべたべたくっついている(遠目から見たらそう見える)女の子に向かって嘆息交じりに少しずれたことを言った。
「そんなことないよ!…………あ!!あそこ見てお兄ちゃん!!」
「どうしたの?……あー。あれはメイサちゃんか。知らない人といるね。パーティを組んでいるみたいだ」
「メイサちゃんのパーティに入れてもらおうよ!!それなら少しは離れてもいいかな?」
「そうだね……リラがそう言うなら、とりあえず話かけてみようか」
そして二人はそのままの状態でメイサのいるパーティのほうへ歩いて行った。
その頃のメイサたち。
「リュウがいないって静かだね……」
「そうですね。まあ実際ちょっと前までは二人だったのでそんなに違和感ないですが……」
2人でもう死んでしまったリュウのことを思う。
「あんなことで死んでしまうなんて……」
「ほんとです……」
「勝手に殺すな!!」
どこかでそんなことを叫んだ奴がいたが、そいつはいまこの場にいない……。なぜならリュウは2人と同じレベルにするために1人寂しくレベルを上げに行っているのだ。
「1人寂しくじゃねーよ!!」
どこかでそんなことを叫んだ奴がいたが、そいつはいまこの場にいない……。なぜなら『1人寂しく』レベル上げに行っているのだ。
そのため、シュウトとメイサはあいつを置いて2人で塔に来ているのだ。
「メイサちゃーん!!ひっさしぶりー!!」
2人がしんみりと語っていたところに、突然、後ろから声がかかる。2人して振り返ってみると、男と女の二人組のパーティがこっちに歩いてきていた。女の子のほうがが男の子の腕にしがみついていた……。
「あー!リルちゃん!久しぶりだね!」
リルと呼ばれた、女の子のほうがメイサと言葉を交わす。
「こら。先にあいさつしないとダメじゃないか。僕はキオといいます。こっちが妹のリル。よろしくお願いしますね」
男の子のほうがあいさつをした。そこを注意する前に、まずその腕を何とかしてもらいたいんですけど……。
「リルです!よろしくね!」
「あ、ああ。俺はシュウト。よろしく」
俺も2人にあいさつをした。
「2人は私と同じ町出身なんです。小さいとき、一緒に遊んでたりしたんです。で、こっちが今私が一緒にパーティを組んでいるシュウトさんです。実はあともう1人いるんですが……まああんなの考えないことにしましょう」
「うんうん。そうだね」
「おい!!」
どこかで誰かが叫ぶが、2人には届かない。
「それでね、しばらく私たちと一緒にパーティを組まない?」
「パーティですか!!いいですよ!!いいですよね、シュウトさん?」
少し考える。まあ2人ともメイサの知り合いみたいだし、リュウがいなくなった分の戦力として必要か。でもこの二人が一緒とかなんかあとあと大変なことになるかも……。でも、いいか。
「いいよ。リュウがいない分戦力が必要だろうしね」
「ありがとうございます!!」
わーいわーい!と2人が喜んでいる中、俺は兄のキオに話しかけた。
「これからよろしく。いつまで一緒に攻略できるんだ?」
そう聞くと、キオは少し考え、
「……妹が決めることだから、妹に聞いてください」
おい。お前妹の尻に敷かれているのかよ……。兄だろ?しっかりしろよ……。
そう思ったが声には出さず、苦笑いで済ませた。
そして、その話はやめて、2人のステータスを聞いてみた。
2人のステータスはこんな感じだ。
キオ エルフ Lv7
所有スキル
《片手剣使いLv4》
《加速Lv4》
《盾Lv3》
《回避Lv2》
《索敵Lv2》
《隠密Lv2》
《打撃Lv2》
スペシャルスキル
なし
リル エルフ Lv7
所有魔法
《回復魔法Lv3》
《上昇魔法Lv3》
《炎魔法Lv2》
《風魔法Lv2》
《水魔法Lv2》
スペシャル魔法
《精霊魔法Lv1》
2人とも初めて聞くスキル、魔法を持っていた。いいなあ。どんな能力なんだろ?戦いになったら聞いてみるか。
3人は同じ出身なのでいろいろ積もる話もあるのだろう。リルとメイサがずっとしゃべり、時々、キオが会話に加わる、そんな感じで塔のダンジョンを進んで行った。出てきた魔物は唯一話しに加わっていない俺がほとんど戦っていた。
「今になってリュウトの大切さが分かったよ……。帰ってきてくれ!!俺を1人にしないでくれ!」
だってなんか俺だけ幼馴染じゃないし、それにさらにこの世界で生きてきたわけでもないからあまり話が合わない。なんなのこれ。ボッチじゃん。
魔物と1人で戦っているときはそんなことを考えずに済むが、戦い終わるとまたボッチ。……もう帰りたい。
「……はあ」
ついため息が出てしまった。
「ため息何て珍しいですね。どうかしましたか?」
メイサが不思議そうに尋ねた。
「いや……なんでもないよ。俺のことなんて気にせず2人としゃべってきたらいいじゃない」
ちょっとネガティブになっているんだ。話しかけないでくれ。
そのあと、結局進めたのは53階までだった。そこで俺たちはダンジョンを出て、また今度会う約束をして別れた。
「やっと地獄から解放された…………」




