2話
だから俺は喜んだ。
ついに外へ出られるのだ。
「ぼ、ぼっちゃま。本当に……本当に外へ行かれるのですか?」
春お姉ちゃんが震える声で尋ねてくる。
「行くよ。パパンも許可してくれたしね」
そう答えると、春お姉ちゃんは俺を抱きしめる力を強めた。
「それより大丈夫?」
「い、いえ! ぼっちゃまには一切手は出しません!」
いや、もう抱きしめてるんだけど。
しかも。
「すー……はー……」
思いっきり匂いを吸ってるんだけど。
普通に俺じゃなかったら捕まってると思う。
まあ、この世界だと逆にご褒美扱いなのかもしれないが。
「それより春お姉ちゃん」
「うっ!?」
春お姉ちゃんが胸を押さえた。
ちなみに俺は身を隠すため、使用人たちをみんなお姉ちゃん呼びしている。
その方が自然だし、相手も喜ぶからだ。
「今回はちゃんと耐えたんだね」
「は、はい……!」
実はここまで来るのも大変だった。
俺が「大好き」と言うたびに気絶するので、脱出計画が何度も遅れていたのである。
「すごいじゃん! かっこいいね、お姉ちゃん!」
「ひゃっ……!」
「大好き!」
その瞬間。
「だ、だいふぅぅぅぅぅーーーっ!!」
春お姉ちゃんは幸せそうな顔で後ろに倒れた。
ドサッ。
「……あ」
今回もダメだった。
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