―Kotomis story Episode① 受け入れがたい仮想―
「ほらほら、もう大丈夫ですよ琴美さん」
「は、はい……ありがとうございます」
情けなく泣いていたアタシは歩美さんに連れられ、歩美さんの部屋にいた。
「いいんですよ。鏡花さんの言葉も厳しかったですし」
「いいえ、鏡花さんがああいうひとなのは知っていて今まで行動を共にしていたんですから」
素直で容赦のない直球。これが鏡花さんだ。
自分の信念は決して曲げず、ただそのままに行動する。まさに物事を仕切る隊長の、王道中の王道な性格。
「琴美さん。私には色々ぶっちゃけてもいいんですよ?」
「……アタシにそんな権利はありません」
なんでこんなどうしようもないアタシの我儘を聞いてくれようとしているんだろう。
「鏡花さんは私の妹みたいな存在ですからいいんですよ。自分の身内が琴美さんを泣かせたんですし、女の子同士でしょう?」
「妹のようなって……歩美さんの方が年下でしょう?」
「実は生まれたのは私の方が早いんですよ。鏡花さんは私の一日遅れで生み出されました」
へぇ……そうだったんですか。
「じゃあ……少しだけ」
「はい。どうぞ」
優しい笑顔をアタシに向けてくれる歩美さん。なんでこんなに優しくしてくれるんだろう。
「正直……つらいです。アタシの身内が……疑われるのは」
「そう……ですよね」
「歩美さんはどう思いますか? 今回の犯人」
「えっと……その……。…………」
……そうだよね。
「ありがとうございます」
「ご、ごめんなさい……」
アタシが傷つくと思って躊躇してくれる歩美さん。
この謙虚さが歩美さんの優しさなのは知っている。鏡花さんとは全く逆の性格。
「アタシは……信じたくありません。やっぱり」
「琴美さん、時間をかかるかもしれませんが、いずれはっきりすることなのは覚悟できていますか?」
「……正直、できていません」
アタシは……そんなに強くなんかない。
鏡花さんや歩美さんみたいな、現実を受け入れるような強さはアタシにはない。
「琴美さん、今はそれでいいんです。自分が信じられないことをすぐに受け入れて適応させることができる人間なんていません。時間をかけて……少しずつ覚悟を決めればいいんです」
「……歩美さん」
情けない声を漏らしてしまうアタシをそっと抱いてくれる歩美さん。歩美さんの身体は温かかった。
「今は……気持ちを爆発させて楽になってください。大丈夫です。私は軽蔑したりしません」
「……いいんですか?」
「いいんです。さぁ、どうぞ、泣いてください」
「……う……うぇ……」
歩美さんの優しさと身内を疑われている悲しさで……アタシは涙が零れてしまう。
「歩美さぁん……アタシ……辛いですよ……信じたくなんてありませんよぉ……」
「大丈夫ですよ。私は……あなたが落ち着くまで、ずっとここにいますからね」
母親のような不思議な温もりをくれる歩美さんに、アタシは甘え……気が済むまで泣いた。
To be continued




