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―第陸章 橘のスィートゾーン―

「……えーと、ご協力ありがとうございました。では」



 そう言って、五十嵐刑事がここから立ち去っていった。…………。



「やっと終わった……」

「長かったの……」



 溜息をつく鏡花と優稀菜。あの刑事、凄い熱心に俺たちが教えた情報を手帳に書き込んでいくんだもんな。凄いよ、一時間もずっとペンを動かしていたな。しかも聞きながら。



「……もう十時だ……」



 さりげなく時間を言う俺。あと三分もしたら十時だ。……だが、あることに気付いてしまった。



「やべぇ! 風呂入ってねぇじゃん!」

『あ!』



 みんなすっかり忘れていた。……ここって確か……。



「十時……までしか入れなかったわよね……?」

『…………』



 鏡花の言葉に黙りこくってしまう俺たち。そして……。



「ダッシュ!」



 優稀菜が叫び、俺たちは一斉に風呂へ走り出した。



     ❁ ❁ ❁



「体力の無駄遣いだったな」

「うん、そうね」



 同じ階の風呂場……大浴場の前、俺たちは苦笑していた。



「ではどうぞ、ごゆっくり」



 そこにいた土田さんが朗らかに笑って立ち去る。



「土田さん……いいひとだよ」

「ああ、俺たちを気遣って、風呂入る時間を延長してくれたんだからな」

「こういう臨機応変な人がいるから、ここはこんなに信用されるのかもしれないわね」



 そうだなぁ。「ST」。いい人材を取り入れているんだね。



「じゃあ、こっからは別々な」

「ふぇ? 俊くん、男湯の方に行くの?」

「? ええ、そうですけど……」



 そこ以外にどこに行くんだろう。



「女湯に来ちゃいなよ」

「おお!」

『え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?』



 優稀菜は感心しているけど、他の全員仰天する!



「い、いやっ、いいですよっ、そんな……」



 俺は速攻で遠慮させていただく。ところが、綺羅先輩と優稀菜が喰い下がる。



「遠慮しなくていいよん?」

「優稀たちなんにも気にしないの。ね?」



 優稀菜が他の女性陣に訊く。みんな顔が真っ赤っかだ。ほら、みんなもイヤがって――。



「い、いいわよ、別に……」

「しゅ、俊輝が願うんだったら……」

『コクコク』



 ――なかった。……いやいやいや。



「みんな、気持ちは嬉しいんだが、誰かにそれを見られて見ろ? 俺は警察に御用されちまう」



 なんとかこの状況を脱出すべく、俺は必死に否定条件を探す。



「大丈夫だよ。もうこんな時間。誰もいないよ」

「いや、いい! ご、ゴメンな!」



 最終手段だ。俺はこの場から男湯に逃げ込んだ。



 ――Girls story――



「あーあ、逃げちゃった」

「俊くん、なかなか照れ屋さんだねぇ」



 俊輝が逃げ、残されたのは女子六人。



「ふふふ……俊輝。逃げられると思ったのかしらね」

「思っていたんじゃないかな」



 しかし、鏡花をはじめ綺羅、優稀菜、樹里、琴美はニヤニヤしている。歩美は「?」と状況がよくわかっていないようだった。

 なんだかんだで、鏡花たちは女湯の方に入っていった。



     ❁ ❁ ❁



「ふぅ……あったけぇ……」



 俺は頭にタオルを乗せて温泉に浸かっていた。いやー、気持ちいいねぇ。湯加減も最高だ。さすが高級ホテル! 感服する限りだよ。しかもこんなに広い浴槽に俺ひとりだけの貸し切り状態! いいね! いいね! 最高だね!



 ……がらっ。



 とか考えていると、ここの大浴場のドアが開いた。誰か入ってきたのかな、こんな時間に。いや、俺が言えた義理ではないんだが。

 ……あれれ? 俺が入ってきたのって、あっちのドアだったっけ? 



「……ん?」



 なんだ? あのシルエットは? 男にしては細すぎるぞ。てかスイカでも持ってんのか? えらくでかくて丸いモノがある。ここでスイカ割りでもするのか? 海でやれよ。



「しゅーんーちゃん♪」



 なんかそのシルエットが浮かんでいる方向から優稀菜の声がしたぞ。え? 優稀菜? よくよく見ると、確かに優稀菜の姿が窺えた。彼女は俺が入っている浴槽の傍に立って止まった。…………!? 



「えへへ、驚いた?」

「ゆ、優稀菜!? なっ!? そ、その格好……ぐはっ!」



 驚き、盛大に鼻血を吹きだす俺! だ、だって! 優稀菜は完全な丸裸! スイカに見えたでっかい胸も綺麗に括れた腰も、さらにその下も……って、ぐはぁっ!



「あーあー、俊ちゃん、そんなに鼻血出しちゃって。そんなに優稀の身体に興奮してるの?」



 魅力的な笑みを浮かべてポーズをとる優稀菜。な、なんでおまえはそう言うことが何の躊躇いもなくできるんだ!? 昼の水着も妙にエロかったし!

 俺は急いで頭のタオルを腰に装着し、優稀菜に訊く。



「な、なんでおまえがこんなとこにいるんだよ! まさか、男湯の脱衣所から入ってきたのか!?」

「違うよ。あっちのドアから出てきたでしょ?」



 そ、そういえばそうだな。なんかあんのか?



「あっちはなんと混浴風呂なの! ここは男湯と女湯の境に混浴風呂があって、それは男湯と女湯、どちらとも繋がっているの。だから優稀はただ単にそこから男湯に入って来ただけなの」



 な、なるほど、ここは混浴風呂もあったのか。で? なんで優稀菜はこんなとこまで来たんだ?



「そこで、身体を速攻で洗って抜け駆けしに来たの!」



 がらら!



 優稀菜がそう言った瞬間、彼女が入ってきたドアが思いっきり開いた。……なぜか、汗をダラダラ流す俺。おかしいな。ここのお湯はそんなに熱くないぞ。

 確認してみると……そこにいたのは。



「こら、優稀菜!」

「抜け駆けは許さないわよ!」

「優稀ちゃん、黙ってひとりで行っちゃダメだよ!」

「優稀菜さん! シュンくんを犯したりなんかしてないですよね!?」

「はぅ……」



 鏡花、樹里、綺羅先輩、琴美、歩美だった!

 みんな優稀菜と同じく全裸! 歩美だけは顔を真っ赤にしてタオルを巻いていた。そうだよ! 歩美みたいな反応が普通の女の子だって! なんでおまえらは付き合ってもいない男の目の前で、おっぱいブルンブルンさせられるんだよ! 凄ぇ!

 優稀菜にみんな叱るが、女の子同士の喧嘩は早く終わり、歩美以外の全員揃って俺に言う。



『俊輝(俊ちゃん、俊くん、シュンくん)、混浴風呂に行こう(よ、なの)』

「お断りします!」



 行かない! 絶対行かない! だって、混浴風呂なんか行ってこんな可愛い女の子六人と同時に風呂に入ってみろ! 間違いなく俺の理性がパンクしちまう!



「むー、じゃあねぇ」



 優稀菜がそう言うと、ちゃぷっと風呂の中に……入った!

 そして、むにゅぅううううううんっとスイカみたいなでっかい胸を俺の背中に押し付ける! ゆ、ゆゆゆ優稀菜さん!?



「ここを今夜限りの混浴風呂にしよう! どうせ他の客は来ないし、問題ないの!」

「問題ある! 特に俺に!」

「え? じゃあ女湯の方を混浴風呂にする?」

「場所じゃねぇよ!」



 俺は必死に抵抗。しかし、優稀菜に続けと他の女の子たちも……ついに歩美まで入ってきてしまった! 彼女たちは俺を取り囲むように浴槽に浸かる! なんてこった! 俺、可愛い女の子たちに包囲されてしまった! ホテルの男湯で! どういう状況だ!



「おいおいおいおい! 俺が問題しているのは、俺がおまえらと入ることなんだよ!」

「ふぇ? 俊くんは私たちとお風呂に入るの、イヤ?」



 あああ! 綺羅先輩! そんな懇願するように言わないでください! 断りきれません!



「先輩、そういうことじゃないんですよ。だいたい、俺なんかと一緒に入るのはイヤでしょう?」

「? いやじゃないよ。みんなも」

『コクコク』



 みんな首を縦に振ってくれた。……多分、本当はイヤなんだろうな。優稀菜が悪戯でこっちに来たから、つられてきただけだな。俺を喜ばせたいのか、それとも傷つけないように気遣っているんだろうな。でも、無理しないんでいいんだぞ。



「ふぅ……いいお湯だねぇ……」

『ふぅ……』



 しかし女の子たちは、全員気持ちよさそうにまったりしていた。……素直に「いやだ」と言われるよりはマシだな。

 俺も我慢してお湯に浸かった。彼女たちも我慢しているんだから、俺も我慢しないと男が廃るだろう。





                To be continued

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