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―第伍章 黄昏のレストレーション―

「SIC十番隊隊舎に行くわよ!」



 夏休みも始まって一週間経過したある日。

 鏡花は俺と優稀菜にそう言ってきた。…………。



『……ダルい(の)』

「コラァ――――ッ!」



 俺と優稀菜のやる気なし宣言を聞いてぷんすか怒る鏡花。可愛い……。



「あんたたちはSICに入ったばかりなのよ。だからみんなに自己紹介しないと」

「……自分、不器用なんで」

「……優稀、実はコミ性だったの」

「ウソおっしゃい!」



 やる気の出ない俺と優稀菜。……だって、自己紹介なんて……子供かよ……。



「今日はどちらにせよ、あんたたち十番隊は行かなくちゃダメよ? だって、今日から五日間、全員集合して合同訓練を受けなくちゃいけないんだから」

「……樹里たちは?」

「私たちはパソコンの技術専門。行く必要がないわ。ま、そのうち顔を出す程度かしら。だって隊長補佐官だもの」



 いい御身分ですね、樹里さん。



「だーかーらー、わたしたちは行くの! それと同時に自己紹介もすること!」

「……イヤだと言ったら?」

「隊長命令」



 暴君だった。



「……はい」

「……わかったの」



 もうなにを言っても無駄と判断した俺と優稀菜は、渋々SIC十番隊隊舎に向かうことになった。



     ❁ ❁ ❁



「着いたわ! SIC十番隊隊舎に!」



 張り切る鏡花。とは対照的に。



「優稀菜。この合同練習終わったら『夜明け前より瑠○色な』を貸してくれ」

「いいよ。私は新発売される予定のやつ、やってるからさ」

「それも終わったら貸してくれ」

「うん。任せてなの」



 エロゲの話で盛り上がる俺と優稀菜。



「……あんたたち……」

『!?』



 若干、本気で怒っている鏡花。や、ヤベ。ちょー怖い。



「さ、さて、優稀菜。そろそろスイッチ入れようか」

「う、うん。入れるの」

「よろしい」

「それにしても大きいねぇ……」



 そう感想を漏らす優稀菜。俺も久しぶりに見たな、SIC十番隊隊舎。

 真っ白で巨大な建物だ。

 SICの格隊は独立していて、隊舎も散らばっている。っていっても、この近くに全ての隊舎があるから散歩がてらに寄り道することができる。

 それらはSIC日本本部を取り囲むようにできている。ちなみにSIC日本本部とは一番隊のこと。



「ほら、行きましょ。なかに」



 こうして俺たちは中に入っていった。



     ❁ ❁ ❁



「すれ違わないな、誰とも」

「当り前よ。わたしたち、メッチャ遅刻してるし」

「えぇー」



 廊下にて。俺は懐かしさを感じながら鏡花とそんな会話をしていた。……懐かしいな、この廊下。



「さって、着いたわよ」



 鏡花が立ち止まったのは「集合場所」と張り紙されている部屋だった。

 がちゃ。



「みんなー。遅れてごめんなさい――って、きゃあ!?」



 ドアを開けた途端に鏡花の姿がフッと消え、気付けば鏡花は床一面に座布団が敷きつけられてクッションになっている落とし穴に落とされていた。……おいおい。これはたしか敵を罠に引っ掛けるための装置だったはずだぞ。なんで作動しているんだ?



「……ぷっ。くくっ……」



 優稀菜が軽く吹いていると。



「よっしゃあ!」

「引っかがった!」

「さすが鏡花隊長です!」

「俺たちが仕掛けた簡単な罠に、リアクション込みで引っかがってくれる!」

「そこに痺れる! 憧れますぅ!」



 笑いながら駆け寄ってくる数人の隊員たち。……順に、平林、仙崎、佐藤、如月、荻原だ。通称イタズラ五人衆。こいつらのイタズラも相変わらずだな。そして優稀菜を見るなり、ますますテンションが上がっている隊員たち。



「おおっ! 可愛い!」

「このひとが新しい女隊員か!」

「む、胸でっけぇ!」

「あはは。ありがとうなの」



 速攻で男受けをし、笑顔で答える優稀菜。それのどこがコミ性だ。そして、仙崎が俺と目線を合わせると――。



「――っ!? お、おい! みんな! 大変だ!」

「え……。――っ! み、みんな、こっちこっち!」



 佐藤も俺に気付き、みんなを呼びよせる。



「なんだよ、仙崎、佐藤……」

「なんかあったのか?」



 ぞろぞろと、俺が見たことがある面子が来る。そして――。



『!?』



 俺の顔を見た瞬間、その全員の表情が驚愕に包まれた。



「え、えっと……」



 俺は苦笑いしながらみんなに言う。



「ただいま、みんな」

『十七夜鏡輔隊長!』



 全員が俺に笑いながら詰め寄ってきた。



「隊長! どこ行ってたんですか!?」

「私たち、もう死んじゃっていると思ってましたよ!」

「お、俺たちのこと覚えていますか!?」

「あ、あぁ、覚えているぞ。俺に気付いたやつから今俺に話しかけてくれたやつの順に、仙崎、佐藤、野原、工藤、二階堂、星井、荒巻だ」

『た、隊長ぉぉぉぉぉぉぉぉお!』



 俺に名前を呼ばれたやつらは全員、涙を流していた。女の子の佐藤と星井なんて失神してしまっている。お、おいおい。



「あはは。俊ちゃん、人気者なの」



 笑っている優稀菜。……そして……。



「あ、あんたたちぃ……」

『!?』



 危険なオーラを放ち、落とし穴から這い上がってきた鏡花! こ、怖い!



「さぁて、誰からお仕置きしましょうかね……ふふふ……」

『ひ、ひぃぃ!?』



 しばらくの間、鏡花による鉄拳制裁が行われた。




        To be continued

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