―第壱拾章 青空のプロボケーション―
そしてその日の放課後。
「よし、終礼だ。文化祭の話し合いがあるなら残れ。あ。でも杉並、芹沢、加賀美、十七夜の四人は生徒会室に集まるように」
『!』
生徒会室……つまり、会議だ。SICの。
「以上、終わりだ。福島」
「起立」
香織の号令で全員が立ち上がり……。
「気を付け、礼」
『さようなら』
全員が頭を下げ、挨拶をした。
❁ ❁ ❁
「失礼します」
それから速攻で生徒会室に向かい入る。
まだ誰も来ていなかった。
とりあえず、俺たちはいつもの席に着く。
「なにがあるのかね」
「そりゃ、なんかあるからお呼び出しを喰らったんじゃないの?」
「あはは、そうだね」
笑っている優稀菜だが声が若干乾いている。樹里の表情も険しい。
ま、当り前だろう。この件に絶対兄妹が絡んでいる可能性があるんだからな。
「まったく……勘弁してよ、こんな時期に。わたしは初めての文化祭で燃えているのに」
嘆息する鏡花。
鏡花は軍隊育ちで、こういう学園のイベントが大好きだ。
ミスコンに乗り気になったのは、単に「勝負事」として捕えただけじゃなく、初めての文化祭にテンションがおかしくなっていたせいでもあるって言ってたしな。
「二学期は楽しそうなことが多くて、夏休みの時からわくわくしていたわ。文化祭、修学旅行、体育祭。全部わたしはやったことがなかったから、本当に楽しみにしているのよ。……それなのに……なぁ」
鏡花……おまえ、そんな可愛いことを考えていたのか。
「大丈夫だ、鏡花。心配することはないさ」
「そうだよ、きっと大丈夫なの」
「そんなに落ち込まなくても、私たちが事件を解決すればいいだけよ」
鏡花の時折見せる可愛さは正直最高級だ。
みんなは鏡花を慰める。
「……そうね。正直、わたしより落ち込んでるのはあの子だし……」
……琴美か。
自分の家族に疑いをかけられ、信じられなくなっている。
確かに、今一番苦しんでいるのは琴美だろう。
それから十分経って、全員がそろった。
❁ ❁ ❁
「今日ここに集まって貰ったのは……こいつのせいだ」
雛形先生がひとつの紙を取り出した。……手紙か?
「俺の机の上に置いてあった。この手紙にはワープロでこう書かれている。『今夜10時30分、学園でなにかが起きる』。これだけだ」
「……挑発。そう受け取っていいのでしょうか?」
綺羅先輩がそう返す。
「だろうな。内容はまったく書かれていないが、日時は書かれている。罠と受け取るか挑発と受け取るかイタズラだと受け取るかは各自の自由だが、どれにしても我々SICにちょっかいをかけているのは事実だ。正直、ほっておくわけにはいかない」
だろうな。実際になにかが起こって次の日に一般生徒が傷つけられる可能性もあるし、逆になにもなくても、今後SICを小馬鹿にする連中も出てくるかもしれないからな。
「というわけで、だ。今夜、この学園を回るぞ。指揮は杉並(妹)、いいか?」
「はい。私は構いません」
「よし。じゃあ俺と杉並(妹)が指揮する。それと瀬良。おまえはいつもはスナイパーとして監視をしてもらっているが、今回は別だ。近接格闘能力がないおまえを今回ひとりにさせるわけにはいかない」
「……はい」
その通り。
今回の手紙の主が最近の琴美への視線の主の可能性があるからだ。琴美をひとりにはさせられない。
「そこで、今回おまえに護衛を付けさせる。十七夜、杉並(兄)。いいな?」
『はい』
「よし、いい返事だ。瀬良、今回は十七夜たちと学園内を回れ」
「……はい」
琴美はおとりでもある。
今回の犯人が琴美を狙っているやつなら、絶対に琴美の前に現れるからだ。
「他のやつらはそれぞれペアを作って、十七夜たちと少し離れたところから尾行だ。ターゲットが現れた場合は、援護を頼むぞ」
『はい』
「俺と杉並(妹)は全ての監視カメラの映像を元に指示を出す。集合時間は十時。以上だ。解散」
こうしてまた……二回目の夜の学園徘徊が始まろうとしていた。
To be coutineud




