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私の彼は御曹司  作者: アルケミスト


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 盛り上がるパーティーに背を向けて、私は会場をあとにした。


 打って変わって静かな廊下を進み、惨めな気持ちでエレベーターホールに向かっていたときだった。


 誰かに腕を掴まれ、非常階段のほうへ引っ張られる。


「どこに行くんだよ!?」


 息を切らして、私にそう言ったのは、修弥だった。


「修弥!?

 どうしたの!?」


 なんでわかったんだろう……。


「それは、こっちの台詞だろ?

 梓のことが気になって見ていたら、急に部屋を出ていくから。

 どうしたのかと思って追いかけてきたんだよ。

 どこへ行くつもりだったんだ?」


 まさか、来てくれるなんて。


 胸がいっぱいの私は、呆然と修弥を見つめることしかできなかった。


「梓?

 どこへ行くつもりだったんだって、聞いてるんだよ!」


「あ、うん……。

 帰ろうと思って……」


「帰る?

 なんで?」


 どうしよう。


 本当のことを言うべき?


 怪訝そうな顔をしている修弥を見ながら黙っていると、イライラしたようなため息をつかれた。


「あのさ、梓。

 今日は大事なパーティーなんだよ。

 勝手なことするなって」


 そんなこと、言われなくてもわかっているわよ。


 本当は素直になりたいのに、修弥の態度に無性に腹が立ってきた。


「別にいいじゃない。

 私がいなきゃいけない理由がある?」


 つい、突っかかるような言い方をしてしまう。


 だって会長にも、修弥にも、声をかけるなって言われたのよ。


 人前で『おめでとう』も言えない私の気持ち、修弥にわかる?


「おい、なんだよ、その言い方」


「だから!

 私がいる必要はないって、そう言ってるのよ!」


 もうせっかく堪えていた涙が、零れてきたじゃない。


「……そうかよ。

 だったら好きにしろ」


 明らかに怒った口調で修弥は言った。


「好きにするわよ」


 私が吐き捨てるように言うと、修弥は黙ったまま非常階段のドアを乱暴に開けて、パーティー会場に戻っていった。


「仕方ないじゃない……私は、認められてないんだもん」


 取り残された私は、独り言を呟く。


 そしてその場にしゃがみ込むと、声を押し殺して泣いた。


 こんなに泣いたのなんて、光太に失恋したとき以来かも。


 本当に最悪の気分だった。


 修弥の出世を一緒にお祝いしたかっただけなのに、こんなことになるなんて。


 マンションに帰った私は、バルコニーから夜景を眺める。


 もう二十四時を回ったのに街の明かりは輝いているし、車も多い。


 パーティー、もう終わってるよね?


 でも、きっと二次会、三次会があるんだろうし……。


 修弥、今夜も帰ってこないのかな。


 そんなことを考えると、また涙が溢れてくる。


 つき合っていて、お互い好きなのに、


 こんなに不安な気持ちになるなんて……。


 やっぱり恋愛って難しいよ。


 そのときだった。


 ドアの鍵が開いて、修弥が帰ってきた。


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