11
うーん。
眩しいな。
私の部屋って、こんなに陽が入ったっけ?
ゆっくりと目を開けた途端、いつもと違う景色に、私は跳ね起きた。
となりに目を向けると、リーダーが気持ちよさそうに寝ている。
思い出した。
ここ、リーダーの家だった。
私、とんでもないことをしたんじゃない?
まさか、一緒のベッドで寝ちゃうなんて……。
慌てて自分とリーダーの格好を見た。
お互い服を着ていることに、まずは安堵する。
だけど、ゆうべリーダーに抱き締めてもらってからの記憶がない。
「香川?
おはよう……シラフに戻ったか?」
まだ眠たそうなリーダーの声が聞こえて、私は血の気が引くのを感じる。
「お、おはようございます……戻りました、正気に……」
「なら、よかった。
お前をベッドまで運ぶの、結構大変だったんだからな?」
リーダーはしかめっ面をしながら、ベッドの中で両腕を伸ばした。
「私、途中から記憶がないんですけど。
すみません、私たち、何かあったんでしょうか?」
「大丈夫、何もしてないから。
ちゃんと服着てるだろ?」
「そ、そうですよね。
すみません……何から何までご迷惑をおかけしました」
小さくなる私とは違い、彼はあまり気に留めていないようだ。
とりあえず、一線は越えていないことがわかって、私は胸を撫で下ろす。
彼はあくびをしながら起き上がると、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しながら言った。
「まあ、今日は休みだから。
お前も、ゆっくり支度すればいいよ」
「いえ、なるべく早く失礼しますので……!」
リーダーはいつもと変わらない感じだけど、私、軽い女だと思われちゃったんじゃないかな……。
もしそうだったら、結構ショックかも。
「あ、あのメイク道具も、お借りしていいですか?」
ふと、洗面台に置いてあったメイク道具の存在を思い出して、私は聞いた。
「かまわないよ。
好きに使って」
「彼女さん、太っ腹なんですね?」
普通、自分のものを使われたら嫌がりそうだけど。
「彼女?
なんだよ、それ」
「え?
だってリーダー、 彼女いるんですよね?」
「いないよ、オレ」
「えっ!?
だって化粧品があんなにいっぱいあるじゃないですか……」
じゃあ、あれは誰の?
「ああ、あれはもらい物。
気にするなよ」
もらい物?
男性のリーダーが女物の商品をもらうって、不自然じゃない?
……どうも謎めいているのよね、リーダーって。
二十七歳の普通の男性とは何かが違う気がする。
おまけに、こんな高級マンションにひとりで住んでいるし。
「なあ、支度できたらすぐ帰るか?
それとも……」
「それとも?」
「どこか出かけるか?」
えっ?
それって、デートってこと!?
返事に困っていると、ふと窓の外に広がる晴れ渡った空が見えた。
気持ちよさそう……。
そういえば、光太の浮気を目撃してから、こんないい天気ですら目にとまっていなかった。
今日、こうして当たり前に気持ちよさそうって思えたことで、私はほんの少しだけ、 前へ進む勇気が持てた気がする。
そう思ったら、私は頷いていた。
「……はい、ご一緒したいです」
「じゃあ、準備できたら、車を出すから」
仕事のミスのフォローをしてもらってから、まさか自分がここまでリーダーと一緒にいるとは思わなかった。
だけど、どうしても離れがたいと思ってしまう。
本当に不思議だけど。




