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私の彼は御曹司  作者: アルケミスト


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 うーん。


 眩しいな。


 私の部屋って、こんなに陽が入ったっけ?


 ゆっくりと目を開けた途端、いつもと違う景色に、私は跳ね起きた。


 となりに目を向けると、リーダーが気持ちよさそうに寝ている。


 思い出した。


 ここ、リーダーの家だった。


 私、とんでもないことをしたんじゃない?


 まさか、一緒のベッドで寝ちゃうなんて……。


 慌てて自分とリーダーの格好を見た。


 お互い服を着ていることに、まずは安堵する。


 だけど、ゆうべリーダーに抱き締めてもらってからの記憶がない。


「香川?

 おはよう……シラフに戻ったか?」


 まだ眠たそうなリーダーの声が聞こえて、私は血の気が引くのを感じる。


「お、おはようございます……戻りました、正気に……」


「なら、よかった。

 お前をベッドまで運ぶの、結構大変だったんだからな?」


 リーダーはしかめっ面をしながら、ベッドの中で両腕を伸ばした。


「私、途中から記憶がないんですけど。

 すみません、私たち、何かあったんでしょうか?」


「大丈夫、何もしてないから。

 ちゃんと服着てるだろ?」


「そ、そうですよね。

 すみません……何から何までご迷惑をおかけしました」


 小さくなる私とは違い、彼はあまり気に留めていないようだ。


 とりあえず、一線は越えていないことがわかって、私は胸を撫で下ろす。


 彼はあくびをしながら起き上がると、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しながら言った。


「まあ、今日は休みだから。

 お前も、ゆっくり支度すればいいよ」


「いえ、なるべく早く失礼しますので……!」


 リーダーはいつもと変わらない感じだけど、私、軽い女だと思われちゃったんじゃないかな……。


 もしそうだったら、結構ショックかも。


「あ、あのメイク道具も、お借りしていいですか?」


 ふと、洗面台に置いてあったメイク道具の存在を思い出して、私は聞いた。


「かまわないよ。

 好きに使って」


「彼女さん、太っ腹なんですね?」


 普通、自分のものを使われたら嫌がりそうだけど。


「彼女?

 なんだよ、それ」


「え?

 だってリーダー、 彼女いるんですよね?」


「いないよ、オレ」


「えっ!?

 だって化粧品があんなにいっぱいあるじゃないですか……」


 じゃあ、あれは誰の?


「ああ、あれはもらい物。

 気にするなよ」


 もらい物?


 男性のリーダーが女物の商品をもらうって、不自然じゃない?


 ……どうも謎めいているのよね、リーダーって。


 二十七歳の普通の男性とは何かが違う気がする。


 おまけに、こんな高級マンションにひとりで住んでいるし。


「なあ、支度できたらすぐ帰るか?

 それとも……」


「それとも?」


「どこか出かけるか?」


 えっ?


 それって、デートってこと!?


 返事に困っていると、ふと窓の外に広がる晴れ渡った空が見えた。


 気持ちよさそう……。


 そういえば、光太の浮気を目撃してから、こんないい天気ですら目にとまっていなかった。


 今日、こうして当たり前に気持ちよさそうって思えたことで、私はほんの少しだけ、 前へ進む勇気が持てた気がする。


 そう思ったら、私は頷いていた。


「……はい、ご一緒したいです」


「じゃあ、準備できたら、車を出すから」


 仕事のミスのフォローをしてもらってから、まさか自分がここまでリーダーと一緒にいるとは思わなかった。


 だけど、どうしても離れがたいと思ってしまう。


 本当に不思議だけど。


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