表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/29

序章-2. 塔の記憶

※書き直しました。

※この話には、主人公の“前日譚”が描かれています。

少し静かな始まりかもしれませんが、ここからすべてが始まります。

不思議な記憶、不気味なリアリティ、そして“運命をやり直す”ような物語を目指して描いています。少しでもお楽しみいただければ幸いです。

……大学生のころだったと思う。


入学したばかりの春。

周囲は“新しい友達”や“大学デビュー”に躍起になっていたが、俺は──うまくその輪に入れなかった。


特別な理由があったわけじゃない。 ただ、気がつけば浮いていた。

教室でも、サークルでも、俺は“いないもの”だった。


そんな閉塞感に覆われていたある日、いつものようにネットを漂っていたとき、 “ソレ”に出会った。


タイトルは、《塔》──Free Online Game。


制作元の情報も事前の宣伝もなかった。

まるでネットの深層から突然湧き出たように、忽然と現れたゲームだった。


舞台は、異世界ファンタジー。


世界の中心には、空を衝く漆黒のモノリスがそびえ、その周囲を、多種多様な種族と国家が取り巻く。

言語、信仰、政治、すべてが異なり、せめぎ合いながら共存していた。


プレイヤーが選べるのは、たったひとつ──種族だけ。


性別も、年齢も、地位も、外見も、名前すらも、完全にランダムで決定される。

あたかも、プレイヤー自身の“運命”が試されているかのようだった。


……俺は、どハマりした。


《塔》の目的は明快だった。

一定期間ごとにモノリスの麓に開かれるポータルから“塔”へと侵入し、最上階を目指す。


ただし、階数は不明。 中は異常に広大で、まるで本物の世界のようなリアリティを持っていた。

しかも── 一度キャラクターが死ねば、すべてが消える。

経験値、装備、人間関係──全ロスト。復活手段は、一切ない。


NPCでさえ、独自の記憶と思考を持ち、 仲間だった者が裏切り、助けを求めた相手に刺されることもあった。


難易度は、“鬼畜”の一言だった。


……大学は、やめた。

気づけば出席日数が消えていて、何度目かのキャラロストの後、退学通知が届いていた。


それでも、やめられなかった。


10年。


数百体のキャラを失い、数え切れないほどの人間関係を築き、裏切られ、消えた。

寝ても覚めても《塔》のことばかり考えていた。


現実世界の生活は、完全に機能していなかった。


そして── 誰も到達したことのない、29階層を、俺は独力で踏破した。


その瞬間、頭の芯が焼けるような熱に襲われた。


視界が歪み、耳鳴りがして、呼吸ができなくなる。


それでも、俺は立ち上がり、

──モニターの前で両腕を掲げ、歓声を上げた。


(……やった……俺が……)














──そして、ぶっ倒れた。














そして……


目を覚ましたとき、世界は変わっていた。


そこには、かつて何度も画面越しに見た、“ステータスウィンドウ”が浮かんでいた。



╔═══ SYSTEM STATUS ════╗

║ 《NAME》: ──該当なし

║ 《RACE 》: HUMAN

║ 《AGE》: 13

║ 《CLASS》: ──該当なし

║ 《SOUL CODE》: ██████

╠═══ PARAMETERS ═════╣

║ STR(筋力) : G

║ VIT(耐久) : G-

║ AGI(敏捷) : G-

║ MAG(魔力) : G-

║ MND(精神) : E

║ LUK(幸運) : ??

╠═══ SKILLS ════════╣

║ ACTIVE : ──該当なし

║ PASSIVE : ──該当なし

╠═══ TRAITS(特性) ════╣

║ ▸ ──該当なし

╚═══════════════╝


最低ランクの数値。


──そして、“空白の名前”。


何よりも、あの巨大で漆黒の《ソレ》があった。


現実よりも現実らしい空気。

肌を刺す、重く冷たい風。


空を引き裂くように、黒き巨塔モノリスが、そこにあった。




「──俺は、ゲームの中に来てしまった?」











少しでも気になってくださった方は、次話へお進みいただけると嬉しいです。


ご感想なども励みになります。どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ