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序章-1. 目覚めの街角

雑踏に溢れる石畳の通り。


香辛料の匂いが立ち込め、鉄器を売る声と、獣の肉を焼く音が重なる。 通りを行き交うのは、旅人、商人、魔道具売り。活気に満ちた市だ。


喧騒の裏で、陽の差さぬ裏路地に一人の少年。

世界の輪郭からはみ出したかのように、彼はそこに“いる”。


身にまとうのは色の褪せた布きれ。骨の浮いた手足、髪はぼさつき、埃と獣のような匂いが漂う。

木造の屋根が連なる街並みの、その先に。


天を裂くように聳える、黒き巨塔──《モノリス》。


それは空の構造にひびを入れたかのように、現実の奥へと突き刺さっていた。


……まるでこの空が“偽物”であると告げるために、存在しているかのように。


なぜ生きているのかも分からず、なぜここにいるのかも分からない。

誰も名を呼ばず、誰も必要としない。


そして、今日も少年は思う。

「……腹が、減った」

















モノリスを見上げるその瞳に、誰も気づかない。

……ただひとつ、塔だけが、それを見ていた。


















【観測メモ:No.001】 個体識別コード“——” 未分類の職業取得の可能性 魂構造、かつての英雄と類似値あり ──モノリス観測端末 MNL-17


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