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2食目:人助けのあとのご飯


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翌日ヘルモドとロンはアトリス村を出て、アルン街に向かう。その最中ヘルモドが、


「魚料理ならアクアバッツァ、白身魚のソテー。

...いやそれならトマトクリームソテーも捨て難い…」


道中ブツブツと呪文のように言っていたヘルモドにロンはツッコミを入れるのも疲れて呆れてしまう。


二人はアルン街のラーマンの海へ行くために山道を歩き進めていると、雑木林から2メートルは優に超えるヒグマに対峙してしまった。


ロンは後ずさり


「ヘルモド、こいつはデカくて面倒だから逃げるぞ」


と言うが、ヘルモドは


「クマは焼いて食べると美味しいから討伐しよう。俺ちょうど腹減っているんだ」


ヒグマを目の前にしてヨダレがたれかけている。


ロンはしぶしぶ承諾し、ヘルモドの大剣とロンの両手剣であっさりとヒグマを倒す。


まずはヒグマの皮を剥ぎ内蔵も取り除く。

そして2人の本業である木こりの技術で木を伐採して焚き火を作り、ヒグマの口に木を刺し丸焼きにする。


村を出る前に酒屋のおばちゃんがくれた秘伝のスパイスをかけて食べると、獣臭さが消えた。


ヒグマの固い肉の塊を引きちぎるように食べていたヘルモドが


「これこれ、このスパイスは何にかけても美味しいから、もっともらってくればよかった」


「おばちゃん特製のスパイスのレシピの調合、ヘルモドが何回聞いても絶対教えてくれなかったもんな」


ロンは思い出しながら笑い、ヘルモドに食べっぷりに若干引きつつ2人でヒグマを余すことなくペロリと完食する。



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満たされたお腹を擦りながら山道を抜けると、腰くらいまである草原が広がっていた。


ふと、ヘルモドの耳に女性の悲鳴が微かに聞こえた。


ロンは気のせいだろうと言うが、ヘルモドはロンの言うことを聞かずに声がする方へ走っていく。


悲鳴はどんどん大きくなっていく。


草原を抜けると開けた地に同い年くらいの女の子がいた。銀色の髪の毛を1つに括った、背の低い女の子が傷だらけの状態で弓を持ちイノシシと対峙していた。


咄嗟にヘルモドとロンは女の子を後ろに下げ、二人の息の合った攻撃でイノシシを討伐する。


女の子の四肢が傷だらけだったので、ヘルモドが傷の上に手をかざし、治癒魔法で手当をすると浅い傷が少しずつ治っていく。


手当ての最中に、なぜ仲間も連れず一人であそこにいたのかと聞く。


「私はフーノス、歳は18歳。

元々ヒーラーとしてパーティーに所属していたけど、自分も攻撃が出来るようになりたいって思って。とりあえず家にあった弓を持って探索していたら、あのイノシシと対峙しちゃって…私には戦闘は無理かもしれない」


と、ばつが悪そうな顔をしながら2人を見る。


「ヒーラーか…」とヘルモドがボソッとつぶやく。

俺は治癒魔法は一応使えるけど本職には及ばない。


ある程度の切り傷はヘルモドの治癒魔法で治ったが、イノシシに攻撃された際のふくらはぎの切り傷は対処出来なかった。


2人が近くのマラナ村に寄り、ちゃんとした医者に治療してもらおうと提案する。



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歩くこと20分、マラナ村に着いた。

女の子を村の病院に連れていき、治癒魔法専門の医者に診てもらうこととなった。


治療をしてもらっている間、ヘルモドは今アルン街のマーラン海に美味しい魚を食べに向かっている道中だと、経緯をフーノスに言う。


そこで思い出したかのように、ヘルモドが


「フーノスはヒーラーと言っていたけど、なんで自分の傷は直せなかったか何か理由があるの?」



「人の腕や足が折れたとしても私の治癒魔法で治せることが出来るけど、自分の体には使えない制限があるの」


と苦笑いをした。


そして、フーノスはヘルモドの「美味しい魚」の言葉に興味を持ち、2人を見上げて


「美味しい魚…?私の村はお肉ばかりでお魚はあまり食べたことがないから一緒に行きたい!」


「こいつ、まじで言ってる…?」


ロンがヘルモドに小声で言う


「ヘルモドとロンが前衛なら、ちゃんとしたヒーラーがいないでしょ。この先大きい動物や魔物が出た時に、私は役に立つよね?だから私も一緒にいたら2人も安心出来る!」


フーノスが真剣な顔で強く二人に説得する。

ただ、口元が緩んでいる。


ヘルモドは二つ返事で承諾し、それを見ていたロンが


「おいおい、お前マジかよ。こんな女の子連れて行くのはまずいだろう」


と言うが、へルモドは


「美味しいものはみんなで食べたらもっと美味しくなるんだ。まずは治療が終わったら一緒に冒険しよう」


と言いフーノスの頭を優しく撫でて病院を後にし、村の料理店へとヘルモドとロンは向かう。


2人はマラナ村の料理店で討伐したイノシシを買い取ってもらい、余ったお金でこの村の名物、イノシシ鍋を注文する。


しばらくすると大きな鍋が運ばれてくる。


テーブルに置かれた鍋を覗くと1口大に切り分けられたイノシシの肉と大根や人参、様々な野菜がたくさん入っていた。


「この鍋、香ばしくて芳醇ないい匂いがする…」


すかさずヘルモドが自分の取り皿にどっさりと具材を取り分け、イノシシ鍋を食べる。


「…ロン、すごいぞ!

スパイスを使わなくても柔らかくて獣の匂いが全くしない。

野菜も味が染みていて食欲が止まらない。

この茶色のスープの鼻に抜けるふわっとした風味がいい。甘いような、でも少ししょっぱいような…あと何か白い小さい欠片が入っているけど、これは一体何を使っているんだろう...」


「知らねぇけど、確かにこれは俺らのアトリス村にはない調味料だよな。確かに美味しいけど、不思議な味がする」


「あとピリッとしてパンチがあるから、生姜とニンニク入っているかもしれない。このイノシシ鍋は色んなスパイスが入っているのかもね」


珍しくロンもガツガツと食べ、ヘルモドはいつも通りモリモリと食べながら2人でイノシシ鍋をつつく箸が止まらない。


それを見ていた隣の席の男性がニカッと笑い、話しかけてきた。


「このマラナ村では【味噌】という米麹を発酵して作っていて、この村での特産品として売っているんだぜ」


と得意げに教えてくれた。


男性に【五平餅】を奢ってやるから食えと言われた。少し太めに切った竹に米を平たく潰し、巻き付けたものを味噌と【醤油】というものを塗り、こんがりとした焼き色のついた香ばしい匂いの料理をご馳走になった。


これもイノシシ鍋とまた違う焼いた味噌と醤油の香ばしさが米と相まってとても美味しい。


僕ら2人は知らない調味料に感動を覚え五平餅を平らげ、奢ってくれた男性に深々とお礼をした。


翌日、フーノスが医者の治癒魔法で完治した。


「ヘルモド、ロン。私の傷もすっかり治ったことだし、いっぱいサポートさせてね」


「やれやれ、しょうがねぇなぁ。言っておくけどヘルモドの食への執着と胃袋なめんなよ?」


「ロン、僕はそんなことないよ。美味しいものをお腹いっぱいたべたいだけだから」


ーーそして、三人の冒険が始まる。今度こそアルン街に行くために。

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