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目の前に広がるは、知らないセカイ。
空に浮かぶ島に、波紋が広がる空、その上、今彼は落ちている。
あの声が告げたとおりに、真っ逆さまに「オチテ」いるのだ。
「「「でぇぇぇぇぇ・・・・?!!」」」
言葉にならない声が響き渡る。
まるでスカイダイビングをパラシュートなしでしてる気分だ。
(いや・・・パラシュートが無きゃまずいんだけどっ!!)
混乱した頭じゃまともな考えは浮かばない。
(どうしよう、どうにかしないと、とりあえず落ち着け・・・・落ち着くんだ、俺!)
コウはその場で目を閉じ深呼吸をしてみる。もしかしたら、これは「夢」かもなんて淡い期待を抱いて目を開く。
「「「だぁぁぁ・・・んなわけないってぇぇぇ・・・」」」
淡い期待は見事に裏切られ、その落ちる勢いはどんどん増していく。訳のわからない雄叫びのままコウは頭を抱えた。その時、また耳元であの声が聞こえる。生意気そうな声が。
━ウルサイナア・・・━
その声は耳元と言うよりは、直接頭に響いてきた気がする。自分の体が切る風の音で、声は届かないのだから・・・多分、絶対そうだ。
━・・・イクヨ・・・ミテ、オドロケ━
不敵な声が聞こえ、今度は目の前が白く染まっていく。そして、次の瞬間・・・フワッと身体が宙に浮いた。
「うわっ・・・何コレ」
コウは驚きを隠せない。目を丸く見開き、思わず自分の足元を見やる。勿論そこに地面はない。あるのは遥か彼方に見える茶色に覆われた土地。風が巻き上げる砂埃が微かに靄をかけていて、その全景を知る事は出来ないが、見える範囲は全て茶色かった。
━マズ、コレニオドロケョ━
脳に直接語りかける声の主は、何処か苛立たしげに声を低める。そして、コウの目の前に白いモノが覆いかぶさった。
「ブッ・・・ちょ、ちょっと・・口に入るって」
顔にぶつかる白いモノを手で払いのけると、コウはその払いのけたモノを手で掴んで更に驚く。
「・・・・羽??」
まるで洗濯物に着いた汚れでも見るように、その眼は凝視して羽・・・らしきモノを揉み、つまみ、そして両手で引っ張った。
━ィ・・イターイ!!━
頭の中で悲鳴が上がる。それと同時に目の前にあった白いモノが離れて行く。どうやら感覚はあるらしい。
「あ・・・悪い」
姿の無い相手に向かってコウは謝る。その手には一枚の白い羽が乗っていた。どうやら毟ってしまったらしい。
━ナニスルノサ━
頭の中でキンキンと声が響く。耳を塞ぎたい気分だが、頭の中の出来事じゃ効果は得られないだろう。
コウは一つ溜息を吐くと困ったように頭を掻いて「ごめんって・・」と、もう一度謝った。
━フンッ・・・タスケテヤッタノニ━
(いや、元はと言えばキミが原因だし・・・)
これ以上騒がれるのも癪だから、敢えてその突っ込みは心に留めて、コウは苦笑いする。
まだ頭の中でぶつぶつ言う奴を放置して、コウは改めて周りを見渡した。見覚えがあるモノなど一つも存在しないセカイ。
「それで・・・ココ何処?」
コウは尋ねる。
頭の中で愚痴を言っていた声も、コウに尋ねられてようやく我に返った。
フフッ・・・不気味な笑いが聞こえる。一瞬静かになった後、カレは元気よくこう言った。
━ヨウコソ!・・・「水溜りに映るもう一つのセカイ」へ・・・━
その瞬間コウの頭の中は、手にしたその羽のように「真っ白」になっていた。
「異世界」の続きです。
これからがコウの冒険の始まりです。
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