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 『水溜りに映るセカイ・・・』

 それは、現世の影になる部分。もう一つのセカイ。異世界だと言って良いだろう。

 そこには、俺が生きてきた生活とか時間とは違うモノがあり、でも二つの世界は深くかかわり合っているらしい。

 現世と繋がる為のキーワードは『水溜り』。

 今はもう閉じてしまったその道は、次にいつ開かれるかも分からず・・・最悪の事をいえば開かれないかも知れない。それほど不確かなセカイ。

 ただ水溜りが出来れば開かれる・・・そういう簡単な話ではないらしい。


 

 そして、いまこのセカイは「死」へと向かっていた。

 水の無いセカイ。茶色に染められたセカイ。


「ココは何処・・・・だって?」


 皇は不意に口にする。何度も聞かなくても答えは分かっている。知らないセカイ。

 ようやく地上に降り立ってはみたが、周りには何もない。目の前に広がるは「茶色」。


 ━水溜りのセカイ・・・もう一つのセカイだよ━


 頭の中で聞こえていた声はいつのまにか、遠くへと離れている。

 その声は足元の方から聞こえ、コウは声のする方に目をやった。

 そこには小さな男の子が立っている。ただ、明らかに違う部分が一つ。

(耳が・・・・耳、猫なんですけど??)

 先程までの偉そうな口調に何とも不釣り合いな・・・愛らしく動く「猫耳」に皇はこみ上げる笑いを必死で堪えた。

 彼はそれに気が付いていないらしい。それがまた可笑しい。

(な・・・なんか・・可愛い)

 不覚にも抱きしめたいとか思ってしまうのだが、今はそれどころではないのだ。とにかく「帰る」にはどうしたらいいのか、何で俺が連れて来られたのかを聞く必要がある。

「っは~・・・で、何で俺落としたの?」

 出かかっていた笑いを飲みこみ、皇は真面目な顔で猫耳の少年に向き直った。彼も皇の方を真っ直ぐ向く。そして・・・。


 ━このセカイを、救って下さい!!━


 先程までの態度とは一変、彼は深々と頭を下げた。

 そのまま、顔を上げる事はせず━お願いします━と続ける。その声は必死だった。

「・・・・あのさぁ・・」

 皇は言葉に詰まってしまう。誰かにお願いされると断れないお人好しが、また顔を出しそうになって慌ててそれを留めた。

(簡単に「はい、やります」とか言えないって・・・)

 安請け合いが出来るような内容じゃない。

(相手は「セカイ」だぞ・・・!?)

 そう、彼は「セカイ」を救えと言ったのだ。「村」とか「集落」とか・・・そんな規模のモノじゃない。一体どうやったら救えるのかも、皆目見当がつかない代物だ。

「・・・とりあえず、理由を教えてよ」

 皇が渋々と言った感じで促す。話を聞いてから、という皇の態度に彼はようやく頭を上げた。

 


 茶色のセカイに「光」が差した瞬間だった・・・。


久しぶりの更新になります。

一話ずつが短くてすみません。


水溜りのセカイで起こる異変。皇が連れて来られたその理由とは・・・。

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