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第一話(0) はなびら
最近、時々この夢を見た。
雪の華のような、無垢な白色の光がこの空間を満ちた。どの方向でも、真っ白だった。一つの音さえもなかった、何もない世界が僕の前で広くなった。
「ダッ、ダッ、ダッ……」
何かが近づいた。
ランドセルを背負った小さな2つの背中が目の前に突然現れた。小さいはるかは少し速いスピードで小さい僕の前に走りていた。桜は空から舞い落ちて、アスファルトを染めた。雲のない青い空にある眩しい太陽、電車の通り過ぎる音、車の走る音、青年がうなずくする声、鳥の囀る音……、全部浮かんでしまった。
記憶の底に、はるかはそう言ったはず。
「ねぇ、楓人君、春はどんな色でしょ。」
「まぁ、ピンクじゃないかな。桜の色だし。」
「違うよ、青いだよ。」
「どうして?普通に、春といえば桜だろう。」
「そうかなぁ、私は綺麗な青空が一番好きだもん。空を見ると、疲れも一瞬で吹き飛ばしちゃうでしょ。気分も良くなるし。だから、春は青色だと思うよ。」
「そっか。青い春か……。」
「はるかちゃんがそう思うなら、僕もそうでいいから。」
その時、光が消えてしまって、ほとんど何も残ってなかった。世界が黒に沈んで行った。
あの二人は、音が無くて、走り遠くなった。




