新しいパーティーメンバー
「お前には、こいつとパーティーを組んでほしい。今の段階では極道が冒険者になることはできんからな。お前が王都にいる間だけの、一時的なパーティーになるが」
「こいつとパーティーを組む? そんな必要あるんですか、サランドさん」
ナグモは僕を見る。
サランドさんは、ナグモの頭を無理やり下げさせる。
「悪いな、ツブキ。こいつはナグモ・タキナワ。タケイサ組に入って四年目だ。まあ、まだまだひよっこの方だがな」
四年目でひよっこなんだ。極道って大変だな。
「サランドさん! 俺はひよっこなんかじゃないですよ! ばりばりの武闘派っす!」
「私からすれば、みんなひよっこみたいなもんだ。……まあ、今はその話はいい」
サランドさんはナグモを一瞥してから、僕を見る。
「お前には、ミサキという女性を護衛するためにここにいるツブキとパーティーを組んでもらう」
「サランドさんが言うなら従いますけど……こいつ、本当に強いんですか?」
ナグモは僕に疑いの目を向ける。
当然だろう。僕自身、自分がそこまで強いとは思っていない。
「こいつは元勇者パーティーの一員だからな。強いぞ」
サランドさんは即答した。
「私が、あの勇者パーティーで唯一認めている男だ」
「唯一……ですか」
ナグモの表情が変わる。
「今の勇者パーティーの状況を聞くと、はい、そうですかって簡単には納得できませんけどね」
今の勇者パーティーの状況?
ディアモ……何かやらかしたのか?
だが、もう僕には関係ない。
そう思って、勇者パーティーの話はなるべく聞かないようにしていた。
だからこそ、その言葉が少しだけ気になった。
「まあ、なんだ」
ナグモは気を取り直すように笑う。
「パーティーを組むなら、よろしく頼むぜ」
そう言って、ナグモは僕に手を差し出した。
僕はその手を見る。
「……何か仕込んでない?」
「仕込んでないさ」
ナグモは苦笑する。
「俺は卑怯なことが嫌いなんだ。サランドさんが認めているってんなら、お前の実力も大したもんなんだろ」
少なくとも、今のところ敵意はないらしい。僕はナグモの手を握る。
「よろしく」
「おう」
次の瞬間、ナグモの手に、力が込められた。握力で僕の実力を測るつもりか。
「卑怯なことは嫌いだが、握手はしたんだから、こっからは卑怯じゃないよな?」
「残念だけど、僕は握力には自信がない」
僕は平然と答える。
「だから、離してくれると助かる」
「……へえ」
ナグモの目が細くなる。
その瞬間、僕は異能を発動した。
ナグモの背後に、一本の剣が現れ、切っ先は、ナグモの背中へ向けられていた。
「――やめないか、二人とも!」
サランドさんの怒声が響く。
僕とナグモは同時に手を離した。
「ったく……ここはギルドマスター室なんだ。いくら防音とはいえ、少しは考えてくれないか?」
「すみません、ギルドマスター!」
ナグモはすぐに頭を下げる。
「俺、すぐにギルドマスターの頼みをこなします!」
そう言うと、ナグモはギルドマスター室から出ていき、僕もその後を追おうとする。
すると、サランドさんが僕を呼び止めた。
「あんなやつだが、悪いやつじゃない。根はいいやつだから、仲良くしてやってくれ」
「……分かりました」
僕はそう答えると、ギルドマスター室を出た。廊下の先には、ナグモの背中が見える。
僕はその後を追う。
こうして僕は、極道のナグモ・タキナワと一時的にパーティーを組むことになった。




