サング組 ガルン
ツブキ達がステイティア城の訓練場にいた頃、ステイティア城内を、大剣を背負い、顔に傷のある男が歩いていた。
「シグマは小物になった。なら俺は俺で好きにやらせてもらう」
半グレ組織ビルドンの幹部であるニシカは、一人で別行動を取っていた。
そして、ステイティア城を攻めようとしていた。
「ちょーっと。勝手なことをしてもらうと困るよ、ニシカ君」
ニシカの背後から、別の男が声をかける。
ニシカは振り返ると、大剣を抜き、その男に向けて構えた。
「……何しに来た。サング組のガルン」
「はっはっは。何しに来たって、君を止めに来たんだよ。勝手なことをされると、俺の計画がパァになっちゃうからさ」
「そんなことは俺の知ったことではない!」
ニシカはガルンに向かって大剣を振るう。
だが、ガルンは簡単に避けた。
「そんなんじゃ俺はやれないよ?」
「うるっさい!」
ニシカは何度もガルンに向かって大剣を振り続ける。
しかし、ガルンはその全てを避けていく。
そして攻撃を避けながら、少しずつニシカとの距離を詰めていった。
「く、くそ……なんで当たらな……」
「それは俺と君では実力差があるからだよ。それと――」
ガルンはニシカの肩に触れた。
その瞬間、ニシカの手から大剣が落ちる。
「な、なんだ……この、感覚……は。貴様、俺に……何を……」
「俺の異能だよ」
ガルンは笑みを浮かべる。
「君には捨て駒になってもらうよ。俺の思い通りにならない使い捨てなんて、いらないからね」
ガルンがそう言うと、ニシカの目から光が消えていく。
そして、うつろな目をしたまま、その場に立ち尽くした。
「さて。それじゃあ、君には――」
そのとき、ガルンの背後に一人の男が現れた。
白い鎧を身にまとった男だった。
「まずはこいつに城を攻めさせよう。その後、君には王を狙ってもらおうかな」
ガルンがニシカにそう告げる。
するとニシカは地面に落ちた大剣を拾い上げ、白い鎧を着た男とともにステイティア城へ向かっていった。
「我ながら、自分の異能には惚れ惚れするよ!こうやって使い捨てどもを思い通りに操れるんだからな!」
ガルンは高らかに笑う。そして、その場から姿を消した。
この後、ツブキ達が遭遇した白い鎧を着た騎士団の男。
彼もまた、ガルンの異能によって使い捨てにされた騎士の一人だった。
――――――――――
僕、ツブキは、白い鎧を着た男を殺した東の勇者、オサヌから、ステイティア王を狙っている者について話を聞いていた。
「私は王の依頼を受けて、数日前にここへ着いた。パーティーの仲間とともに、ある調査をしていたんだ。この中央ステイティアに、ヤクザが潜んでいるとな」
「ふむ。東西南北に極道がいるのは知っている。それに最近では、半グレとやらができたらしいな。確か……ビルドン、とかいったか?」
「はい。半グレ組織ビルドン。そして今、そのビルドンを裏で操っているのが、サング組のガルンという男です」




