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勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第三章 勇者選別編

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東の勇者

 自分に厳しいからこそ、自分の体を鍛えたのか。それはすごい。だけど、オサヌにはなぜ常人離れした身体能力があるんだ?


「やつが異能も魔法も使えないのは、その体質にある。生まれた時から身体能力が異常に発達していた。その代わり、魔力を持っておらず、異能も使えない。本人も、なんとなく自分には異能がないと感じていたらしい。まあ、感覚でしかないがな」


 ステイティア王は僕にそう説明する。

 感覚で自分に異能がないと分かるって……異能って、そんなものなのか?

 僕とステイティア王がアゲルとオサヌの方を見ると、アゲルは両手を上げていた。


「降参します。まさか、噂に聞く『異能がない代わりに、常人の何倍もの力を使える人』だとは。異能による肉体強化よりも厄介ですよ、ほんと。そんな人を相手に、私は一撃すら与えられる気がしませんので」


 アゲルがそう言うと、オサヌは大剣を背中に戻した。


「逃げるというか、相手の実力を知り、時には引くことも重要だ。だが、君は商人だという。ならば勇者になるのはやめておいた方がいい。勇者とは、利益のために戦うのではなく、平和のために戦うものだからな」

「そこまで言われたら、私の完敗ですわ。大人しく下がっておきます。もしまた商売で会うことがあったら、その時はご贔屓に。東の勇者様」


 アゲルはそれだけ言うと、訓練場から出ていった。

 そして僕とステイティア王、カゲヤのいる待機部屋へと戻ってくる。


「ステイティア王。私は先に失礼します」

「うむ。余はお前も強いと思っている。だから王として、これからも頼りにさせてもらうぞ」

「ははは。私はただの商人ですよ。商売は頼りにしてもらって構いませんが、戦闘面ではあまり期待しないでください。それでは、みなさん失礼いたします」


 アゲルはそう言って、待機部屋から出ていった。すると今度は、東の勇者――オサヌが訓練場から出てきた。


「良い世代が育っていますな、ステイティア王」

「そうだな。南の勇者は、今度は慎重に選ばねばならん。勇者の入れ替えなど、本来あってはならないのだから」


 ステイティア王がそう言った直後だった。

 待機部屋に、白い鎧を身につけた騎士団の男が入ってきた。


「む? 今日は騎士団隊長のランラが体調不良で休みだから、お前たち騎士も休みにしたはずだが?」

「いえ、ステイティア王。私は王をお守りするために来ました。ここに」


 白い鎧を身につけた男がステイティア王へ近づいていく。


 その瞬間――

 オサヌが動いた。


「え?」


 一瞬だった。

 オサヌは背中の大剣を抜き、白い鎧の男を斬り伏せた。


「え、何で騎士団の人を?」


 僕が驚いて声を上げる。

 するとオサヌは、倒れた男を見ながら口を開いた。


「よく見るといい。こいつは王を狙っている奴だ」

「え?」

「君たち候補者の中に、王を狙う者がいると思われていた。だが、それは敵が流した誤情報だ」


 オサヌの目が鋭くなる。


「王を狙っているのは、サング組の連中だ。あいつらはかなり性格が悪いぞ」

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