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勇者パーティーを追放された影の異能使い  作者: アークマ
第三章 勇者選別編

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アゲルの相手

 シムラ達が訓練場前の待機部屋から出た後、アゲルはステイティア王に尋ねる。


「それで、僕の相手はどうするんですか?」

「ふむ。もうそろそろ来る頃だと思うのだが」


 ステイティア王がそう言った直後、待機部屋に一人の男が現れた。

 男は背中に大剣を背負い、顔には片目を覆う黒い眼帯をしている。


「遅れてすまない! 中央ステイティアの王よ!」

「やっと来たか。東の勇者、オサヌ・デザム」


 東の勇者!?

 何でそいつが勇者候補戦に呼ばれてるんだ?


「ま、まさかですけど、ステイティア王。僕の相手って……」

「そうだ。この東の勇者がお前の相手だ。アゲル」


 ステイティア王がそう告げると、アゲルは驚いた顔をする。


「え、マジですか、ステイティア王。僕は商人ですよ?」

「知っている。だが、お前の相手は奴と決まった。勝てとは言わん。東の勇者に、お前の合否を判定してもらう」


 ステイティア王がそう言うと、東の勇者であるオサヌは口を開いた。


「中央ステイティア王には借りがある。だから今回のことも引き受けた。それに、こちらで調べたいこともあるからな。そこは私の仲間たちに任せているが」


 オサヌはそう言うと、訓練場へと入っていく。

 アゲルも慌ててその後を追い、訓練場へ入った。


「お、お手柔らかにお願いしまーす」

「ふむ。勇者候補として、君がどこまで私に攻撃を当てられるか見てあげよう」


 オサヌは背中から大剣を抜く。

 その瞬間、アゲルもすぐに異能を発動させた。


「私の異能、代償取引。では、まず代償を見ようか」


 アゲルは異能を使い、オサヌの代償を見ようとする。


「……ん? 何で出ない?」

「戦いの場で油断していると、死ぬよ」


 オサヌが大剣を振り下ろす。


「うおっ!?」


 アゲルは転がりながら、なんとかその一撃を避けた。


「待ってくださいよ!私は商人なんですよ!戦闘は得意じゃないんですよ!」


 珍しく慌てた様子でアゲルが叫ぶ。するとオサヌは冷静に答えた。


「勇者候補であるなら、どんな時でも戦いに備えておくべきだ」


 オサヌは大剣を構え直す。


「私は弱い。だが、弱いなりに肉体を鍛え上げた。私は異能を使えないし、魔法も使えない」


 オサヌは淡々と告げる。


「だが、その代わりに異能は効かない。魔法も効かない」


 異能が効かないって、普通に強いじゃないか。


「余は奴が東の勇者でよかったと思う。もし奴が敵だったらと思うと、余は怖くて怖くてたまらんわ」


 ステイティア王でも怖いって……。

 オサヌって、実力もそんなにヤバいのか?


「奴はあの体質なのだが、肉体を鍛えたと言っていただろう?」

「はい」

「だが、奴は元より肉体が常人の何倍もの強さを持っている」

「常人の何倍って……。それで、さらに鍛えてるんですか?」


 僕がステイティア王に尋ねると、ステイティア王は誇らしげな顔をした。


「そうだ。奴は本当に自分に厳しい男でな。だからこそ、余は奴を東の勇者に決めたのだ」

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