シムラの異能
「一発目!」
「……ふん!」
スカイスはシムラに腹部を殴られた直後、反撃するように火の魔法を軽く放つ。
「危なっ!」
シムラはスカイスの火魔法を紙一重で避ける。
だが、その火魔法は見た目以上にかなりの火力があった。
あんなものをまともにくらったら、昨日、消し炭にされた騎士みたいになっちまう。
「よく避けた、な」
「ま、こんくらいならね。それに、あんたの一撃でもくらったら一瞬で灰になりそうだし。それは困るわ」
シムラは再びスカイスとの距離を詰める。
そして今度は、スカイスの肩に拳を叩き込んだ。
「ツーヒット!」
「あ?」
スカイスは殴られた肩を見る。
すると、先ほどの一撃とは比べものにならないほどのダメージを受けていた。
「な、何だ……? 今のはそんなに痛くなかったはずなのに、我の肩が……」
「あたいの異能は、痛みなんてあんまり意味はないのさ。なんせ、ヒット数でその部位を破壊できるからね」
シムラは拳をもう片方の手に打ちつけ、構える。
それを見たスカイスは、シムラが狙っている場所に向けて火の魔法を放った。
「っ!」
「これならくらうだろ!我の魔法を!」
しかしシムラは、炎が自分に当たるギリギリまで引きつけてから、横へ飛んで避けた。
「なっ!」
「スリーヒット目はかなり痛いから、覚悟してね」
シムラはスカイスを見据える。
「あたいとあんたの差はね……どれだけ実戦で戦ってきたかってことよ」
シムラは一気にスカイスとの距離を詰める。
「これで終わり!」
スカイスの腹部に拳を叩き込んだ。
「ぐっ……!」
強烈な一撃を受けたスカイスの身体は吹き飛び、そのまま壁に激突する。
スカイスはその場に崩れ落ち、気を失った。
「あたいの勝ちね。これも、あたいがいい旦那様を見つけるための夢への一歩。ごめんね」
シムラはスカイスに近づく。
これで終わったと思った、その時――。
スカイスは気絶したと思われていた身体を無理やり起こし、シムラに向かって手を伸ばした。
「さ……いご……まで……油断……しては……ならん……ぞ……」
「えっ?」
スカイスは最後の力を振り絞り、シムラに攻撃を仕掛けようとする。
だが、シムラはその攻撃を避けた。
「悪いけど、あたいはもう油断しないよ」
そして、シムラは再び拳を握りしめる。
「これで、本当に終わり!」
シムラの拳が、スカイスの腹部に叩き込まれる。
「ぐあっ!」
鈍く大きな音が訓練場に響き渡る。
スカイスは完全に力を失い、その場に倒れ込んだ。
「……これ、生きてるよね?」
シムラは倒れたスカイスを見ながら、少し不安そうな顔をする。
そして急いでスカイスを担ぎ上げ、ステイティア王のもとへ戻った。
「ステイティア王!あたい、こいつを回復させないとダメだから、城にある医療室に行きたいんだけど!」
シムラが戻ってきた時、スカイスはぐったりとシムラに担がれており、ほとんど生気が感じられなかった。
「ふむ。ならば、これを使え」
ステイティア王はシムラにポーションを手渡す。
「医療室は城の入り口近くにある。そこへ向かえ。必要とあらば、騎士を一人くらい呼びつけよう」
「わかった!」
シムラは受け取ったポーションをスカイスにかける。
「これで少しは大丈夫……かな?」
「しばらくは大丈夫だとは思うが、念のため医療室へ向かうことを余が許す。騎士は二階で巡回している者がいる。そいつに声をかければいい」
「わかった!ありがとう、ステイティア王!」
シムラはスカイスを再び担ぎ上げる。
そして急いで、訓練場へ入る前の待機部屋から出ていった。




