カゲヤとツメヤ
ツメヤは僕に再び近づき、爪を伸ばして攻撃してくる。
「はっはぁ!避けるだけじゃどうにもならないぜ! 避けるしかできないならな!」
ツメヤが喋りながら攻撃してくる。その隙を狙い、僕はツメヤの影へと入り込んだ。
「どこに消えた!」
「ここだよ」
僕はツメヤの背後にある影から姿を現し、影の剣でツメヤの背中を突き刺す。
「っぐ!」
「僕の異能――影は、敵の影の中に入り込むこともできる。そこから出て、今みたいに攻撃することもできるんだ」
僕はツメヤに自分の異能を説明する。
「ただ、そのためには一度、影の中に入らないといけないんだけどね」
僕がそう言うと、ツメヤは自分の伸ばした爪を一本、剣で斬り落とした。
そして、その爪を僕に向かって投げつけてくる。
「そんな異能で、この俺を倒せると?」
飛んできた爪を、僕は影の剣ではじき飛ばす。
そして次の攻撃へ移る。
「シャドウトルーパー――弓兵!」
僕の足元にある影から、影の兵士――弓兵が姿を現す。
弓兵はツメヤへ向けて弓を構えると、何本もの矢を放った。
しかし、ツメヤは矢を避けようともせず、その身に何本もの矢を受ける。
「ふ、ふふ……そんな……異能と……言ったことは……謝ろう……」
ツメヤは傷ついた身体を震わせながら、笑みを浮かべる。
「ツブキ……お前の異能……なかなか最高じゃないか」
「それはどうも!」
僕は弓兵に命令する。
「胸を狙って!」
弓兵はツメヤの胸へ向けて矢を放つ。
矢はツメヤの身体へ突き刺さり、ツメヤはそのまま地面に仰向けに倒れた。
「……勝った」
僕は倒れたツメヤを確認すると、訓練場の入り口で観戦していたステイティア王のもとへ向かう。
「僕が勝ったよ。これでいいのかな?」
「ふむ。では、あの倒れている者も連れてきてくれんか。騎士たちがいないのでな」
……なら最初から、勝者が敗者を連れてきてくれと言ってほしかったよ。
僕は心の中でステイティア王に文句を言いながら、ツメヤを運ぶために訓練場へ戻る。
そして影を使ってツメヤの身体を拘束すると、そのまま担ぎ上げて運んだ。
「ツメヤという男については、調べきれていなかったな。まさか、もう一つの人格がカゲヤの中にあるとは……。情報屋も、そこまでは調査してくれなかったか」
ステイティア王は、僕や勇者候補たちに向かってそう言った。
「次はスカイスとシムラ。お前たちで戦ってくれ」
「はい!」
シムラは返事をすると、スカイスとともに訓練場へ入っていく。
「え? 私は誰と戦うんですか?」
アゲルがステイティア王に尋ねる。
「アゲルには特別ゲストを相手してもらう。もう少しすれば、こちらに来ると思う。だから心配するな」
ステイティア王はそう言うと、訓練場へ入っていくシムラとスカイスを見つめる。
「じゃあ、始めるよ!」
シムラは準備運動をしながら、スカイスを見る。
「あんたは本気でやらないと、下手すれば死ぬからね。最初から本気で行くよ!」
するとスカイスは、シムラに向かって指をくいくいっと動かし、挑発する。
「遊んでやるから、かかってこい。せいぜい我を楽しませろ」
スカイスがそう言った瞬間、シムラは手に何かをはめる。
「はぁっ!」
スカイスの腹部へ向かって、拳を叩き込んだ。




