アゲルの情報
「売れている商品? それって?」
「肉体を強化する、ドーピング薬みたいなものが今はよく売れているらしいです」
ドーピング薬?
そんなもの、普通に市場とかで売っているはずはないけど。
「アゲルって、南ステイティアから来たんだよね?」
「はい。私自身は南ステイティアから来ました。私自身は……」
アゲルはそこで言葉を止めた。
僕はなんとなく、その意味を理解する。
「お前自身は南ステイティアだけど、お前の仲間は南ステイティア以外にもいるってことか?」
「そうです。東の方や西の方にも、私の商人仲間はいます。ちなみに私はステイティア王の命を狙ってはいませんよ。ステイティア王には、よくしていただいていますから」
アゲルはそう言う。
でも、口では何とでも言える。
そもそも、僕とアゲルはそこまで仲がいいわけでもない。
ただ、ステイティア王の命を狙っている候補として考えるなら、今のところは下の方と思っておくか。
「わかったよ。他の二人はどこにいるかわかるか?」
「他の二人ですか?」
「そう。シムラとカゲヤ」
シムラも、見た感じは熱血馬鹿って感じだから、王を狙っているようには見えない。
それでも、一応調べておかないとな。
カゲヤは見た目的には一番怪しい。
でも、調べもせずに疑うのも酷いからな。
「シムラさんなら宿の外に行きましたよ。確か、城下の店を回るとか言っていたかな?カゲヤは部屋にこもっています」
うーん……。
どちらから調べようか。
近くにいるのはカゲヤだけど、なんというか、あいつはある意味怖いんだよな。
先にシムラを調べてみようか。
「ありがとう。それじゃあ、城下を回ってみるよ」
僕はアゲルと別れ、城下へ向かった。
店が多い場所を探してみる。
たぶん、そこが商店エリアだと思う。
そして、商店エリアを探して数分後。
ようやく店の多い場所に出たと思ったら――そこにはシムラと、シムラを囲んでいる男が五人ほどいた。
「てめぇ!俺たち半グレ、ビルドンをなめやがって!」
「別にあたいはなめてないよ。あんたらが弱すぎるだけ。あたいは殴ってるだけで、まだ異能すら使ってないから」
シムラはそう言うと、周りにいる男たちを次々と殴り倒していく。
速いな……。
あれで異能を使っていないなら、異能を使ったらどうなるんだ?
僕が呆気に取られていると、シムラがこちらに気づいた。
「お前は……えーと、ツブテンだっけ?」
「ツブキだよ。食い物みたいな間違え方はしないでよ」
「ごめんよ。あたい、人の名前を覚えるの苦手だからさー」
シムラは僕にそう言った後、改めてこちらを見る。
「それで、何しに来たの? まさか、あたいを探しに来たとか?」
「んー……まぁ、そうだよ」
僕がそう答えると、シムラはなぜか照れ始めた。
え?
なんか照れるようなことあった?
「そんなにあたいを探していたなんて……。そんなこと言われたら、嬉しいじゃないか」




